質問主意書

第169回国会(常会)

答弁書


答弁書第一二〇号

内閣参質一六九第一二〇号
  平成二十年五月十六日
内閣総理大臣 福田 康夫   


       参議院議長 江田 五月 殿

参議院議員櫻井充君提出後期高齢者医療制度に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員櫻井充君提出後期高齢者医療制度に関する質問に対する答弁書

一について

 お尋ねの「高齢者」という用語について画一的な定義はないが、高齢者の医療の確保に関する法律(昭和五十七年法律第八十号)第一条においては、高齢者の医療について、前期高齢者に係る保険者間の費用負担の調整、後期高齢者に対する適切な医療の給付等を行うために必要な制度を設けることとしており、これらの制度において、六十五歳から七十四歳までの者を前期高齢者、七十五歳以上の者を後期高齢者としているところである。

二について

 七十五歳以上の高齢者については、厚生労働省大臣官房統計情報部の患者調査等によれば、生活習慣病を中心に入院による受療率が増加するなどの特性を有しており、一般に生理的機能の低下や日常生活動作能力の低下による症状の増加が見られることから、その心身の特性等に応じたサービスを提供する必要があると考えている。また、今後、高齢化の進展により七十五歳以上の高齢者の医療費は増大することが見込まれることや、限られた財源の中で公費を重点的に投入する必要があることから、対象者を重点化する必要があると考えている。このような観点から、後期高齢者医療制度の対象について、基本的に七十五歳以上の高齢者としたものである。

三について

 七十五歳以上であるか否かに関わらず、男女間では、生理的機能に差があり、例えば、女性特有の疾患があるといった違いが見られるが、介護保険制度、老人保健制度等の関連する諸制度が男女差を考慮したものになっていないこと等から、後期高齢者医療制度においても、男女差を考慮した制度としなかったものである。

四について

 後期高齢者医療の保険料については、被保険者につき算定した所得割額(高齢者の医療の確保に関する法律施行令(平成十九年政令第三百十八号)第十八条第一項第一号に規定する所得割額をいう。)及び被保険者均等割額(同号に規定する被保険者均等割額をいう。以下同じ。)の合計額としているところであるが、社会実態として世帯単位で生計が維持されていることを考慮し、所得の少ない被保険者に係る被保険者均等割額の減額については、被保険者、その属する世帯の世帯主及びその属する世帯の他の世帯員である被保険者につき算定した所得額の合計額の当該世帯における合算額を基に行うこととしているものである。

五について

 年金制度においては、第三号被保険者制度など世帯を前提とした仕組みもあるが、年金給付自体は、個人を単位とし、その受給権を有する者に対して行われるものである。これを前提として、後期高齢者医療の保険料及び国民健康保険の保険料(地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)の規定による国民健康保険税を含む。)並びに介護保険の保険料については、年金からの特別徴収を行っているが、これは、被保険者の保険料納付に係る便宜を図るとともに、市町村における事務の効率化を図ることを目的として実施しているものであり、年金から特別徴収を行うことが国民年金制度の根幹を揺るがすことになるとは考えていない。