質問主意書

第169回国会(常会)

答弁書


答弁書第一九〇号

内閣参質一六九第一九〇号
  平成二十年六月二十七日
内閣総理大臣 福田 康夫   


       参議院議長 江田 五月 殿

参議院議員藤末健三君提出平成二十年度以降の加入光ファイバーに係る接続料の改定に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員藤末健三君提出平成二十年度以降の加入光ファイバーに係る接続料の改定に関する質問に対する答弁書

一について

 東日本電信電話株式会社又は西日本電信電話株式会社(以下「NTT東西」という。)における平成二十年度以降の加入光ファイバ接続料に係る接続約款の変更認可の申請については、平成二十年六月二十四日の情報通信審議会において認可をすることが適当である旨の答申が行われ、同日に認可をしたところである。

二について

 平成二十年一月九日にNTT東西から申請(以下「当初申請」という。)が行われ、同月十五日に情報通信審議会に諮問したが、当初申請については、同年三月二十七日の情報通信審議会答申(以下「三月答申」という。)において、「ダークファイバ需要予測を修正した上で加入光ファイバ接続料を再算定するとともに、乖離額調整制度に係る規定の修正を行うこと」が要望されたことを踏まえ、同年四月二十三日に、NTT東西から当初申請を補正した申請(以下「補正申請」という。)が行われたものである。
 補正申請においては、三月答申を踏まえ、ADSL市場の需要拡大期における接続需要の伸び率や設備競争への進展の配慮等を総合的に勘案してダークファイバ(NTT東西が他事業者に対して貸し出す加入光ファイバをいう。以下同じ。)の需要予測を修正し、加入光ファイバ接続料を適切な水準に設定しており、予測と実績が乖離した場合の乖離額をNTT東西のみに負担させることは適当ではないことから、今回の補正申請に限定して乖離額調整制度の導入を特例的に認めたところである。

三について

 補正申請は、平成二十年度から平成二十二年度までの三年間を算定期間として、当該期間内の加入光ファイバに係る需要及び費用を予測する方法により接続料を算定している。その場合の当該予測の考え方や具体的な数値の妥当性については、総務大臣が、接続料規則(平成十二年郵政省令第六十四号)及び電気通信事業法関係審査基準(平成十三年一月六日総務省訓令第七十五号)の規定に基づき審査を行うとともに、当該審査は、情報通信審議会に諮問した上で、同審議会の審議・答申も踏まえて行われるものである。さらに、当該答申の過程では、同審議会による答申案に対する意見募集も行われることから、これらによりお尋ねの加入光ファイバの需要予測及び設備費用の妥当性は担保されると考える。

四から六までについて

 シェアドアクセス方式(加入者宅の近傍の電柱上に設置される局外スプリッタにおいて一芯の加入光ファイバが最大で八本の分岐端末回線に分岐してサービス提供される方式をいう。)の加入光ファイバにおける分岐端末回線単位の接続料設定については、複数の電気通信事業者の間で一芯の光ファイバを共用して実現する形態と各電気通信事業者が一芯の光ファイバを専用する形態の二つの形態が考えられるところである。
 お尋ねの一分岐単位の課金方法がとれない理由については、前者の形態をとると、新サービス提供等の際に加入光ファイバを共用する関係事業者間での調整が必要となり機動的な事業展開が制約されること、現在の分岐の仕組みを固定的にとらえることは、今後、映像配信等サービスの高度化・大容量化を見据えた場合、新サービス提供上の支障となる可能性があること、また電力系事業者やCATV事業者を中心にサービス競争及び設備競争に与える影響が特に懸念されていることなどから、NTT東西を含めて当該形態を実現することは、現時点では必要不可欠な措置とまでは言えないと考えることによる。
 また、分岐利用度に応じた課金体制等を工夫するべきではないかとのお尋ねについては、後者の形態をとると、NTT東西のシステムを改修するための費用・期間が必要となり直ちに実現することが困難という技術的問題があり、また、分岐端末回線の接続料を合理的な水準に設定することにも必ずしも容易ではない面があることに加え、FTTHサービスの提供費用を低廉化し、もってFTTH市場における競争促進を図る観点からは、加入光ファイバ一芯当たりの接続料そのものの低廉化を図ることが最も直接的・効果的な措置であることから、当該形態の実現ではなく、平成二十年度以降の加入光ファイバ接続料の更なる低廉化を図ることが必要と考えたものである。

七について

 平成二十年度以降の加入光ファイバ接続料については、当初申請と比べて更なる低廉化が図られたところである。これに加えて、競争事業者間で加入光ファイバの共用に積極的に取り組むことにより、FTTHサービスの提供費用を更に低廉化させることが可能であることから、その取組状況やダークファイバ芯線の利用状況など、FTTH市場における事業者間競争の進展状況を注視することが必要であり、分岐端末回線単位の加入光ファイバ接続料の設定については、今後、市場環境や分岐に係る技術等の変化を確認の上、改めて検討することが適当と考えている。
 なお、「NTTの組織問題」については、平成十八年六月二十日の「通信・放送の在り方に関する政府与党合意」において、「ブロードバンドの普及状況やNTTの中期経営戦略の動向などを見極めた上で2010年の時点で検討を行い、その後速やかに結論を得る。」とされ、同年七月七日に閣議決定された「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2006」において、「「通信・放送の在り方に関する政府与党合意」に基づき、世界の状況を踏まえ、通信・放送分野の改革を推進する。」とされているところであり、政府としては、当該方針に基づき対応してまいりたい。

八について

 NTT東西が設置する管路に関して他事業者が負担すべき金額については、電気通信事業法施行規則(昭和六十年郵政省令第二十五号)第二十三条の四第二項第二号ニ(1)の規定に基づき、正味固定資産価額(管路の取得原価から減価償却相当額を控除した額をいう。)を基礎として接続料の原価の算定方法に準じて算定され、総務大臣が毎年度認可する接続約款(以下「認可接続約款」という。)に規定されるが、認可接続約款に規定される管路の料金額は、契約期間の始期によってその額に差異はなく、NTT東西から管路を借りる事業者が同一年度に負担する料金額は、事業者間で同一であることから、公平性に欠けることはないと考える。

九について

 認可接続約款では、ハーフダクト方式(一条の管路内にケーブル保護用可とう管を二条敷設し各々のケーブル保護用可とう管に一条のケーブルを敷設することにより一条の管路に二条のケーブルを収容することを可能とする方式をいう。)を適用してケーブルの収容を行っている管路については、管路の通常の料金額に二分の一を乗じて得た額に相当する額を適用することとしており、契約期間によって「フルダクト分」の料金が適用されることはないと考える。

十について

 管路・とう道の料金額は、毎年度、NTT東西からその改定に係る接続約款の変更認可の申請が行われるが、当該料金額算定の考え方や具体的な数値の適切性については、総務大臣が、接続料規則及び電気通信事業法関係審査基準の規定に基づき審査を行うとともに、当該審査は、情報通信審議会に諮問した上で、同審議会の審議・答申も踏まえて行われるものである。さらに、当該答申の過程では、同審議会による答申案に対する意見募集も行われることから、これらによりお尋ねの管路・とう道の料金額の妥当性は担保されると考える。