質問主意書

第170回国会(臨時会)

質問主意書


質問第八号

米軍人、軍属等の任意自動車保険の加入義務に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十年九月二十五日

糸数 慶子   


       参議院議長 江田 五月 殿



   米軍人、軍属等の任意自動車保険の加入義務に関する質問主意書

 日米特別行動委員会(SACO)は平成八年一二月、最終報告において、米軍関係者の私有車両の任意自動車保険への加入義務化に合意した(以下、「SACO合意」という。)。合意文書は「任意自動車保険に関する教育計画が拡充された。さらに米側は、自己の発意により、一九九七年一月から、日米地位協定の下にあるすべての人員を任意自動車保険に加入させることを決定した」旨、記している。しかし、実態は車両登録時に任意自動車保険への加入が確認された後、保険を解約し保険料の払い戻しを受け、加入を逃れているとされ、加入義務化の実効性に対する疑念が指摘されている。米軍関係者の私有車両の任意自動車保険への加入義務化は、日米地位協定の下にある米軍人、軍属、その家族(以下、「米軍人、軍属等」という。)の公務外における交通事故等に対し、被害者への補償の観点から合意されたものであり、政府としてもSACO合意の履行に関し、主体的に把握、検証する必要があると考える。
 よって以下、質問する。

一 政府は、米軍人、軍属等の私有車両の任意自動車保険の加入に関し実態調査を行ったことがあるか明らかにされたい。

二 政府は、米軍人、軍属等が車両登録時に任意自動車保険に加入し、その後に解約して加入を逃れているという事例を確認、もしくは把握したことがあるか。

三 政府は、SACO合意以降、米軍人、軍属等の公務外での交通事故等において、被害者側から「当事者が任意自動車保険に加入しておらず、補償に不安がある」等、相談を受けたことがあるか。ある場合には、その件数を明らかにされたい。

四 政府は、SACO合意以降、米軍人、軍属等による公務外の交通事故等に関し、任意自動車保険に加入していなかったことにより被害者への補償がなされず、当事者間の訴訟等の問題が発生した事例を把握しているか明らかにされたい。

五 SACO合意以降、米軍人、軍属等による公務外の交通事故等に関し、任意自動車保険に加入していなかったことにより被害者への補償がなされず、政府として被害者に対する見舞金等を支給する等の処理に当たったことがあるか。

六 政府は、米軍人、軍属等の公務外における様々な問題に対し、任意自動車保険の加入義務化をはじめ、平成一六年の米軍人、軍属等の「基地外」の車庫証明書取得義務化等、米軍側の意向に添った日米地位協定の運用の改善によって対処しているが、その実効性は疑わしく、日米地位協定の抜本的改正が必要と考える。日米地位協定の抜本的改正の必要性について、政府の見解を明らかにされたい。

  右質問する。