質問主意書

第170回国会(臨時会)

質問主意書


質問第九五号

ジョブ・カード制度に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十年十一月二十日

吉川 沙織   


       参議院議長 江田 五月 殿



   ジョブ・カード制度に関する質問主意書

 政府が今年度始めた就職支援「ジョブ・カード制度」は、「就職氷河期」に正社員になれなかった年長フリーターや子育て後の女性らを主な対象として、鳴り物入りで始められた制度である。
 政府は、ジョブ・カードの利用者(発行件数)目標を五年後に一〇〇万件としているものの、現在約二万件にとどまっており、平成二〇年度目標の一〇万件ですら到達が困難な現状にある。政府は職業訓練の前に必ずカードを交付するなど対応を進め、制度の普及と定着を目指すとしているが、制度自体の認知度が低く、受け皿となる参加企業数が少ないことがジョブ・カードの利用者が伸び悩む主因の一つとなっている。
 また、正社員への橋渡し機能を期待された「有期実習型訓練」は、年度目標一万人に対し実施できたのは約七〇人となっており、修了後に正社員に採用されたのはごくわずかに過ぎないとみられている。
 以下、質問する。

一 政府の計画では、ジョブ・カード発行件数を初年度(今年度)一〇万件、三年間で五〇万件、五年間で一〇〇万件程度としているが、現時点で二万件にとどまっている現状を政府としてどのように受け止めているか。また普及促進のためにどのように取り組むのか明らかにされたい。

二 ジョブ・カード取得の価値を高めるための方策として、例えば、政府や自治体、あるいは公共機関がジョブ・カードの所有者を率先して雇用することなどは検討に値すると考えられるが、政府の見解を明らかにされたい。

三 ジョブ・カードはA4判サイズの数枚の紙からなるものであるが、そのネーミングからICカードに職業経験を記録するものと誤解されているケースが多い。今後、ジョブ・カードのICカード化を図る必要があると考えるが、政府の見解を明らかにされたい。

四 「ジョブ・カード制度」導入に伴い、「携帯サイトを活用した情報提供等の体制整備」として、新規に二・九億円が計上されていたが、現在の進捗状況について明らかにされたい。

五 ジョブ・カード普及に向け、各自治体においては協力企業開拓の働きかけや各地方公共団体に設置されている公共職業能力開発施設において「職業能力形成プログラム」の受入れを推進していると考えられるが、その状況を政府としてどのように把握しているのか。また、どのような指導を各自治体に行っているのか明らかにされたい。

六 「就職氷河期」にぶつかった年長フリーターや子育て後の女性らを主な対象として就職支援「ジョブ・カード制度」を今年度当初予算において、厚生労働省は一七四億円、文部科学省は二七億円と合計二〇一億円で導入し、補正予算でも九・七億円追加されているが、それぞれの分野において費用対効果を明らかにされたい。

七 厚生労働省は、「ジョブ・カード制度」に来年度二一七億円の概算要求を出しているが、政府として普及拡大の結果をいかに見込んでいるのか、今年度の反省を含めた改善策と併せて明らかにされたい。

  右質問する。