質問主意書

第169回国会(常会)

答弁書


答弁書第一九五号

内閣参質一六九第一九五号
  平成二十年六月二十七日
内閣総理大臣 福田 康夫   


       参議院議長 江田 五月 殿

参議院議員牧山ひろえ君提出我が国の寄附税制に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員牧山ひろえ君提出我が国の寄附税制に関する質問に対する答弁書

一について

 平成十九年度における指定寄附金の支出先の対象となる法人又は事業の数は延べ七百六十八であり、平成二十年における特定公益増進法人の数については、同年七月中旬を目途に取りまとめる予定であるが、現時点で把握しているものは、同年四月一日における社会福祉法人を除く特定公益増進法人の数は二千四百七十二、平成十九年三月三十一日における社会福祉法人である特定公益増進法人の数は一万八千六百三十四であり、平成二十年六月二十日における認定特定非営利活動法人の数は八十七であると承知している。
 お尋ねの他の主要国の寄附優遇団体数との違いについては、諸外国における公益活動についての沿革やこれに対する社会の意識等がそれぞれの国により様々であり、我が国と諸外国との間で単純に比較することは適当ではないと考えている。

二について

 個人の寄附金については、所得税法(昭和四十年法律第三十三号)第七十八条の規定により、特定の公益目的のものについて、総所得金額等の一定割合を限度として所得控除できる寄附金控除制度が設けられている。
 寄附金控除制度については、近年の税制改正において累次にわたる拡充を図ってきており、平成十七年度税制改正において控除対象限度額を総所得金額等の百分の二十五相当額から百分の三十相当額に引き上げ、平成十八年度税制改正において適用下限額を一万円から五千円に引き下げ、平成十九年度税制改正において控除対象限度額を総所得金額等の百分の四十相当額に引き上げる措置を講じているところである。これらの措置により、個人が、民が担う公益活動に主体的に参加し、公益法人等の慈善事業が活性化することに資するものと考えている。

三について

 寄附優遇の対象とされている法人のうち、独立行政法人については、独立行政法人通則法(平成十一年法律第百三号)第三十八条により、地方独立行政法人については、地方独立行政法人法(平成十五年法律第百十八号)第三十四条により、日本司法支援センターについては、総合法律支援法(平成十六年法律第七十四号)第四十四条により、日本私立学校振興・共済事業団については、日本私立学校振興・共済事業団法(平成九年法律第四十八号)第三十二条により、国立大学法人及び大学共同利用機関法人については、国立大学法人法(平成十五年法律第百十二号)第三十五条において準用する独立行政法人通則法第三十八条により、それぞれ、財務諸表等を一般の閲覧に供しなければならないとされているところである。更生保護法人については、更生保護事業法(平成七年法律第八十六号)第二十九条により、請求があったときは、収支計算書等を閲覧に供しなければならないとされており、学校法人については私立学校法(昭和二十四年法律第二百七十号)第四十七条により、社会福祉法人については、社会福祉法(昭和二十六年法律第四十五号)第四十四条により、それぞれ、利害関係人から請求があったときは、収支計算書等を閲覧に供しなければならないこととされている。民法(明治二十九年法律第八十九号)第三十四条により設立された法人については、公益法人の設立許可及び指導監督基準(平成八年九月二十日閣議決定)により収支計算書等を一般の閲覧に供することを政府として指導監督している。自動車安全運転センター及び日本赤十字社については、それぞれ、法令による義務付けはないが、財務諸表等を公開しているところである。
 認定特定非営利活動法人については、特定非営利活動促進法(平成十年法律第七号)第二十八条により、利害関係人から請求があったときは、事業報告書等を閲覧させなければならないとされているとともに、同法第二十九条により、所轄庁に提出された事業報告書等の一般の閲覧が可能となっている。
 したがって、お尋ねのように、寄附優遇の対象とされている法人に対して、収支計算書等の公表を更に義務付けることが必要であるとは考えていない。