質問主意書

第169回国会(常会)

答弁書


答弁書第一〇二号

内閣参質一六九第一〇二号
  平成二十年四月二十五日
内閣総理大臣 福田 康夫   


       参議院議長 江田 五月 殿

参議院議員福島みずほ君提出六ヶ所再処理工場の本格稼働に関する国の再評価に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員福島みずほ君提出六ヶ所再処理工場の本格稼働に関する国の再評価に関する質問に対する答弁書

一の1について

 日本原燃株式会社(以下「日本原燃」という。)の六ヶ所再処理施設の耐震安全性については、これまでの安全審査の過程において、平成十八年の改訂前の発電用原子炉施設に関する耐震設計審査指針(以下「旧耐震指針」という。)等を踏まえて確認している。平成十八年に改訂された後の発電用原子炉施設に関する耐震設計審査指針(以下「新耐震指針」という。)等を踏まえた六ヶ所再処理施設の耐震安全性については、平成十九年十一月に日本原燃から耐震安全性評価結果報告書が提出されており、現在、総合資源エネルギー調査会原子力安全・保安部会耐震・構造設計小委員会(以下「耐震・構造設計小委員会」という。)での議論を踏まえつつ、原子力安全・保安院において厳正に確認を行っている。

一の2について

 御指摘の手引きは、新耐震指針を踏まえた今後の安全審査等に資するために、活断層等の調査及び耐震設計上考慮すべき活断層の認定の方法等を明確化することを目的として、現在、原子力安全委員会において策定を進めているものであるが、原子力安全・保安院においては、耐震・構造設計小委員会での議論を踏まえつつ、新耐震指針等を踏まえた六ヶ所再処理施設の耐震安全性の評価結果に関する確認を行っているところであり、御指摘の手引きの取扱いも含めた具体的な進め方について、検討を行っているところである。当該確認の終了時期について、現時点でお答えすることは困難である。

一の3の(一)及び(二)について

 旧耐震指針では五万年前から現在までの間に、新耐震指針では第四紀後期更新世から現在までの間に動いたと考えられる活断層を耐震設計上考慮することとなっているところであるが、これまでの六ヶ所再処理施設等に係る耐震安全性評価においては、御指摘の大陸棚外縁の断層について少なくとも第四紀後期更新世以降の活動は認められておらず、旧耐震指針及び新耐震指針のいずれを適用しても、当該断層は耐震設計上考慮すべき活断層ではない。

一の4について

 新耐震指針等は、「「耐震設計審査指針」の改訂を機に実施を要望する既設の発電用原子炉施設等に関する耐震安全性の確認について」(平成十八年九月十九日原子力安全委員会決定)において述べられているように、今後の安全審査等に用いることを第一義的な目的としているものであることから、既設の原子力施設の耐震設計方針に関する安全審査のやり直しが必要となるとは考えておらず、平成四年に事業指定を受けている六ヶ所再処理施設についても、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律(昭和三十二年法律第百六十六号)第四十六条第一項に基づく使用前検査を引き続き厳格に行っていくこととしている。

一の5について

 日本原燃の行った六ヶ所再処理施設の耐震安全性の評価における耐震計算については、原子力安全・保安院においても再計算を行うこととしており、その対象の選定は、報告内容等を考慮して行うこととしている。今後の再計算の具体的な進め方については、耐震・構造設計小委員会での議論を踏まえつつ検討を行っているところである。

二の1について

 原子力安全・保安院においては、日本原燃に対し、六ヶ所再処理施設の使用済燃料を用いた総合試験(以下「アクティブ試験」という。)の第四ステップで実施したガラス固化設備の運転性能等の試験結果を第五ステップの開始前までに報告することを求めていたところであり、日本原燃から平成二十年二月四日にその報告があったことから、これを受け取ったものである。

二の2の(一)について

 日本原燃においては、アクティブ試験の第四ステップにおいて、平成十九年十一月四日から高レベル廃液を用いたガラス固化設備の試験を開始し、平成二十年二月十三日に同ステップが終了するまでの間に五十七体のガラス固化体を製造したと承知している。ガラス固化体は、ガラス原料と高レベル廃液をガラス溶融炉内に投入し、加熱により溶融して容器に注入したものであり、高レベル廃液は、分離設備からの抽出廃液や酸回収設備からの廃液などを蒸発濃縮した高レベル濃縮廃液、酸及び溶媒回収設備からのアルカリ廃液を蒸発濃縮したアルカリ濃縮廃液、アルカリ洗浄廃液並びに不溶解残渣廃液から成る。

二の2の(二)及び(三)について

 御指摘の「通常の流下作業以外で製造されたガラス固化体」の意味するところが明らかではなく、お答えすることは困難である。

二の3について

 総合資源エネルギー調査会原子力安全・保安部会核燃料サイクル安全小委員会(以下「サイクル安全小委員会」という。)においては、平成二十年二月四日に日本原燃から提出された「再処理施設アクティブ試験(使用済燃料による総合試験)第四ステップにおける高レベル廃液ガラス固化設備の試験状況報告」を評価した結果、ガラス固化設備に関し今後確認が必要とされる事項に係る試験はアクティブ試験の第五ステップで計画されている使用済燃料の処理試験に支障を与えないことなどを考慮すると、第五ステップにおいてガラス固化設備に係る試験を実施していくという日本原燃の方針については差し支えないとされたことから、原子力安全・保安院としても日本原燃の当該方針は問題ないと判断したものである。

二の4について

 原子力安全・保安院においては、サイクル安全小委員会での審議を踏まえ、日本原燃に対し、ガラス溶融炉内部の点検及び内部残留物に関する分析等を実施した上で、具体的な運転方法と当該運転方法による試験再開後のガラス溶融炉運転性能確認試験等の結果について追加報告を要請したところである。
 原子力安全・保安院としては、これらの追加報告の内容について、有識者等の意見を聴取しつつ、「安定した運転状態が維持されること」及び「白金族元素の影響を考慮し、管理された運転状態が維持されること」を、ガラス固化設備における処理能力の性能検査に係る使用前検査に先立って、確認することとしている。

二の5について

 御指摘の「危険な高レベル放射性廃液が長期間貯蔵される事態」がいかなる事態を指すのかが明らかではなく、お答えすることは困難である。

二の6の(一)について

 六ヶ所再処理施設の高レベル廃液貯蔵設備は、十基の貯槽からなり、各貯槽の容量を合計すると約六百八十立方メートルとなる。

二の6の(二)について

 高レベル廃液が貯槽にある状態で外部電源が喪失した場合でも、非常用電源からの電力供給により、六ヶ所再処理施設の安全は確保される。

三の1について

 御指摘のような検討会議は行っていない。なお、六ヶ所再処理施設から出る排気や排水中に含まれる放射性物質は、できるだけ取り除かれる設計となっており、一部放出される放射性物質の影響についても、法令に定める一般公衆の線量限度一ミリシーベルトを十分に下回るものである。

三の2について

 青森県及び日本原燃において、海水、海産物、空間線量等の環境放射線モニタリングを実施し、その結果を青森県が公表しているところであり、平成十九年七月に行われた尾駮沼における湖沼水中の最新の水質検査によれば、湖沼水一リットル当たりのトリチウムは二ベクレル未満であったと承知している。また、青森県が実施する環境放射線モニタリングにおいては、御指摘の「許容基準」は特に設けられていないと承知している。

三の3及び4について

 六ヶ所再処理施設からの放射性物質の海洋放出については、安全審査においてその影響が評価されており、その評価結果に基づき定められた保安規定の放出管理目標値などを用いて管理されているものであり、当該保安規定の遵守状況は、現地の原子力保安検査官が確認している。したがって、放射性物質の海洋放出日時の予告等を行う必要はないと考える。

三の5について

 放射性廃棄物の海洋放出に関しては、再処理施設の周辺監視区域の外において、三月間で〇・二五ミリシーベルトという線量限度を設けているところである。また、青森県が公表している「原子力施設環境放射線調査報告書」によると、青森県においては、半年に一度、六ヶ所再処理施設付近の海水のマンガン、コバルト、ルテニウム、セシウム、セリウム、ベリリウム、トリチウム、ストロンチウム及びプルトニウムについて測定しており、平成十九年四月における測定値は、海水一リットル当たり、マンガンは六ミリベクレル未満、コバルトは六ミリベクレル未満、ルテニウムは六十ミリベクレル未満、セシウムは六ミリベクレル未満、セリウムは三十ミリベクレル未満、ベリリウムは百ミリベクレル未満、トリチウムは二ベクレル未満、ストロンチウムは二ミリベクレル未満、プルトニウムは〇・〇二ミリベクレル未満であったと承知している。また、日本原燃においては、三月に一度、六ヶ所再処理施設付近の海水のマンガン、コバルト、ルテニウム、セシウム、セリウム、ベリリウム、トリチウム、ストロンチウム及びプルトニウムについて測定しており、平成十九年七月における測定値は、海水一リットル当たり、マンガンは六ミリベクレル未満、コバルトは六ミリベクレル未満、ルテニウムは六十ミリベクレル未満、セシウムは六ミリベクレル未満、セリウムは三十ミリベクレル未満、ベリリウムは百ミリベクレル未満、トリチウムは二ベクレル未満、ストロンチウムは二ミリベクレル未満、プルトニウムは〇・〇二ミリベクレル未満であったと承知している。