質問主意書

第169回国会(常会)

答弁書


答弁書第一六四号

内閣参質一六九第一六四号
  平成二十年六月二十日
内閣総理大臣 福田 康夫   


       参議院議長 江田 五月 殿

参議院議員福島みずほ君提出「ホームレスの自立の支援等に関する基本方針」に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員福島みずほ君提出「ホームレスの自立の支援等に関する基本方針」に関する質問に対する答弁書

一の1について

 御指摘のような場合には、地方公共団体において、ホームレスに対する相談支援を行う際に、適切な医療機関を紹介するとともに、費用の支払いが困難である者に対しては、生活保護の申請を促すなどの措置をとることが適当であると考える。

一の2について

 御指摘のような場合には、福祉事務所においてホームレスに対して医療機関の受診を促すこととなると考えられるが、医療機関の受診後であっても、生活保護が適用されることとなった場合には、申請時にさかのぼって生活保護が適用されるものである。

一の3について

 御指摘のようなホームレスに対しては、地方公共団体が相談支援を行う際に、個々の事情に応じて、生活保護の申請や医療機関の受診を促すなどの措置をとることが適当であると考える。
 お尋ねの費用分担については、生活保護の適用がある場合は、医療扶助に係る費用について、国が四分の三、地方公共団体が四分の一を負担することとなり、それ以外の場合には、当該ホームレスについては、公的医療保険の適用対象となると考えられることから、当該ホームレスが患者負担部分を、それ以外の費用を保険者が負担することとなると考える。

一の4について

 お尋ねについては、ホームレスが軽度の疾患にかかったとしても、実際に生命に危険が生じていると認められる状態になければ、ホームレスであることのみをもって急迫状態にあるとは言えないと考える。

二の1について

 御指摘の自立支援センターにより提供されるサービスは、生活保護法(昭和二十五年法律第百四十四号)第四条第一項の「その他あらゆるもの」に含まれない。

二の2について

 御指摘の自立支援センターにより提供されるサービスは、生活保護法第四条第二項の「他の法律に定める扶助」に含まれない。

三の1及び2について

 厚生労働省としては、都道府県等からの報告により、社会福祉法(昭和二十六年法律第四十五号)第二条第三項に規定する生計困難者のために無料又は低額な料金で宿泊所を利用させる事業を行う施設(以下「無料低額宿泊所」という。)の実態について把握しているところであるが、当該報告は、公表を前提として都道府県等に対して求めているものではないため、公表していないものである。

三の3について

 無料低額宿泊所の実態については、三の1及び2についてでお答えしたとおり、都道府県等からの報告により把握しているところであり、新たな調査等を行うことは考えていない。

三の4について

 社会福祉法第六十九条第一項の規定に違反して届出を行っていない無料低額宿泊所については、各地方公共団体においてその実態を把握し、必要な措置を講ずるべきものであると考える。

三の5について

 お尋ねについては、例えば、無料低額宿泊所の設置運営等に関する法令の整備等の要望が寄せられているところである。

三の6について

 厚生労働省としては、無料低額宿泊所の事業の透明性を確保するため、「社会福祉法第二条第三項に規定する生計困難者のために無料又は低額な料金で宿泊所を利用させる事業を行う施設の設備及び運営について」(平成十五年七月三十一日付け社援発第〇七三一〇〇八号厚生労働省社会・援護局長通知)において「無料低額宿泊所の設備、運営等に関する指針」を示し、当該指針に基づいて適正に経営を行うよう指導監督を行っているところであり、御指摘のような義務付けを行うことは考えていない。

四の1について

 ホームレスの自立の支援等に関する基本方針(平成十五年厚生労働省・国土交通省告示第一号)においては、「ホームレスとなることを余儀なくされるおそれのある者としては、一般的には現に失業状態や不安定な就労関係にあり、かつ、定まった住居を喪失し不安定な居住環境にある者等が想定される。」としており、お尋ねの者がこのような状況にあるのであれば、ホームレスの自立の支援等に関する特別措置法(平成十四年法律第百五号)第三条第一項第二号に規定する「ホームレスとなることを余儀なくされるおそれのある者」に該当するものである。

四の2及び3について

 お尋ねの「おそれのある者」全体の実態については、把握していない。そもそも、そのような者の状況は様々であり、その実態を網羅的に把握することは困難であると考えられるところ、その調査を行うことも考えていないが、「おそれのある者」の個々の状況についてであれば、地方公共団体において相談支援を行う際に把握しているところである。