第170回国会(臨時会)
質問第二三号 低年齢児保育及び保育所の民営化に関する質問主意書 右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。 平成二十年九月三十日 水戸 将史
参議院議長 江田 五月 殿 低年齢児保育及び保育所の民営化に関する質問主意書 近年、低年齢児保育に対するニーズが高まっており、低年齢児保育の促進は少子化対策を進める上においても不可欠の政策課題であるが、財政面での課題も多い。特に、公立保育所の廃止・民営化が各地で見られ、保護者の訴訟も起きている。 保育行政の充実は幼児の健全な成長のために必要不可欠の政策課題であることを踏まえ、以下質問する。 一 育児休業法の普及が進み、出産時の退職者が減り、産休後すぐに職場復帰をする母親が増えたため、零歳~二歳の低年齢児保育に対するニーズが高まっている。現在、零歳児や一・二歳児の低年齢児保育を実施している保育園の数、保育園全体に占める割合を都道府県ごとに明らかにされたい。 二 児童福祉施設最低基準において、保育士の配置基準が三歳児の場合は二十人に保育士一人、四歳以上の幼児は三十人に一人であるのに対し、零歳児は三人に一人、一・二歳児は六人に一人となっている。この理由は何か、見解を明らかにされたい。 三 民間保育園の関係者からは、低年齢児保育を促進するため現行の保育士配置基準の見直しを求める声が強いが、これに対する政府の見解を明らかにされたい。 四 待機児童の数は年々増えている。保育所の定員が増えても保育所入所希望者の増加に追いつかないというのが実態である。そうした中、政府は今後、低年齢児保育の推進についてどのような施策を考えているのか、明らかにされたい。 五 保育所には自治体の運営する公設のものと民間経営のものとがある。保育所における公営と民営の違い、役割について国はどのように認識しているのか、見解を明らかにされたい。 六 指定管理者制度の導入により、同制度を保育所運営に適用する自治体が増えているが、受託者側は契約期間終了後、再度委託されるのか不安感を持つものも少なくない。幼児教育に重要な位置を占める保育所の運営をこうした契約制度に委ねることは妥当と考えるのか、見解を明らかにされたい。 七 公立保育所の民営化について各地の保護者から訴訟が起こされている。共通して見受けられるのは民営化によって保育士が変わってしまうことに伴うサービスの低下に対する不安感である。国は、利用料金の変更や保育士の入れ替えなどにより民営化後にサービスが低下した事例を把握しているのか、見解を明らかにされたい。また、施策としてなぜ、民営化を進めようとするのか、今後、民営化を積極的に推進する考えなのか、見解を明らかにされたい。 右質問する。 |