質問主意書

第169回国会(常会)

答弁書


答弁書第九三号

内閣参質一六九第九三号
  平成二十年四月十八日
内閣総理大臣 福田 康夫   


       参議院議長 江田 五月 殿

参議院議員糸数慶子君提出「大江・岩波訴訟」の判決に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員糸数慶子君提出「大江・岩波訴訟」の判決に関する質問に対する答弁書

一及び二について

 御指摘の判決は、私人間の係属中の訴訟に係るものであることから、文部科学省として当該判決の内容について見解を述べることは差し控えたい。

三について

 御指摘の検定意見は、教科用図書検定調査審議会(以下「審議会」という。)の専門的な審議の結果に基づき適切に付されたものと認識している。なお、平成十八年度検定決定後の日本史教科書の沖縄における集団自決に関する記述については、平成十九年十一月から十二月にかけて、発行者より訂正の申請が行われ、審議会第二部会日本史小委員会(以下「日本史小委員会」という。)において、専門的な見地から詳細に調査審議を行うため、沖縄戦等の専門家から文書により意見を聴取し、日本史小委員会として、これらの意見を踏まえ、申請に係る訂正文の内容等を調査審議するに当たっての沖縄戦及び集団自決に関する基本的とらえ方として、沖縄における集団自決の背景には当時の教育・訓練や感情の植付けなど複雑なものがあること、集団自決の要因にも様々なものがあり、軍の関与はその主要なものととらえることができること、一方、それぞれの集団自決が住民に対する直接的な軍の命令により行われたことを示す根拠は現時点では確認できていないこと、他方で、住民の側から見れば、当時の様々な背景・要因によって自決せざるを得ないような状況に追い込まれたとも考えられること、集団自決については、沖縄における戦時体制、さらに戦争末期の極限的な状況の中で、複合的な背景・要因によって住民が集団自決に追い込まれていったととらえる視点に基づいていることが、生徒の沖縄戦に関する理解を深めることに資するものとなると考えられること等の内容を整理し、この基本的とらえ方に照らして、発行者からの訂正の申請に関する調査審議を行い、その結果、審議会として、申請に係る訂正は妥当と判断し、訂正を承認することが適当であると認める旨の意見を提出し、当該意見に基づき、平成十九年十二月に文部科学大臣が訂正を承認したところである。

四について

 お尋ねの「本判決は、今後の審議会において審議の事項等、検定に際しての検討事項となるのかどうか」の趣旨が必ずしも明らかではないが、審議会は、検定の申請に係る教科用図書に関し調査審議するものであることから、御指摘の判決自体が審議事項として取り上げられるようなことはない。