質問主意書

第169回国会(常会)

答弁書


答弁書第六八号

内閣参質一六九第六八号
  平成二十年三月十八日
内閣総理大臣 福田 康夫   


       参議院議長 江田 五月 殿

参議院議員糸数慶子君提出在日米軍の施設及び区域における日本人警備員の拳銃携帯に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員糸数慶子君提出在日米軍の施設及び区域における日本人警備員の拳銃携帯に関する質問に対する答弁書

一について

 我が国に駐留する米軍の施設及び区域に駐留軍等労働者として勤務する日本人警備員の雇用主は国であり、その使用者は米軍である。

二及び三について

 駐留軍等労働者は我が国の法令を遵守しなければならないが、お尋ねの「使用者が明らかな違法行為を押しつけた場合」がどのような場合であるのか必ずしも明らかではないことから、その際の対応や事後の処理について一概にお答えすることは困難である。

四及び五について

 お尋ねの事実関係については、平成二十年二月二十九日、米側から、日本人警備員が同月十一日及び十二日に銃を携帯して米軍の施設及び区域間を移動したとの説明を受けた。
 また、同年三月十二日、米側から、日本人警備員が銃を携帯して、同年二月十一日、キャンプ瑞慶覧において四十二人が、キャンプ・コートニーにおいて六人がそれぞれ移動し、同月十二日、キャンプ瑞慶覧において十六人が、キャンプ・コートニーにおいて四人がそれぞれ移動したとの説明を受けた。
 なお、詳細等については、引き続き米側に照会中である。

六について

 米側からは、平成二十年二月十一日、在沖米海兵隊憲兵隊が日本人警備員に対し、米軍の施設及び区域の警備を行うために一部の施設及び区域の間を移動する際、武器を携帯させるとの指示を出したが、誤った指示であったことが判明した同月十二日に直ちに当該指示を撤回したとの説明を同月二十八日に受けている。

七について

 米軍は、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定(昭和三十五年条約第七号。以下「日米地位協定」という。)第三条1に基づき、施設及び区域内においてそれらの警護等のため必要な措置をとることができることとなっており、米軍が必要と判断する場合に「警護のために必要な措置」の一つとして日本人警備員に銃砲等を携帯の上、施設及び区域内において警護に当たらせることは、日米地位協定上認められているところである。日本人警備員が施設及び区域外において銃砲等を携帯し警備に当たるようなことは、日米地位協定の下で当然のこととして認められることではなく、また、米軍は、日本人警備員が銃砲等を施設及び区域外で携帯することを厳に禁じていると承知している。

八について

 現時点において、具体的状況等事実関係の詳細が必ずしも明らかでないことから、銃砲刀剣類所持等取締法(昭和三十三年法律第六号)に違反するか否かについてお答えすることは困難である。

九について

 昭和二十七年十二月三十日に開催された第三十四回日米合同委員会において、日本人警備員に関する取極を行ったが、その内容は米軍による武装警備員の雇用は米軍が使用中の施設及び区域内で必要最小限度にとどめ、武器の使用は刑法(明治四十年法律第四十五号)第三十六条第一項の正当防衛及び第三十七条第一項の緊急避難に該当する事態が発生した場合に限られ、かつ、武器の取扱いに関しては米軍当局が責任をもって取り締まることになっている。
 駐留軍等労働者の勤務条件等を定めた基本労務契約附表Ⅰ「職務定義書」は、駐留軍等労働者の職務内容について規定したものであり、「警備員」については、一定の勤務箇所に勤務している間、若干の小型武器(連発けん銃、散弾銃、カービン銃)を携帯することもあるとしている。

十について

 七についてで述べたとおり、米軍が、日本人警備員に銃砲等を携帯の上、施設及び区域内において警護に当たらせることは、日米地位協定上認められるところであり、政府として、このような警備に当たらせないよう米側に求める考えはない。
 また、日本人警備員が施設及び区域外において銃砲等を携帯し警備に当たるようなことは、日米地位協定の下で当然のこととして認められることではなく、また、米軍は、日本人警備員が銃砲等を施設及び区域外で携帯することを厳に禁じていると承知している。

十一について

 お尋ねの防衛省と米側との交渉経過については、おおむね次のとおりである。
 平成二十年二月八日、沖縄防衛局は、在日米海兵隊司令部日米支援管理事務所から、在沖米海兵隊憲兵隊が日本人警備員に対し、米軍の施設及び区域の警備を行うために一部の施設及び区域の間を移動する際、武器を携帯させるとの指示を同月十一日付けで発出する予定である旨の通知を受けたので、同月八日、同事務所に対し、当該指示を発出しないよう申し入れた。
 また、同月十二日、沖縄防衛局は在沖米海兵隊外交政策部(以下「外交政策部」という。)に対し、当該指示の撤回について口頭により申し入れるとともに、同月十三日、改めて申入れを文書により行った。これに対し、外交政策部からは、同日時点で、在日米軍司令部と調整中であり、現場においては、銃を携帯した日本人警備員の米軍の施設及び区域間の移動は、同日時点では行っていない旨の回答があった。
 同月二十七日、沖縄防衛局から外交政策部に対し、同日付けの新聞報道等に係る事実関係について文書により照会した。
 同月二十八日、防衛省から在日米軍司令部に対し、事実関係の確認及び当該指示の撤回について文書により要請し、また、沖縄防衛局から外交政策部に対しても、当該指示の撤回について文書により改めて申し入れた。
 同月二十九日に外交政策部から、同年三月十二日に在沖米海兵隊憲兵隊から、沖縄防衛局は、四及び五についてで述べたような説明を受けた。
 なお、事実関係の詳細等については、引き続き外交政策部等に照会中である。