質問主意書

第169回国会(常会)

答弁書


答弁書第一一四号

内閣参質一六九第一一四号
  平成二十年四月三十日
内閣総理大臣 福田 康夫   


       参議院議長 江田 五月 殿

参議院議員大河原雅子君提出八ツ場ダムの洪水調節に係る便益の算定に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員大河原雅子君提出八ツ場ダムの洪水調節に係る便益の算定に関する質問に対する答弁書

一について

 お尋ねの「想定のもととなっている洪水の規模」が何を指すのか必ずしも明らかではないが、一級河川利根川水系吾妻川に建設中の八ッ場ダム(以下「八ッ場ダム」という。)の洪水時に発生する被害を軽減する便益の算定に当たっては、利根川水系に年超過確率二百分の一までの洪水が生起した場合を想定している。

二について

 八ッ場ダムの洪水時に発生する被害を軽減する便益の算定に当たっては、一級河川利根川水系利根川(以下「利根川」という。)の左岸側の六ブロックと、右岸側(利根川の派川である一級河川利根川水系江戸川(以下「江戸川」という。)に係るものを含む。)の九ブロックの合計である十五の氾濫ブロックを設定している。

三について

 利根川の左岸側において破堤地点又は越水地点として想定した地点は、上流から順に、同川河口から、二百五キロメートル付近の地点である群馬県前橋市敷島町地先、百五十一・五キロメートル付近の地点である群馬県邑楽郡明和町大輪地先、百三十二キロメートル付近の地点である茨城県古河市中田新田地先、八十二キロメートル付近の地点である茨城県取手市長兵衛新田地先、七十八・五キロメートル付近の地点である茨城県北相馬郡利根町押付新田地先及び三キロメートル付近から十八キロメートル付近までの区間である茨城県神栖市波崎地先から太田地先までである。
 また、利根川の右岸側については、上流から順に、同川河口から、百九十六キロメートル付近の地点である群馬県高崎市萩原町地先、百三十六キロメートル付近の地点である埼玉県北埼玉郡大利根町弥兵衛地先及び四十五・五キロメートル付近の地点である千葉県香取市川尻地先であり、さらに、江戸川の左岸側については、上流から順に、同川河口から、五十八キロメートル付近の地点である千葉県野田市関宿江戸町地先、四十八・五キロメートル付近の地点である千葉県野田市岡田地先、三十七キロメートル付近の地点である千葉県野田市今上地先、三十三キロメートル付近の地点である千葉県流山市大字中野久木地先、二十六キロメートル付近の地点である千葉県流山市大字木地先及び十一・五キロメートル付近の地点である千葉県市川市大洲三丁目地先である。

四について

 お尋ねの「堤防の状況」が何を指すのか必ずしも明らかではないが、三についてで述べた地点の堤防のうち、例えば河川管理施設等構造令(昭和五十一年政令第百九十九号)に基づく堤防の高さ及び天端幅の基準を満たしていない堤防は、国土交通省の測量結果によれば、群馬県邑楽郡明和町大輪地先及び茨城県古河市中田新田地先の二地点である。

五について

 破堤地点又は越水地点については、各氾濫ブロックにおいて、想定する洪水の水位が、安全に流下できると評価した水位を超える地点がある場合に、氾濫ブロックのあらゆる地点において破堤又は越水が生じる可能性があるとの仮定の下で、氾濫ブロックにおいて被害が大きくなると想定される複数の地点のうち、被害が最大となると考えられる地点を設定したものである。
 御指摘の「堤防詳細点検」は、浸透に対する安全性を照査するものであり、安全に流下できると評価する水位を判定するためのものではないため、破堤地点又は越水地点の想定にその結果を反映していない。

六について

 八ッ場ダムの洪水時に発生する被害を軽減する便益の算定に当たっては、お尋ねの「被害額が最大となる地点」における八ッ場ダム建設のみによる流量及び水位の低減量は算出していないため、お答えできない。

七について

 財務省としては、平成二十年度予算編成過程においては、八ッ場ダム建設事業の治水に係る費用便益比が二・九となるということについて、説明を受けていない。
 なお、財務省としては、国土交通省が平成二十年三月に八ッ場ダム建設事業の再評価を行った後、同月に八ッ場ダム建設事業の治水に係る費用便益比が二・九となった旨の報告を受けている。