質問主意書

第170回国会(臨時会)

質問主意書


質問第七一号

家電リサイクルに関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十年十月二十三日

水戸 将史   


       参議院議長 江田 五月 殿



   家電リサイクルに関する質問主意書

 循環型社会の形成に当たって3R(リデュース、リユース、リサイクル)の推進はその骨格をなすものである。国はこれまで様々なリサイクル法を制定し、リサイクルを促進してきた。その一方で、各法律におけるリサイクルの概念が統一されていない、家電リサイクルと自動車リサイクルでスキームが異なるなど法の不備も散見される。
 特に、家電リサイクル法は、従来から廃棄物をリサイクル処理してきた再生資源業者と家電リサイクル法で認定された再商品化等事業者との関係など未整備の問題も多い。来年四月からは家電リサイクルの対象に新たに液晶プラズマテレビと衣類乾燥機が追加される予定である。特に、二〇一一年の地上アナログ放送停止に伴い相当数のブラウン管テレビの廃棄も予想される。こうした観点から、より効率的な家電リサイクルシステムを構築するため、以下質問する。

一 家電リサイクル法においては、国が認定した全国四十八の再商品化等事業者が対象四品目の家電のリサイクル処理を行っている。この再商品化等事業者は家電製造業者の申請が前提となっているため、家電リサイクル法施行以前からリサイクル処理を行ってきた再生資源業者もこの製造業者からの申請に漏れれば、家電リサイクルのルートに入ることはできない。このような再生資源業者が全国にどのくらいに上るか、把握しているのか、明らかにされたい。

二 前項のように、認定された再商品化等事業者以外にも家電リサイクルを処理する能力のある再生資源業者が全国に存在する。現状のように全国四十八の事業者に限定することなく、リサイクル能力と実績のある事業者については家電リサイクル処理に参画できる仕組みに改めれば市場での競争原理が働き、消費者の負担軽減にもつながる。こうした事業者が参画できる仕組みに改めるべきと考えるが、見解を明らかにされたい。

三 リサイクル料金については「一品目一価、全国一律料金」が取られているが、この理由は何か。消費者の間には製品の大小を問わず同じリサイクル料金がかかることに疑念を持つ人も少なくない。リサイクルにかかる料金の内訳を公表すべきと考えるが、併せて、見解を明らかにされたい。

四 本年三月十日の家電リサイクル法に関する質問主意書に対する同三月十八日の答弁書で、A、B二グループの指定引取場所の共有化は望ましいとの考えを示し、この十月一日から四十四の指定引取場所の共有化が進んだことは小売業者の保管・運搬の負担も軽減されることから評価できる。今後、三百八十の指定引取場所全ての共有化を国として促進する考えはあるのか、見解を明らかにされたい。

五 従来の廃家電の再商品化はA、Bグループごとに指定引取場所及び再商品化等業者が一体となって運営されてきた。A、Bグループの処理内容が同等であることを考えれば前項の指定引取場所の共有化に伴い、再商品化等事業者の共通化は合理的な判断であると考える。現在既に二カ所で共通化も行われており、今後、A、Bグループの一体化を進めるべきと考えるが、見解を明らかにされたい。

六 家電リサイクル料金を受け取りながら再資源化に回されずに中古品として販売される、いわゆる「見えないフロー」が年間どのくらいに上るか、把握しているのか。本年三月十八日の前項の答弁書で再商品化に回すものとリユースに回すものとの分別に関するガイドラインの策定を進めるとの考えが明らかにされた。その中にはチェック機能に関する事項は含まれるのか。また、ガイドラインの策定はいつを目途にしているのか、併せて見解を明らかにされたい。

七 来年四月に液晶プラズマテレビが追加されるが、この液晶プラズマテレビと構成部品が類似のパソコンはリサイクル料金が前払いなのに対し、家電製品である液晶プラズマテレビは後払いとなる。消費者にはこの違いは分かりづらい。家電リサイクル料金前払いは「将来のリサイクル料金の算定が困難」「既販品への内部化が困難」との理由で見送られたが、これらは前払いを否定する根拠とはならず、いずれも技術的に解決可能な課題である。前払い方式は不法投棄防止に有効であり、EUにおいても採用されている。自動車、パソコン等全てのリサイクル対象製品のリサイクル料金について、不法投棄問題を抱える自治体からも要請の強い、前払い方式に統一すべきと考えるが、見解を明らかにされたい。

八 二〇一一年の地上アナログ放送停止に伴い相当数のブラウン管テレビが廃家電となることが予想されるが、どのくらいの量が廃家電として出されると見込んでいるのか。現状でもガラスの再利用は破砕して路盤材に使うくらいであるが、今後大量に発生するブラウン管の再生利用を具体的にどのように進めるのか、併せて見解を明らかにされたい。

  右質問する。