質問主意書

第169回国会(常会)

答弁書


答弁書第一六一号

内閣参質一六九第一六一号
  平成二十年六月二十日
内閣総理大臣 福田 康夫   


       参議院議長 江田 五月 殿

参議院議員辻泰弘君提出新たな高齢者医療制度における療養の給付に係る一部負担金の軽減特例措置に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員辻泰弘君提出新たな高齢者医療制度における療養の給付に係る一部負担金の軽減特例措置に関する質問に対する答弁書

一から三までについて

 平成十八年の医療制度改革においては、今後、高齢化に伴う医療費の増大が見込まれる中で、七十五歳以上の高齢者等を対象に、平成二十年度から後期高齢者医療制度を創設し、これまでの医療に加えて、一人一人の生活面を含めて丁寧に診ていく医療を提供するとともに、長年、社会に貢献してこられたこうした方々の医療費について、現役世代と高齢者の負担の公平化及び明確化を図りつつ、国民全体で支える仕組みとしたところであるが、七十歳から七十四歳までの方々にも、応分の負担をいただく必要があるという観点から、これらの方々に係る一部負担金等の割合について、同年度から一割から二割に見直すこととしたところである。
 厚生労働省としては、このような医療制度改革の考え方は引き続き堅持しつつ、平成二十年度における高齢者の置かれている状況に配慮し、その円滑な実施を図るという政策判断に基づいて、法改正によることなく、予算措置により高齢者の医療費の自己負担分を軽減し、その分を公費で助成する特例措置(以下「特例措置」という。)を講ずることとしたものである。
 特例措置は、健康保険法(大正十一年法律第七十号)等の医療保険各法に定める一部負担金等の支払義務等を前提とした上で、保険医療機関等に診療報酬の支払等を行う審査支払機関に対して、国が必要な財源を交付することを通じて、七十歳から七十四歳までの方々に係る一部負担金等の軽減分に相当する額について、国がこれらの方々に代わって保険医療機関等に支払うものであって、当該支払義務等を変更するものではなく、お尋ねの厚生労働省保険局長通知は、このような特例措置の内容を具体化した実施要綱である。当該実施要綱を踏まえ、審査支払機関が七十歳から七十四歳までの方々に係る一部負担金等の軽減分に相当する額をこれらの方々に代わって保険医療機関等に支払う場合には、補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律(昭和三十年法律第百七十九号)等に基づく補助金等の交付基準である「平成十九年度高齢者医療制度円滑導入臨時特例交付金交付要綱」(平成二十年三月七日付け厚生労働省発保第○三○七○○四号厚生労働事務次官通知)に基づき、当該審査支払機関に交付された高齢者医療制度円滑導入臨時特例交付金により造成された基金から、当該軽減分に相当する額が取り崩されることとなるものであり、当該交付金に必要な財源については、平成十九年度補正予算案に計上され、国会の御審議を経て本年二月六日に成立したところである。なお、今回の特例措置のほかにも、既に難病対策などについて、国及び地方自治体において予算措置による医療費の自己負担分の軽減が行われているところである。

四について

 介護保険制度における保険料の徴収は、特別徴収の方法によることが原則であるが、当該制度導入時における特例として、介護保険法施行法(平成九年法律第百二十四号)第十六条第三項の規定が設けられ、介護保険法(平成九年法律第百二十三号。以下「法」という。)の施行後半年間については、特別徴収の実施は市町村の任意とされていた。また、法第百三十一条の規定により、特別徴収の方法による徴収をしない場合は普通徴収の方法による徴収を行うこととなり、その場合の納期は、法第百三十三条の規定により、市町村の条例で定めることとされている。さらに、法第百二十九条第二項の規定により、保険料は、政令で定める基準に従い条例で定めるところにより算定された保険料率により算定された保険料額によって課することとされ、介護保険法施行令(平成十年政令第四百十二号)第三十八条及び第三十九条において当該基準が定められているほか、法第百四十六条の規定により、法定事項以外の保険料の賦課徴収に関する事項は、政令で定める基準に従って条例で定めることとされている。御指摘の軽減措置については、これらの規定を踏まえ、市町村が、法施行後半年間は、特別徴収をしないこととし、条例により、普通徴収の納期を当該半年間経過後に設定するとともに保険料の四分の三の軽減を行うことにより、保険料の賦課単位である年度の前半は保険料の徴収を行わず、年度の後半において、保険料を二分の一減額して徴収を行ったものであり、この取扱いは、法律上問題となるものではない旨説明してきたところである。

五について

 御指摘の介護保険制度導入時の保険料の軽減措置については、四についてでお答えしたとおり、保険料は年度の前半では徴収されていないが、年度単位でみて保険料が現に軽減された上で、賦課徴収されている。一方、特例措置については、一から三までについてでお答えしたとおり、健康保険法等の医療保険各法に定める一部負担金等の支払義務等を前提とした上で、七十歳から七十四歳までの方々に係る一部負担金等の軽減分に相当する額について、国がこれらの方々に代わって予算措置として保険医療機関等に支払うものであり、両者は、性格が異なるものである。

六について

 七十歳から七十四歳までの方々に係る一部負担金等の割合の見直しについては、平成十八年の医療制度改革の一環をなすものとして、一から三までについてでお答えしたとおり、引き続き堅持することが必要であると考えており、現時点においては、御指摘の立法措置による見直しを行うことは考えていない。