質問主意書

第169回国会(常会)

答弁書


答弁書第一五四号

内閣参質一六九第一五四号
  平成二十年六月二十日
内閣総理大臣 福田 康夫   


       参議院議長 江田 五月 殿

参議院議員松野信夫君提出日米地位協定の運用に関する再質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員松野信夫君提出日米地位協定の運用に関する再質問に対する答弁書

一の1及び2について

 御指摘の「第一次的な捜査権」の意味するところが必ずしも明らかではないが、本年四月十三日に沖縄県北谷町で発生した米軍の構成員(以下「米軍人」という。)の家族による窃盗被疑事件(以下「本件事件」という。)については、アメリカ合衆国側からは、米軍の憲兵隊は、米軍人の家族が商店で窃盗を働き、逃げ出そうとしている旨の通報を受けて、現場に赴き、この者が暴力を働く可能性を防ぐために手錠をかけたものであるが、米軍の憲兵隊として、窃盗の容疑で当該米軍人の家族を逮捕したものではないとの説明を受けている。米軍の憲兵隊が、沖縄県警察が現場に到着するまでの間かかる措置をとることは、刑事裁判管轄権に関する事項についての日米合同委員会合意第10(1)において、米軍の法執行機関は、施設及び区域外において、米軍の軍属又は家族の間における秩序及び規律の維持に当たることができるとされていることからであるが、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定(昭和三十五年条約第七号)第十七条6(a)は、日本国の当局及びアメリカ合衆国の軍当局は、犯罪についてのすべての必要な捜査の実施について、相互に援助しなければならない旨を定めており、沖縄県警察が現場に到着して以降、米軍の憲兵隊は、沖縄県警察による本件事件の捜査について必要な協力を行うべきものであったと考えている。

二について

 刑事裁判管轄権に関する事項についての日米合同委員会合意第10(1)において、米軍の法執行機関は、施設及び区域外において、米軍人に加え、米軍の軍属又は家族の間における秩序及び規律の維持に当たることができる旨の合意がなされているところ、米軍の法執行機関による秩序及び規律の維持は、被害者及び加害者が米軍人、軍属又はそれらの家族のみから成る事案のみに限定されているわけではないと考えている。

三について

 御指摘の申入れについては、本年四月十七日及び五月二日、外務省から在京米国大使館に対して行った。これらの申入れを受けて、アメリカ合衆国側からは、憲兵隊を含む在日米軍は、沖縄県警察の捜査に全面的に協力することを約束する旨の説明を受けており、また、沖縄県警察においては、在日米軍の協力を得て、被疑少年二名を窃盗等により那覇地方検察庁に送致しており、その後の捜査上の障害はなかったものと認識している。