質問主意書

第169回国会(常会)

答弁書


答弁書第一一六号

内閣参質一六九第一一六号
  平成二十年五月十三日
内閣総理大臣 福田 康夫   


       参議院議長 江田 五月 殿

参議院議員前川清成君提出「奈良盆地東縁断層帯」及び「生駒断層帯」の位置の特定に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員前川清成君提出「奈良盆地東縁断層帯」及び「生駒断層帯」の位置の特定に関する質問に対する答弁書

一について

 日本原子力発電株式会社においては、原子炉施設の耐震安全性を評価することを目的として、敦賀発電所においてトレンチ調査やボーリング調査等を実施し、浦底断層について、その位置や活動性等を確認しているものと承知している。
 一方、内閣府において中部圏・近畿圏の内陸地震に係る被害想定の検討の結果作成した断層帯の位置を表記した資料(以下「内閣府資料」という。)における奈良盆地東縁断層帯及び生駒断層帯(以下「奈良盆地東縁断層帯等」という。)の位置については、先の答弁書(平成二十年二月五日内閣参質一六九第一○号)の五及び六についてで述べたとおり、地震調査研究推進本部の地震調査委員会の資料(奈良盆地東縁断層帯については平成十三年七月十一日付け資料「京都盆地―奈良盆地断層帯南部(奈良盆地東縁断層帯)の評価」。生駒断層帯については平成十三年五月十五日付け資料「生駒断層帯の評価」)に掲載されているものを用いているところであり、同資料における奈良盆地東縁断層帯等の位置については、同委員会が全国の活断層で発生する地震について、長期的な観点から一定期間内に地震が発生する確率や規模の評価(以下「長期評価」という。)を行うに当たり、その一環として、必要な範囲で特定を行っているものである。

二及び三について

 奈良盆地東縁断層帯等の位置に係る地名、地番等の特定は、技術的には一定の範囲で可能であると考えられるが、一についてで述べたとおり、当該位置については、地震調査委員会が長期評価を行うに当たり、その一環として、必要な範囲で特定を行っているところであり、それ以上の精度での位置の特定は行っていない。

四について

 お尋ねの「詳細な図面」に該当する図面かどうかは定かではないが、例えば、詳細な地形図上に断層帯の位置を明示した図面等としては、「都市圏活断層図」(国土地理院発行)及び「活断層詳細デジタルマップ」(東京大学出版会発行)を所持しているが、これらはいずれも市販されているものである。
 なお、内閣府資料の作成に、このような図面等ではなく一についてで述べた地震調査委員会の資料を用いた理由は、当該資料が、関係行政機関、大学等による活断層の調査結果等を収集、整理及び分析し、政府として総合的な評価を行って作成された唯一の資料であるためである。

五について

 お尋ねの約八億六千九百万円は、中部圏・近畿圏の内陸地震に係る被害想定の検討をその全部又は一部とする調査の費用の平成十三年度から平成十八年度までの合計であり、これらの費用は、中部圏・近畿圏の内陸地震等の防災対策を検討する上で必要な、地震動の予測を行うための地盤データの整備、地震動を予測するモデルの作成、地震動の予測、人的・物的及び経済的被害等の被害想定手法の検討並びに被害想定等に要したものである。
 これらの成果の一部は既に公表されており、関係地域住民等の地震防災に関する意識の向上等に寄与したものと考えている。今後、これまでの検討結果を踏まえて、中部圏・近畿圏の内陸地震等に対する防災対策を取りまとめ公表することとしている。