質問主意書

第170回国会(臨時会)

質問主意書


質問第六〇号

チリによる捕鯨禁止水域設定に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十年十月二十二日

喜納 昌吉   


       参議院議長 江田 五月 殿



   チリによる捕鯨禁止水域設定に関する質問主意書

 南米チリのミチェル・バチェレー大統領は今月十五日、同国の二百海里経済水域およびパスクワ(イースター)島など南太平洋チリ領諸島の周辺三百五十海里の水域内での捕鯨を禁止する新法を公布した。この法律は同水域での鯨類の捕殺、捕獲、所有、輸送、加工、商業化、貯蔵などを禁止し、違反すれば禁固刑に処するとしている。また同水域内を航行する船舶および同水域上空を飛行する航空機に対し、違反船が存在する場合、これを監視し通報することを義務づけている。この新法は成立の経緯から、日本の「調査捕鯨」を主な対象としていることは明らかだ。ついては以下、質問する。

一 新法成立後、政府はどのような対応策を練ったか、あるいは策定中かを理由とともに明らかにされたい。

二 政府は今後「調査捕鯨」船の同水域内での捕鯨活動をしないようにするのか否か、明確にされたい。

三 チリ政府の新法公布措置は、反捕鯨国が国際世論の相当部分を形成している現状から、他の捕鯨反対国に同様の立法措置をとるのを促す可能性があると言えるが、この点について政府はどう展望しているのか、明らかにされたい。

四 政府は国連安保理常任理事国入り(以下「入常」という。)を狙っているが、小泉元首相は靖国神社に頑なに参拝して安保理常任理事国・中国を怒らせ、結果として「入常」は挫折した。「入常」には、国際社会の広範な部分および常任理事国の普遍的な支持が不可欠だが、普遍性が全くない靖国参拝によって日本外交はいたずらに偏狭な守旧思想を国際社会にさらけ出し、巨額の外交費を無駄にし、外交面での打撃を被った。国際社会で長らく問題視されてきた「調査捕鯨」も普遍性に欠けると言わねばならない。政府が「入常」を外交上の悲願とする一方で「調査捕鯨」を続けるとすれば、小泉元首相が為した愚かな行為が招いたのと同じような結果を招来する恐れもないとは言えない。「入常」外交と、〈反外交〉とも言うべき「調査捕鯨」との間に矛盾があるが、政府はこの矛盾を放置したままで「入常」外交を進めるつもりなのか。見解を理由とともに明らかにされたい。

  右質問する。