質問主意書

第169回国会(常会)

答弁書


答弁書第九六号

内閣参質一六九第九六号
  平成二十年四月十八日
内閣総理大臣 福田 康夫   


       参議院議長 江田 五月 殿

参議院議員川田龍平君提出仙台市地下鉄東西線の建設への補助金支出に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員川田龍平君提出仙台市地下鉄東西線の建設への補助金支出に関する質問に対する答弁書

一について

 お尋ねの「モデルの精度の高さと、シナリオとして設定した条件とは独立である」ことについては、認識している。

二について

 お尋ねの「将来想定される現実的な条件」とは、例えば、鉄道路線の運行頻度を現状と同程度とすることである。また、お尋ねの「仮定の条件」とは、例えば、バス路線について現状の五割以上増便する等の実現可能性を必ずしも考慮していない条件のことである。

三について

 平成十五年九月に国土交通大臣が、仙台市地下鉄東西線(以下「東西線」という。)について、鉄道事業法(昭和六十一年法律第九十二号)第三条第一項の規定に基づく鉄道事業の許可をした際の前提となっている需要予測の数値については、現時点においても予測の前提条件である社会経済情勢に大きな変化が生じていないことから、見直しを行う必要性はないものと考えている。

四について

 御指摘の「鉄道プロジェクトの費用対効果分析マニュアル99」は、鉄道事業の事業主体が費用便益分析を実施する上での手引きであり、事業主体が合理的だと判断した方法に基づいて費用便益分析を行う場合には、必ずしも同マニュアルに従って分析を行うことを求めるものではない。
 また、御指摘の「独自の算定法」の意味するところが必ずしも明らかではなく、お尋ねについてお答えすることは困難である。

五について

 財務省としては、公共事業については、それぞれの所管省庁において、行政機関が行う政策の評価に関する法律(平成十三年法律第八十六号)等に基づき、事前評価や事後評価を行っていると承知している。例えば、国土交通省では、新規事業採択時評価、事業採択後に実施する再評価及び事業完了後の事後評価を実施しており、評価に当たっては、費用便益分析とともに、貨幣換算することが困難な効果等についての評価も含め総合的に行っているものと承知している。
 財務省としては、東西線の事業の費用便益比について、実質賃金率を用いた場合には、「費用便益比は、一・六二ではなく、一・一○になるものと考えられる。」とした平成十八年三月三十日の仙台地方裁判所判決の内容については、国土交通省より報告を受けている。

六について

 財務省としては、毎年度の予算編成過程において、各事業の事業内容を十分把握するとともに、厳格なコスト縮減を求めるなど事業の精査を実施し、予算執行の合理化・効率化に努めているところである。

七について

 東西線の事業については、平成十五年度予算において事業採択されており、同事業採択後十年間が経過する平成二十四年度末の時点において、引き続き、事業が継続することとなる場合には、当該事業の再評価を同年度中に実施し、事業全体と残事業の費用便益比がともに一・〇以下の場合には、補助対象事業としては中止を含めて対応を検討することになる。

八について

 先の答弁書(平成十九年十二月二十五日内閣参質一六八第九〇号。以下「先の答弁書」という。)四及び五についてで述べたとおり、国土交通省では、新規事業採択時評価、事業採択後に実施する再評価及び事業完了後の事後評価を実施しており、評価に当たっては、費用便益分析とともに、貨幣換算することが困難な効果等についての評価も含め総合的に行っている。貨幣換算することが困難な効果についての評価については、例えば、都市・幹線鉄道整備事業においては、費用便益分析とともに、企業立地の促進といった地域経済社会への効果等を総合的に評価しているところである。

九について

 先の答弁書四及び五についてでお答えした再評価の結果中止した二十六事業は、厚別川準用河川改修事業、三用川総合開発事業(三用川生活貯水池)、佐梨川ダム建設事業、紀伊丹生川ダム建設事業、入川ダム建設事業、雄川生活貯水池、片川生活貯水池、本荘港海岸海岸環境整備事業、主要地方道小平幌加内線、主要地方道遠軽雄武線、主要地方道北見白糠線、一般道道上遠別霧立線、一般道道館町福島線、村道辺野喜楚洲線、主要道道静内中札内線、一般道道上猿払清浜線、一般道道板谷蕗之台線、一般県道西ノ島海士線(島前大橋)、一般道道夕張厚真線、一般道道増毛当別線、和気駅前地区土地区画整理事業、三河港神野地区港湾緑地整備事業、佐世保港轟地区小型船だまり整備事業、万関瀬戸航路開発保全航路整備事業、佐世保港相浦地区航路・泊地整備事業及び椎葉村特定環境保全公共下水道である。

十について

 例えば、国土交通省の公共事業については、現在までのところ、事業完了後の事後評価において費用便益比が一・〇を下回った事例はない。また、お尋ねの「予定通りの債務償還を果たせていないことが明らかな事業」については、何を指すのか定かではないため、お答えできない。

十一について

 東西線沿線の人口については、仙台市が、国勢調査の結果をもとに、近年の出生率や社会動態の変化を反映させる等の方法により、適切に推計したものであると承知している。
 また、社会経済情勢の変化により、需要予測が明らかに合理性を欠くようになった場合には見直しを行う必要があると考えるが、変化がどの程度のものかについて、一概に指標を用いて数量的にお答えすることは困難である。