質問主意書

第170回国会(臨時会)

質問主意書


質問第五八号

輸入米穀の検査に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十年十月二十日

藤本 祐司   


       参議院議長 江田 五月 殿



   輸入米穀の検査に関する質問主意書

 ミニマムアクセス米の残留農薬の検査については、農林水産省によって、保管時及び船積時の計二回の自主検査を行うことが示されている。その検査体制等に関して以下質問する。

一 「輸入米穀買入委託契約書」において、輸出国における安全性の検査は、食品衛生法に基づく基準に従い、農林水産省が輸入業者に指示し、積地段階及び船積み時点において検査を行わせることになっている(付録一の第十一に定める安全性の確認)。輸入相手国毎に、この自主検査の実施組織名、ミニマムアクセス米の検査取扱総量、検査項目、サンプリングの方法及び輸出総袋数に対するサンプル数等抽出率、一検体一調査項目あたりの検査費用について、各々平成十九年度実績を示されたい。あわせて、検査実施と船積み・輸送から日本到着までのタイムスケジュールについて、ベトナムを事例として示されたい。

二 ミニマムアクセス米は、農林水産省が実施するミニマムアクセス米の輸入に係る一般競争入札により落札した輸入業者によって輸入される。自主検査の実施主体や検査項目については、入札時あるいは委託契約締結時のいずれで示すのか。または、契約とは別に指示するのか、もしくは輸入業者の選択によっているのか。

三 報道(十月八日のテレビ朝日報道ステーション)によれば、ベトナムから輸出する米穀については、日本を除く各国とも、現地検査機関によって検査を実施しているが、日本のみ現地検査機関を利用せず、海外貨物検査株式会社(OMIC)の現地事業所がサンプリングし、それを財団法人日本穀物検定協会(以下「検定協会」という。)に送付し、検査が実施されているとしている。輸出国における安全性の検査は、信用出来る検査機関がないなど特段の事情がある場合を除き、当該輸出国の検査機関に行わせるのがコスト面等から当然の取り扱いと考える。現地の検査機関を利用しない理由及びOMICを介在させてサンプリングさせている理由を具体的に示されたい。

四 ミニマムアクセス米で求められる検査を実施可能な国内検査機関は民間を含め何社あるのか。その名称と処理能力及び平成十九年度の調査項目別調査量の実績を示されたい。

五 「輸入米穀買入委託契約書」では、安全性の検査に係る費用は、国が負担することとなっている(第四条第一項第二号)。ミニマムアクセス米の輸入開始以降、国が支出した年度別検査費用総額及び年度別検査実施者別検査量、検査費用額、契約形態(競争(一般・指名)入札、随意契約)を示されたい。

六 そもそも、輸出国における安全性の検査の実施について、買入委託契約の相手方の責任で実施するのではなく、国の指示及び国の負担で実施していることに対する政府の考えを示されたい。

七 「輸入米穀買入委託契約書」において、「事故品等」と区分されたものについては、甲(農林水産省)に引渡を行った後に、乙(輸入業者)は、これを甲から買い受けるものとされている(第十五条第三項)。乙が甲に事故品等を引き渡し、乙が甲から事故品等を再度買い受けるとしている理由を明らかにされたい。また、乙が事故品等を買い受ける際の価格はどのように決められるのか、過年度の実績とともに示されたい。

八 検定協会がこれまでに受け入れた農林水産省での勤務経験がある者の人数と、平成二十年度に在職している農林水産省での勤務経験がある者の人数と役職名を示されたい。また、あわせて、これまでにOMICに就職した農林水産省もしくは検定協会での勤務経験がある者の人数と平成二十年度に在職している農林水産省もしくは検定協会での勤務経験がある者の人数と役職名を示されたい。

九 検定協会が取り扱った農産物検査をみると、平成十九年度は、ミニマムアクセス米五十五万トン、輸入麦五百二十六万トン(平成二十年度事業報告書)であり、その取扱量は、輸入米麦の大半を占めているとみられる。検査機関は民間を含め相当数にのぼると考えられる中で、検定協会が寡占的に検査を実施していることに対する政府の見解を明らかにされたい。

十 過去五年間に国が検定協会と締結した官公需契約の名称と目的、件数、金額について、個々の契約毎に示されたい。また、あわせて、過去五年間に国がOMICと締結した官公需契約の名称と支出目的、件数、金額について、個々の契約毎に示されたい。

十一 ミニマムアクセス米の検査体制の現状を踏まえ、今後の米穀の検査における安全性の確保及び効率的な検査体制の整備に向けた政府の考えを示されたい。

  右質問する。