質問主意書

第170回国会(臨時会)

質問主意書


質問第九〇号

農林中央金庫の経営情報開示に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十年十一月十三日

藤末 健三   


       参議院議長 江田 五月 殿



   農林中央金庫の経営情報開示に関する質問主意書

 私が先に提出した「金融機能強化法の見直しにより新たに国による資本参加の対象となる農林中央金庫の経営に関する質問主意書」(第一七〇回国会質問第七三号)において、農林中央金庫の役員報酬について質問したところ、その答弁書(内閣参質一七〇第七三号)の中で「就任後の報酬額については、農林中央金庫が決定する事項であり、政府としてお答えする立場にない。」との回答を得た。しかし、農林中央金庫の経営情報は開示されるべきとの観点から以下質問する。

一 農林中央金庫は農林中央金庫法に基づき設置された特別民間法人であり民間金融機関であるが、同法第八十一条第六項には「農林中央金庫は、第一項又は第二項に規定する事項のほか、預金者その他の顧客が農林中央金庫及びその子会社等の業務及び財産の状況を知るために参考となるべき事項の開示に努めなければならない。」とある。役員報酬については、農林中央金庫定款(平成十六年七月十五日)には規定はないが、他の内規等において設定されているのか。同金庫の役員報酬を規定した内規等の存在について政府の承知しているところを明らかにされたい。また、役員報酬の基準についても具体的に示されたい。公表できないのであれば、他の民間法人及び民間金融機関が行っている役員報酬の公表は法的にはそこまで求められていないのか、政府の解釈を明確に示されたい。

二 特別の法律により設立される民間法人について、所管大臣がその設立根拠法等に基づいて指導監督を行う場合には、「特別の法律により設立される民間法人の運営に関する指導監督基準」(平成十四年四月二十六日閣議決定。以下「指導監督基準」という。)に沿って行うことが基本とされている。指導監督基準では役員報酬について「役員の報酬等(報酬及び退職金をいう。以下同じ。)は、当該法人の資産及び収支の状況並びに国家公務員の給与・退職手当や民間の役員の報酬等の水準と比べて不当に高額に過ぎることなく、社会一般の情勢に適合したものとなっていること。また、法人及び所管官庁において、その支給基準が一般の閲覧に供されるとともに、インターネットにより公表されていること。」と定めている(3-(1)-⑤)。したがって、特別の法律により設置される民間法人である農林中央金庫の所管大臣である農林水産大臣は、指導監督基準に基づき同金庫を指導監督する立場にあり、同金庫はそれに従う必要があると考えるが、政府の見解を示されたい。指導監督基準では、「別に法令で定める場合」や、「7-(1)のただし書に定める法人」については、指導監督基準の例外扱いとされているが、農林中央金庫はいずれかに該当するのか。
 また、農林水産省出身の同金庫の理事長の報酬が四千百万円と口頭で農林水産省から回答を得たが、この額は省庁の事務次官の報酬が二千万円強となっているのに比し高額すぎるのではないか、政府の見解を示されたい。

三 総務省が平成十九年十一月二十一日に公表した「特別の法律により設立される民間法人に関する指導監督の状況(平成十八年度)」において、三十七法人の中で唯一農林中央金庫だけが、「役員報酬の支給基準が定められていること」、「役員報酬の支給基準がHPで公表されていること」などを含むすべての基準項目について、一切の情報が公開されていない。その理由について農林水産省は「同金庫に関しては農林中央金庫法による指導監督を行っているが、他の民間金融機関との競争を考慮して」と説明している。しかし、農林中央金庫は公共性を有する事業を展開する金融機関であり、むしろ率先して情報を公開すべきでないか。他の民間金融機関との競争を考慮するとなぜ非公表となるのか、その理由を具体的に説明されたい。

  右質問する。