質問主意書

第170回国会(臨時会)

質問主意書


質問第一〇六号

後期高齢者医療制度に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十年十一月二十七日

櫻井 充   


       参議院議長 江田 五月 殿



   後期高齢者医療制度に関する質問主意書

 後期高齢者医療制度が実施されて、各方面から批判が上がっている。これは、高齢者を差別するような制度設計になっているためであり、当然のことと思われる。この制度の根本的な問題は、財政的な側面ではなく、医療の質に差をつけたところであると、私個人は認識している。この制度の改正に関して、舛添厚生労働大臣も言及しているが、今後どの様に制度を変更し、運用していくつもりなのか、その点を中心に以下質問する。

一 後期高齢者医療制度はどのような目的で制定されたのか。また、施行後どのような問題点が生じていると政府は認識しているか。

二 後期高齢者医療制度に問題点があるとすれば、どの点を改善するべきと政府は考えているか。

三 当初の設定では、後期高齢者だけが、延命治療を受けるのか否かを決定しなければならなかった。何故、後期高齢者だけが、そのような意思表示をしなければならないのか。また、延命治療は定義されているのか。定義されているとすれば、具体的に示されたい。

四 人工呼吸器の使用が、延命治療のように言われているが、現場にいた医師の立場からすれば、疾患や患者さんの状態に応じて異なってくる。そうなると、一概に医療器具の使用が、必ずしも延命治療にあたるわけではない。私の経験では、どのような治療を受けるのかということは、患者さんが自分の疾患によって決定している。その点から考えれば、患者さんに対して、病名を告知するかしないのかということが極めて重要なポイントになる。ところが、この国では、癌を告知するべきかという点に関しても十分な理解が得られているとは思えない。延命治療を受けるか否かの問題の前に、癌を告知するべきかを議論するべきではないかと考えるが、政府の見解を示されたい。

五 後期高齢者に限らず、自分が死に至る病気に罹患した場合、告知を受けるか否かの意思を示しておくことは、本人だけではなく、診療者にとっても重要である。その点を確認する制度を構築するべきではないかと考えるが、政府の見解を示されたい。

六 厚生労働省のデータによれば、生まれてから亡くなるまでの間に必要な医療費は、平均すると一人当たり二千三百万円であり、その半分近くは七十歳以上で必要となっている。この原因はどこにあると政府は考えているか。

七 健康診断は、早期発見早期治療目的で行われていると承知している。しかし、後期高齢者は、何故検診を受ける必要がないのか。また、平均余命から考えれば、男性と女性を同様に扱うことに問題があると政府は考えないか。

  右質問する。