質問主意書

第170回国会(臨時会)

質問主意書


質問第七九号

民法第七六六条及び第八一九条、ならびに、非親権者と子の面接交流に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十年十月三十日

谷岡 郁子   


       参議院議長 江田 五月 殿



   民法第七六六条及び第八一九条、ならびに、非親権者と子の面接交流に関する質問主意書

 民法第七六六条及び第八一九条、ならびに、非親権者と子の面接交流に関する質問に対する答弁書(内閣参質一六九第一二五号)を本年五月二十三日に受領したが、その答弁内容について以下のとおり質問する。

一 答弁書の一においては、父母のどちらか一方のみを親権者とする単独親権を採用している現行の民法第八一九条が、親権者をめぐる争いによって離婚係争中の夫婦の対立を一層激化させ、あるいは、離婚後の親子の交流を難しくさせている側面があるとの指摘について「御指摘のような問題は、いわゆる単独親権制度を採用することによって生じる問題であるとは必ずしも考えていない」と述べている。では、どのようなことが原因であり、それに対してどのような対策を講じているのか、あるいは講じようとしているのか、そしてその対策は問題解決に対して共同親権制度の採用以上の効果が期待されるのか、政府としての見解を明らかにされたい。

二 答弁書の二においては、親権者の指定について「裁判所が、子の福祉の観点から、事案に応じて適切に行っているものと承知している」との回答がなされている。この「適切に行っているものと承知している」と判断する根拠は何か、示されたい。また、裁判所による親権者の指定に対する上級審への不服申し立ての件数についても、政府として承知しているところを示されたい。

三 答弁書の三、四及び五において、父母が離婚した後の親と子との面接交渉については、民法第七六六条第一項に規定する子の監護に必要な事項として「裁判所が定めることができると解され」るとの表現が多用されている。しかし、「定めることができる」という表現と「定めなくてはならない」という表現では、全く意味が異なる。先の質問主意書で指摘した「国連子どもの権利条約」第九条第三項では、親の離婚後も子どもの権利として親と引き離されないことが明記されているが、この条約を批准しているならば、親と引き離されないという子どもの権利を保障するために、「定めなくてはならない」としなければならないはずである。この点についての更なる説明を求める。

四 答弁書の二において「子の福祉」という語を用いているが、政府としてこの語をどのような意味で用いているのかが不明である。具体的なイメージを含めて、多くの国民が理解可能なかたちで明らかにされたい。

五 答弁書の十においては、児童相談所が、親権者である親に虐待された子の情報を親権者でない親に提供すること等の運用を行うことについて「必ずしも当該親権者でない親の支援を期待することが適当でない場合も想定されるため、各児童相談所において、個別・具体の事例に応じて、御指摘の憲法第二十四条の趣旨、個人情報の取扱い等を勘案しながら適切に判断されるべき」と述べているが、実際に親権者ではない親の支援を期待することが適当でないことをどのように判断するのか、具体的に親権者ではない親に連絡を取った上で判断するのか、また裁判所等から調停時の情報を得ることができる態勢がとられているのか、説明されたい。

  右質問する。