質問主意書

第170回国会(臨時会)

質問主意書


質問第八四号

国土交通省の公用車業務における労働法制に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十年十一月五日

大久保 勉   


       参議院議長 江田 五月 殿



   国土交通省の公用車業務における労働法制に関する質問主意書

 国土交通省地方支分部局の公用車運転業務(以下、「公用車業務」という。)については、受託業者が談合の疑惑で既に公正取引委員会の立ち入り検査を受けている。しかし、これとは別に、公用車の運転を行う者が受託業者からではなく国土交通省からの指示を受けていたという、いわゆる「偽装請負」の問題が指摘されている。これが事実であるとすれば、政府自身が労働法制を踏みにじるものであり、看過出来ない。また、二年前に国土交通省は、同省と同省所管公益法人との契約につき、労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律及び職業安定法に違反する疑いで、厚生労働省による立ち入り検査と是正勧告を受けている。公用車業務において同様の問題が指摘されていることは、国土交通省の体質が是正されていないといえよう。
 よって、以下の質問をする。

一 国土交通省の公用車業務の運行計画につき、地方支分部局と受託業者との間における同計画及びその収受の記録が適切に保管されているか、明らかにされたい。また、同計画及びその収受の記録について、厚生労働省もしくは会計検査院による検査を受けたことがあるか、あわせて明らかにされたい。

二 国土交通省の公用車業務において、運転を行う者自身が車両管理責任者になっていた事例が見られる。このような場合において、実効的な指揮命令がなされていたかどうか疑問であるが、この点に関する政府の見解を明らかにされたい。

三 労働者派遣法の精神からすると、公用車の運転を行う者が三年以上に渡り継続して勤務している事例については、運転を行う者が希望する場合は公務員として雇用すべきと考えるが、この点に関する政府の見解を明らかにされたい。

四 国土交通省の公用車業務については、災害現場への急行や交通事故への対応等、運転を行う者に高い専門性が求められると考えるが、この点に関する政府の見解を明らかにされたい。

五 国土交通省では、本年度後半から公用車業務の契約形態を見直し、一般競争入札が基本とされた。しかし、この変更により、これまででも低いとされてきた公用車の運転を行う者の賃金及び労働時間等の労働条件が、さらに下がるのではないかと危惧されている。行政の契約が適正に行われることは、もとより重要ではあるが、労働条件に皺寄せが及んではならない。この点に関する政府の見解を明らかにされたい。

六 いわゆる「偽装委託」等、公用車業務における労働法制の問題について、国土交通省以外の他省庁の状況を把握しているか、明らかにされたい。特に、労働法制を所管する厚生労働省については、内部管理体制とその執行状況を含めて明らかにされたい。

  右質問する。