第170回国会(臨時会)
質問第九二号 裁判員制度の施行準備に関する質問主意書 右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。 平成二十年十一月十八日 前川 清成
参議院議長 江田 五月 殿 裁判員制度の施行準備に関する質問主意書 来年五月二十一日から「裁判員制度」が施行される。国民の司法参加を実現し、いわゆる「精密司法」を改革する点などにおいて大きな意義が認められる反面、抽選で選ばれた国民は、何時終わるか分からない刑事裁判を担わなければならず、その負担は決して小さくない。 ところが、平成二十年十一月十三日の法務委員会における森英介大臣の答弁に照らすと、政府が国民の右負担を真摯に受け止め、その軽減に着実な努力を払っているか、疑問を抱かざるを得ない。それ故、以下の通り質問する。 一 政府としては、来年の施行に向けて概ね準備は完了したと認識しているのか。 完了していないと認識している場合は、今後、来年五月二十一日までに何をやり遂げなければならないと考えているか、併せて答えられたい。 二 「あしたのニッポン」(平成二十年十一月号)において、政府も、裁判員対象事件の七割は三日以内に終了すると、広く国民に広報しているが、どのような根拠、統計に基づいて右の通り判断しているか。 三 右「あしたのニッポン」においても、裁判員対象事件の一割は六日以上を要すると説明しているが、ここに言う六日以上とは最長で何日程度か。 四 例えばリクルート事件においては、調書の任意性が争われた結果、一審判決が言い渡されるまでに十三年間かかり、三百二十二回も公判廷が開かれたが、裁判員対象事件においては、この種の長期裁判が生じるおそれは皆無か。 五 何故、公判前整理手続きを経ることによって、調書の任意性が争われる裁判員対象事件でも、短期間で審理を終えることが可能になるのか。 六 裁判員対象事件において、審理に何ヶ月あるいは何年も要した場合、裁判員に選任された国民はどのように対応しなければならないのか。 七 そもそも、何故裁判員制度が創設されたと認識しているか。 右質問する。 |