質問主意書

第169回国会(常会)

答弁書


答弁書第一二四号

内閣参質一六九第一二四号
  平成二十年五月二十三日
内閣総理大臣 福田 康夫   


       参議院議長 江田 五月 殿

参議院議員福山哲郎君提出温室効果ガス排出量算定・報告・公表制度に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員福山哲郎君提出温室効果ガス排出量算定・報告・公表制度に関する質問に対する答弁書

一について

 御指摘の三十六事業所のうち、三十五事業所に係る地球温暖化対策の推進に関する法律(平成十年法律第百十七号。以下「法」という。)第二十一条の三の規定による権利利益の保護に係る請求(以下「保護請求」という。)については、当該事業所に係る法第二十一条の二第二項に規定する温室効果ガス算定排出量の情報のうちエネルギーの使用に係るものが公にされることにより、当該事業所に係る特定排出者の競合他社又は取引先が当該事業所に係るエネルギーコスト及び製造原価を推計することが可能となり、当該特定排出者の権利、競争上の地位その他正当な利益が害されるおそれがあるといった趣旨の理由が付されている。
 また、残りの一事業所に係る保護請求については、当該事業所に係る温室効果ガス算定排出量の情報のうちエネルギーの使用以外に係るものが公にされることにより、当該事業所に係る特定排出者の競合他社又は取引先が当該事業所の製造プロセスに係るライセンス契約に規定する重要機密情報を推測することが可能となるとともに、当該事業所に係る製造原価を推計することが可能となり、当該特定排出者の権利、競争上の地位その他正当な利益が害されるおそれがあるといった趣旨の理由が付されている。

二について

 御指摘の三十六事業所のうち、三十五事業所に係る保護請求については、当該事業所に係る温室効果ガス算定排出量の情報のうちエネルギーの使用に係るものが公にされることにより、当該事業所に係る特定排出者の競合他社又は取引先が当該事業所に係るエネルギーコスト及び製造原価を推計することが可能となり、当該特定排出者の権利、競争上の地位その他正当な利益が害されるおそれがあると判断したものである。
 また、残りの一事業所に係る保護請求については、当該事業所に係る温室効果ガス算定排出量の情報のうちエネルギーの使用以外に係るものが公にされることにより、当該事業所に係る特定排出者の競合他社又は取引先が当該事業所の製造プロセスに係るライセンス契約に規定する重要機密情報を推測することが可能となり、当該特定排出者の権利、競争上の地位その他正当な利益が害されるおそれがあると判断したものである。

三及び四について

 「いくつかの事業所の排出量が地方自治体の条例に基づいて公表されていることを認識していた上で、非開示とした」という事実はない。
 経済産業省においては、「地方自治体の条例と条例による公表の実態」について網羅的に調査を行ったことはないが、経済産業大臣は、その所管する事業に係る事業所について保護請求が行われた場合には、当該保護請求に係る温室効果ガス算定排出量に関する情報が含まれる可能性がある各種の情報や企業の環境報告書等の調査を行うとともに、当該保護請求を行った特定排出者に対し、当該保護請求に係る温室効果ガス算定排出量に関する情報の公表の有無等に関するヒアリングを実施している。なお、御指摘の事業所に係る事業者についての当該調査及びヒアリングにおいては、地方自治体の条例による公表の事実は確認できなかった。

五について

 法第二十一条の三第一項に規定する「報告に係る温室効果ガス算定排出量の情報が公にされることにより、当該特定排出者の権利、競争上の地位その他正当な利益が害されるおそれ」の有無の判断に係る基準としては、行政手続法(平成五年法律第八十八号)第五条第一項の規定により御指摘の「審査基準」を策定しているほかには、特段定めていない。

六について

 平成十九年度においては、御指摘の三十六事業所以外に八十五の事業所について保護請求が行われた。
 このうち、経済産業大臣に対しては、八十四の事業所について保護請求が行われ、これらの事業所に係る業種の内訳は、鉱業が一事業所、パルプ・紙・紙加工品製造業が二事業所、化学工業が六事業所、窯業・土石製品製造業が十事業所、鉄鋼業が四十七事業所、金属製品製造業が一事業所、電気機械器具製造業が二事業所、電子部品・デバイス製造業が十三事業所及び娯楽業が二事業所であった。
 また、環境大臣に対しては、一事業所について保護請求が行われ、当該事業所に係る業種は廃棄物処理業であった。
 これらの保護請求については、事業所管大臣が、法第二十一条の三第一項に規定する「報告に係る温室効果ガス算定排出量の情報が公にされることにより、当該特定排出者の権利、競争上の地位その他正当な利益が害されるおそれ」はないと判断したものである。