質問主意書

第169回国会(常会)

答弁書


答弁書第一五○号

内閣参質一六九第一五○号
  平成二十年六月二十日
内閣総理大臣 福田 康夫   


       参議院議長 江田 五月 殿

参議院議員長浜博行君提出PCB処理の推進に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員長浜博行君提出PCB処理の推進に関する質問に対する答弁書

一について

 ポリ塩化ビフェニル廃棄物(以下「PCB廃棄物」という。)の保管の状況については、旧厚生省において、PCB廃棄物を保管する事業所を対象として、平成四年度及び平成十年度に都道府県等を通じた調査を行い、PCB廃棄物の紛失等を含め、把握を行った。その後、ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法(平成十三年法律第六十五号。以下「PCB特別措置法」という。)が制定されて以降については、事業活動に伴ってPCB廃棄物を保管する事業者は、PCB特別措置法第八条に基づき、PCB廃棄物の保管及び処分の状況に関し、都道府県知事に毎年度届出を行っており、当該届出に基づき、都道府県知事が、PCB廃棄物を保管する事業所に対してPCB特別措置法第十四条に基づく指導等やPCB特別措置法第十八条に基づく立入検査等を行っているところであるが、環境省として、PCB廃棄物の紛失の状況について把握はしていない。

二について

 日本環境安全事業株式会社(以下「JESCO」という。)は、日本環境安全事業株式会社法(平成十五年法律第四十四号。以下「JESCO法」という。)第一条第一項において、PCB廃棄物の処理に係る事業等を経営することを目的とする株式会社とされており、その所有する全国五か所の施設において、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和四十五年法律第百三十七号)の規定に基づき、PCB廃棄物の処理を行っているものである。

三について

 JESCOは、JESCO法第七条に基づき、平成十六年六月に、PCB廃棄物の処理施設の設置の場所、当該処理施設における処理量の見込み及び処理の方法等の事項に関する計画(以下「事業基本計画」という。)を定め、事業基本計画に基づきPCB廃棄物の処理に係る事業を行っている。また、JESCOにおいては、事業基本計画を受けて行われる具体的なPCB廃棄物の搬入の時期、量等について、施設ごとに、当該施設におけるPCB廃棄物の計画的な搬入を確保し、安全かつ効率的に処理が実施できるよう、関係都道府県等と十分な連絡調整を行った上で、計画を定めているところである。
 JESCOによれば、事業基本計画における処理の完了の予定時期までの処理量の見込みに対する平成十六年度から平成十九年度までの間におけるJESCOのPCB廃棄物の処理量の実績の割合は、高圧トランスについては約六パーセント、高圧コンデンサについては約六パーセント、低圧トランス、低圧コンデンサ、リアクトル、放電コイル、サージアブソーバー、計器用変成器、開閉器、遮断器及び整流器等のうち高圧トランス及び高圧コンデンサと同程度の大きさのもの(以下「その他機器」という。)については約三パーセント、廃ポリ塩化ビフェニル及びポリ塩化ビフェニルを含む廃油(以下「廃PCB等」という。)については約六パーセント、低圧トランス、低圧コンデンサのうち小型のもの、安定器等の小型の電気機器が廃棄物となったもの及び感圧複写紙、ウエス、汚泥等のポリ塩化ビフェニル汚染物(以下「汚染物等」という。)については約〇・〇二パーセント、柱上トランス油については約二十五パーセントとのことである。また、JESCOによれば、本年五月に五か所すべてにおいて、高圧トランス、高圧コンデンサ、その他機器及び廃PCB等の処理が開始され、さらに、このうち二か所においては、汚染物等を処理するための施設の整備が進められているところであり、これらの施設が本格的に稼働されることで、事業基本計画に従って平成二十七年三月までに処理を進めていくこととしているとのことである。

四について

 JESCOによれば、年度ごとの決算における当期純損益の額は、平成十六年度が二十三億九千九百九十万二千百六十七円の損失、平成十七年度が七十八億三百八十二万二百四十九円の損失、平成十八年度が百二十六億八千七百六十万七千五百五十八円の損失とのことである。また、独立行政法人環境再生保全機構によれば、独立行政法人環境再生保全機構法(平成十五年法律第四十三号)第十六条第一項に基づき設けられたポリ塩化ビフェニル廃棄物処理基金による中小企業者等への助成の金額の実績は、平成十七年度は三千六百六十四万三千六百五十七円、平成十八年度は四千六百十六万九千六十二円とのことである。

五について

 平成二十年四月一日現在でJESCOに在籍している役員については、環境省大臣官房付(元地球環境局長)であった者が一名、同省自然環境局自然環境計画課長であった者が一名いるが、JESCOによれば、その他の平成二十年四月一日現在でJESCOに在籍している者であって中央省庁を退職後にJESCOに再就職したものはいないとのことである。

六について

 JESCOは、政府及び民間企業等に対してその業務に必要な人材の派遣を求め、関係法令に従い、事業基本計画に定める処理の完了の予定時期までにPCB廃棄物の処理を完了するよう事業を行っており、これまで適正にその業務を遂行してきているものと認識している。環境省としては、PCB特別措置法に基づき環境大臣が定めたポリ塩化ビフェニル廃棄物処理基本計画に沿って、今後とも適切にPCB廃棄物の処理が進展するものと認識している。