質問主意書

第169回国会(常会)

答弁書


答弁書第六九号

内閣参質一六九第六九号
  平成二十年三月十八日
内閣総理大臣 福田 康夫   


       参議院議長 江田 五月 殿

参議院議員藤末健三君提出政府の二酸化炭素削減に対する取り組みに関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員藤末健三君提出政府の二酸化炭素削減に対する取り組みに関する質問に対する答弁書

一及び二について

 お尋ねの「現大綱におけるエネルギー起源CO2に関する家庭部門の対策の概要」は、平成十六年三月二十二日に開催された中央環境審議会地球環境部会において、地球温暖化対策推進大綱(平成十四年三月十九日地球温暖化対策推進本部決定。以下「大綱」という。)の評価及び見直しの議論のために提出された資料であり、大綱における家庭部門の対策を取りまとめたものである。大綱に盛り込まれていた対策については、同部会の議論も踏まえて見直しを行い、地球温暖化対策の推進に関する法律(平成十年法律第百十七号)第八条に基づく京都議定書目標達成計画(平成十七年四月二十八日閣議決定。以下「目標達成計画」という。)を策定した。さらに、その後、目標達成計画の評価及び見直しを行い、平成二十年三月にその改定を行う予定であるが、その中で、いわゆるトップランナー制度の対象となる機器の拡大や、住宅の省エネルギー性能に関する規制強化及び支援措置の充実等を図るなど、家庭部門における対策についても強化することとしている。
 また、目標達成計画の中の家庭部門の対策については、国民一人一人の自主的な行動に結び付けるため、住宅の省エネルギー性能に係る品質表示制度、機器の省エネルギー性能に係る「省エネラベリング制度」、「クールビズ」の実施による適切な室内温度調節の励行等の普及啓発活動等、多様な手法による適切な情報提供を通じて国民の意識に強く働きかけているところである。

三について

 御指摘の「試算」については承知していないが、政府としては、これまでも、鉄道の利用促進を図るため、鉄道新線及びLRT等の整備の促進、ICカードの導入等情報化の推進、乗り継ぎ改善等について、鉄道事業者等に対する財政上、税制上等の措置を講じてきたところであり、今後とも必要な措置を講じてまいりたい。

四について

 現在、オフィスや家庭での二酸化炭素排出削減の意識を高めるための取組として「一人一日一キログラム二酸化炭素削減」等の国民運動を実施しているところであり、さらに、今後、二酸化炭素排出量の可視化を推進していくため、その具体的方策について現在検討しているところである。

五について

 我が国は、平成九年に温暖化対策途上国支援策として京都イニシアティブを策定し、その中で、環境意識の向上を含む途上国自身の温暖化対策に向けた「人づくり」を政府開発援助による協力分野の柱の一つとして掲げている。具体的には、技術協力プロジェクトの実施及び青年海外協力隊の派遣を通じて途上国の環境教育活動等の支援を行っており、また、住民参加型の環境学習事業等を実施するNGOに対する支援等も実施している。

六について

 国民が地球温暖化問題の重要性を認識及び理解し、地球温暖化防止のための行動が習慣となるようにするためには、環境教育を推進していくことが重要と認識しており、総合的な学習の時間等の中でも環境教育が行われているところである。現在、児童生徒や教職員が活用できる地球温暖化問題等に関する教材や指導資料の開発及び普及、学校施設における地球温暖化対策に資する改修、新エネルギー機器等の導入などによる体験重視型の環境教育、省エネ活動の実践等を推進しており、今後も引き続き進めていくこととしている。

七について

 「日本国民に対してCO2の削減を義務付ける」の意味するところが必ずしも明らかでなく、お答えすることが困難であるが、京都議定書上の削減目標を達成するためには、国民一人一人の取組が不可欠であることから、住宅の省エネルギー性能の向上、省エネルギー性能の優れた機器の普及、国民運動の展開等の施策を進めることとしている。
 また、世界全体としての温暖化対策については、福田内閣総理大臣が平成二十年一月に発表した「クールアース推進構想」において、全ての主要な温室効果ガス排出国が参加する仕組みづくりや公平な目標設定に向けて取り組む決意を表明しており、その具体化を進めているところである。北海道洞爺湖サミットにおいては、議長国として積極的にリーダーシップを発揮して、実効性のある枠組みづくりを進展させる成果を目指してまいりたい。