質問主意書

第169回国会(常会)

答弁書


答弁書第一五一号

内閣参質一六九第一五一号
  平成二十年六月二十日
内閣総理大臣 福田 康夫   


       参議院議長 江田 五月 殿

参議院議員辻泰弘君提出自動車通勤者等に対する通勤手当の所得税の非課税限度額に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員辻泰弘君提出自動車通勤者等に対する通勤手当の所得税の非課税限度額に関する質問に対する答弁書

一から三までについて

 給与所得者がその通勤に必要な交通機関の利用又は交通用具の使用のために支出する費用に充てるものとして通常の給与に加算して受ける通勤手当については、通勤手当が通勤費用の実費弁償的な性格を有することにかんがみ、所得税法(昭和四十年法律第三十三号)第九条第一項第五号の規定により、一般の通勤者につき通常必要であると認められる部分について、所得税は非課税とされている。
 自転車その他交通用具を使用することを常例とする者(以下「自転車等通勤者」という。)が受給する通勤手当については、一般の通勤者につき通常必要であると認められる部分か否かについての客観的な基準として、所得税法施行令(昭和四十年政令第九十六号)において通勤距離に応じた基準を定めているところである。
 具体的には、所得税法施行令第二十条の二第二号において、基本的には、民間の通勤手当の支給状況等を勘案した人事院勧告に基づいて決定される国家公務員の通勤手当の支給限度額が通勤距離に応じて定められていることを踏まえ、これを参考にして非課税となる通勤手当の基準を定めている。さらに、一定の自転車等通勤者については、支給された通勤手当の金額のうち、通勤のため交通機関を利用したならば負担することとなるべき運賃又は料金で、その者の通勤に係る運賃、時間、距離等の事情に照らし最も経済的かつ合理的と認められる通常の通勤の経路及び方法によるものの額に相当する金額(一月当たりの金額が十万円を超えるときは、一月当たり十万円)までの金額は非課税とされている。
 この基準については、国家公務員の給与改定の動向等を踏まえ、必要に応じてその引上げが図られてきているところである。
 なお、給与所得者が支出する通勤費用については、所得税法第五十七条の二第二項第一号の規定により、特定支出控除の対象とされており、実額で給与収入から控除することも可能とされている。

四について

 一から三までについてで述べたとおり、現行制度の考え方は、非課税となる通勤手当の範囲を客観的に画する基準として合理的なものであると考えている。

五及び六について

 人事院においては、人事院勧告に向け、自転車等通勤者に係る民間の通勤手当を含め民間給与の支給実態に関する調査を行っているところであり、御指摘の点については、こうした調査の結果等を含め、国家公務員の給与改定の動向等を踏まえて検討すべき事柄と考えている。