質問主意書

第170回国会(臨時会)

質問主意書


質問第三七号

飲用乳価引き上げに関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十年十月二日

紙 智子   


       参議院議長 江田 五月 殿



   飲用乳価引き上げに関する質問主意書

 四月の飲用乳価改定以降も輸入飼料価格の高騰、石油製品価格や農業資材価格の引き上げが相次ぎ、都府県酪農の経営は深刻さを増している。酪農家からは、「仲間の廃業が相次いでいる。先行きが不安でたまらない」「飼料代がかさみ生乳を搾れば搾るほど赤字。年が越せるかも分からない」という声が相次いでいる。生産者団体は、酪農経営を守るために飲用乳価一キロ十円程度の引き上げが緊急に必要と、飲用乳価の引き上げを乳業メーカーに求めているが、乳業メーカーは、二度も回答を延期するとともに、九月末の回答もさらに延期しようとしている。このままこの事態を放置していたならば、都府県酪農は、多くの離農者を生み、酪農生産自身が危機を迎えることになる。ついては、以下質問をする。

一 岩手県では、二〇〇七年末の酪農家の労働報酬が一時間当たり二百三十円という試算があり、大分県では、二〇〇七年度で、五十~六十頭規模の酪農家の平均年間所得が二十六万五千円にすぎない。また、千葉県では、五十頭経営で二〇〇七年の所得がマイナス九十六万円、三十八頭経営でマイナス二百十万円となり、本年九月時点では、毎月の乳代で経費が払いきれない酪農家が七割に達していると指摘されている。政府は、現在の都府県酪農の経営状況をどのように評価しているのか。

二 乳用メス牛のと畜頭数は、今年の七月には、二万九千七百六十三頭と年間三十六万頭ペースに匹敵する極めて多いと畜頭数となった。これは、酪農家の離農の急増による乳用メス牛の放出が原因と思われるが、政府は、都府県酪農の離農状況をどのように受け止めているのか。

三 政府は、飲用乳価の引き上げを求める生産者団体に対して、乳業メーカーが、回答を延期し続けている現状について、都府県酪農経営にどのような影響を与えると考えているのか。

四 都府県酪農の経営破綻を回避するために、政府はどのような対策をとろうとしているのか。

五 乳業メーカーの回答が延期され続ける中で、都府県酪農の経営は、深刻化しているが、規模拡大のために従前の農林漁業金融公庫資金を借りている酪農家は、十月に訪れる返済期日の資金繰りに苦慮している。返済不能な場合は、一四%の高利延滞利子が発生し、不動産の売却や自己破産に追い込まれる。政府においては乳業メーカーの回答があるまで、公庫負債の返済の一時凍結処置を検討すべきと考えるが、どうか。

  右質問する。