質問主意書

第169回国会(常会)

答弁書


答弁書第一八九号

内閣参質一六九第一八九号
  平成二十年六月二十七日
内閣総理大臣 福田 康夫   


       参議院議長 江田 五月 殿

参議院議員藤末健三君提出グーグルとヤフーの連携と独占禁止法の運用に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員藤末健三君提出グーグルとヤフーの連携と独占禁止法の運用に関する質問に対する答弁書

一について

 御指摘の「国内市場の観点から運用」、「国際的な市場の観点から運用」及び「国際的なマーケットシェアの観点から運用」の意味するところが必ずしも明らかではないが、一般論として申し上げれば、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和二十二年法律第五十四号。以下「独占禁止法」という。)第三条においては、一定の取引分野における競争を実質的に制限する行為である私的独占又は不当な取引制限をしてはならない旨が規定され、また、独占禁止法第十条、第十五条等においては、一定の取引分野における競争を実質的に制限することとなる株式の保有、合併等をしてはならない旨が規定されているところ、公正取引委員会は、「一定の取引分野」の地理的範囲の考え方に関し、例えば、平成十六年五月三十一日に定められた「企業結合審査に関する独占禁止法の運用指針」において、「ある商品について、内外の需要者が内外の供給者を差別することなく取引しているような場合には、日本において価格が引き上げられたとしても、日本の需要者が、海外の供給者にも当該商品の購入を代替し得るために、日本における価格引上げが妨げられることがあり得る。このような場合には、国境を越えて地理的範囲が画定されることとなる。」とし、こうして国境を越えて地理的範囲が画定される商品については、企業結合により結合関係が形成・維持・強化されるすべての会社の当該地理的範囲における市場シェア、順位等を加味して、競争を実質的に制限することとなるか否かを判断するとの考え方を明らかにしている。

二について

 政府は、平成十一年十月、米国政府との間で、それぞれの国の競争法の効果的な執行に貢献することを目的とした「反競争的行為に係る協力に関する日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定」を締結している。公正取引委員会は、当該協定に基づき、米国司法省及び連邦取引委員会との間で執行活動の調整等を行ってきたところであり、今後とも、必要に応じ、米国連邦取引委員会等との協力を行ってまいりたい。

三について

 一般論として申し上げれば、特定の事業者間の提携によってこれらの事業者の技術が独占されることになっても、これらの事業者により独占禁止法が禁止している私的独占、不当な取引制限等に該当する行為が行われない限り、直ちに独占禁止法上の問題となるものではない。