質問主意書

第170回国会(臨時会)

質問主意書


質問第一二〇号

「新規学校卒業者の採用に関する指針」に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十年十二月四日

谷岡 郁子   


       参議院議長 江田 五月 殿



   「新規学校卒業者の採用に関する指針」に関する質問主意書

 一一月二八日、厚生労働省は「新規学校卒業者の採用内定取消しへの対応について」という報道発表を行った。その中で、「新規学校卒業者の採用に関する指針」(以下「指針」という。)の企業への一層の周知を行うとしている。
 この件について以下質問する。

一 指針は、法的拘束力はないと認識しているが、指針の中で述べている「採用に関する秩序を確立」することは雇用の面においても、教育の面においても非常に重要な課題である。よって、労働法規として整備することも視野に検討すべきと考えるが、政府の見解を問う。

二 法的拘束力を持たないこの指針を企業に守らせるために、政府は何らかの具体的方策は用意しているのか、説明を求める。

三 指針では、採用内定取消しに関して、「4-①事業主は、採用内定を取り消さないものとする」とある。この点は雇用契約における労働者の権利のひとつとして考えるべきものと思われるが、政府の見解を問う。また、指針に明記されているにもかかわらず、内定取消しが行われた場合には、政府は具体的にどのように対応するのか説明されたい。

四 指針では、就職内定取消しとなった学生からの補償要求に対して誠意を持って対応することを明記している。しかし、このような補償を要求できることについては権利としては明確ではない。また、ほとんどの学生は補償要求について認識していない。政府としては、ここで言及している補償要求についてどのようなものを想定しているのか。また、この補償について、学生への周知徹底ならびに支援を行っているのか説明されたい。

五 採用内定取消しを予防するためには、今後の指針においては採用内定取消しを行った企業名を公表するなど、企業に対する社会的ペナルティを課すべきではないか。政府の見解を問う。あわせて一二月三日の新聞報道では、悪質な内定取消しを行った企業に対しては企業名の公表も検討していると報じられているが、この報道が事実であるのか確認したい。事実であるならば、「悪質な場合」の判断基準をどのように設定しようとしているのか説明されたい。

  右質問する。