質問主意書

第169回国会(常会)

答弁書


答弁書第一六○号

内閣参質一六九第一六○号
  平成二十年六月二十日
内閣総理大臣 福田 康夫   


       参議院議長 江田 五月 殿

参議院議員小池晃君提出労働災害の発生防止と労働監督機関の対応に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員小池晃君提出労働災害の発生防止と労働監督機関の対応に関する質問に対する答弁書

一について

 お尋ねの労災事故防止の目標設定については、業種別及び年別の目標を設定すること並びに都道府県労働局が策定する推進計画に掲げる死亡者数に関して具体的な数値目標を設定することが勧告されている。
 業種別の目標の設定については、平成二十年三月十九日に厚生労働大臣が策定した第十一次労働災害防止計画(以下「災防計画」という。)において、労働災害防止団体が関係業種の実態を踏まえ、各関係業種別の目標を含む計画を策定することとしている。また、年別の目標の設定については、災防計画において、死亡者数及び死傷者数に関する目標を設定するとともに、平成二十四年までの間、これらの目標に向けた逐年での減少を図ることとしている。
 また、都道府県労働局が策定する推進計画における死亡者数に関する具体的な数値目標の設定については、「労働災害防止計画の推進について」(平成二十年三月十九日付け基発第○三一九○○一号厚生労働省労働基準局長通知)により、都道府県労働局長に対し、推進計画の策定に当たっては、死亡者数及び死傷者数に関する目標を設定するよう指示しているところであり、また、当該目標については、全国の目標と比べて低いものとすることは不適切である旨指示している。
 お尋ねの情報提供の推進については、心理的状況等の人的要因等も加味した労働災害の発生原因等の総合的な分析結果に関する情報及び幅広い業種や対象物等に関して、事業場が実施したリスクアセスメントの実施事例、改善効果等の情報についてホームページに掲載する等によりその情報提供を充実すること及び構造規格等の規定と当該規定に関する通達等をホームページ上でリンクさせること等により情報提供を充実することが勧告されている。
 これらについては、厚生労働省では、心理的状況等の人的要因等も加味した労働災害等の発生原因等について総合的な分析を行うための準備を進めるとともに、危険性又は有害性等の調査等の作業別実施マニュアル等を作成し、同省のホームページに掲載している。また、構造規格等及び当該規格等に関連する通達をホームページ上でリンクさせるための準備等を進めているところである。

二について

 事業者は、その使用する労働者が労働災害等により死亡又は休業したときは、労働安全衛生規則(昭和四十七年労働省令第三十二号)第九十七条の規定に基づき、所轄の労働基準監督署長に労働者死傷病報告書を提出しなければならないこととされており、厚生労働省においては、当該報告書により労働災害の発生件数を把握している。
 また、死亡災害については、所轄の労働基準監督署において労働者死傷病報告書により実態を把握するほか、原則として災害調査を実施している。

三について

 お尋ねの事業場の箇所数については、それを把握するためには、労働者死傷病報告書等を一つ一つ確認する必要があり、その作業に時間を要するためお答えすることは困難である。
 業務に起因する重大災害又は死亡災害が発生した事業場に対しては、所轄の労働基準監督署において原則としてその災害の発生の都度災害調査を実施し、再発防止の徹底のための指導等を行っているところである。

四について

 お尋ねの安全管理特別指導事業場の数は、厚生労働省として把握している直近の五年間については、平成十四年度において六百九十二、平成十五年度において六百六十一、平成十六年度において六百三十一、平成十七年度において六百四十、平成十八年度において六百九である。
 また、安全管理特別指導事業場に対する指導の結果については、指導した年度及びその前年度における安全管理特別指導事業場全体の度数率(百万延実労働時間当たりの労働災害による死傷者数をいう。)及び強度率(千延実労働時間当たりの延労働損失日数をいう。)を比較する形で公表しているところである。

五について

 御指摘のような場合に遺族に対し説明を行うか否かは、遺族と事業場との問題であり、厚生労働省として、事業場に対する指導は行っていない。

六について

 厚生労働省としては、行政機関の保有する情報の公開に関する法律(平成十一年法律第四十二号)に基づき、遺族から事故原因等について開示請求があれば、公にすることにより事業者の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがある情報等を除き、開示しているところである。

七について

 刑事事件として捜査が行われているか否かにかかわらず、当該労働災害が発生した事業場に対しては、必要に応じて再発防止のための指導等を行っているところである。