質問主意書

第169回国会(常会)

答弁書


答弁書第六六号

内閣参質一六九第六六号
  平成二十年三月十八日
内閣総理大臣 福田 康夫   


       参議院議長 江田 五月 殿

参議院議員水戸将史君提出家電リサイクルに関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員水戸将史君提出家電リサイクルに関する質問に対する答弁書

一について

 御指摘の「乖離」は、経済産業省の産業構造審議会環境部会廃棄物・リサイクル小委員会電気・電子機器リサイクルワーキンググループと環境省の中央環境審議会廃棄物・リサイクル部会家電リサイクル制度評価検討小委員会の合同会合が平成二十年二月に取りまとめた「家電リサイクル制度の施行状況の評価・検討に関する報告書」の図表2「使用済み家電のフロー推計(四品目合計)」中に記述されているものを指していると認識しているが、これは、消費者、小売業者等の複数の対象に対するアンケート調査の回答結果を組み合わせて推計を行っていることなどにより生じたものと認識している。
 今後、特定家庭用機器再商品化法(平成十年法律第九十七号。以下「法」という。)第五十二条の規定による小売業者に対する報告の徴収等の手段を通じて、小売業者による特定家庭用機器廃棄物の引取りや引渡し等についてのより詳細な実態の把握に努めてまいりたい。

二について

 小売業者による特定家庭用機器廃棄物の引取り及び引渡しについては、法第五十三条の規定による小売業者に対する立入検査を年間約四百回実施して、その実態の把握に努めており、これまでに法第十条の引渡義務の違反に係る法第十六条第一項の規定による勧告を十件行うとともに、厳重注意を二件行っている。
 今後とも、引き続き、立入検査を適切に実施していくとともに、法第五十二条の規定による小売業者に対する報告の徴収等の手段を通じて、小売業者の特定家庭用機器廃棄物の引取りや引渡し等に関する実態の把握を適切に行うことにより、法第十条の引渡義務の違反防止に努めてまいりたい。
 なお、法第十条及び特定家庭用機器再商品化法施行規則(平成十二年厚生省・通商産業省令第一号)第三条においては、小売業者は、自ら当該特定家庭用機器廃棄物を特定家庭用機器として再度使用する場合及び当該特定家庭用機器廃棄物を特定家庭用機器として再度使用し、又は販売する者に有償又は無償で譲渡する場合については、引渡義務は生じないこととされている。

三について

 特定家庭用機器廃棄物が再度使用する目的で譲渡されるかどうかは、当該特定家庭用機器廃棄物の状態、需給の動向等によって左右されるものであるため、御指摘の「再商品化すべきものとリユース向け販売に回すものとの線引き」については、一概に示すことは困難であると考えるが、再商品化等を行うものと再度使用するものとの分別をより容易なものとし、小売業者による引取り及び引渡しの適切な実施を確保するため、当該分別に係るガイドラインの策定に向けた検討を進めてまいりたい。
 また、御指摘の「再商品化するためリサイクル料金を受け取りながらリユース向け販売に回した件数」については、把握していない。

四について

 小売業者に法第九条の引取義務が生じない特定家庭用機器廃棄物(以下「義務外品」という。)の回収体制については、一般廃棄物の処理について統括的な責任を有する市町村に対し、小売業者、一般廃棄物収集運搬業者等の地域の関係者と一体となって、地域の実情に応じた義務外品の回収体制の構築に取り組むよう、助言しているところである。
 また、液晶テレビ及びプラズマテレビ並びに衣類乾燥機については、法第二条第四項各号のいずれにも該当することから、特定家庭用機器の対象品目として追加する方向で検討を進めてまいりたい。

五について

 製造業者等が再商品化等に要した費用については、御指摘の議論の内容も踏まえて、再商品化等に係る料金や法に基づく制度に対する消費者の理解の促進を図るため、法第五十二条の規定による製造業者等に対する報告の徴収等の手段を通じて、再商品化等に要する費用の実績やその内訳を定期的に把握するとともに、これらの公表に努めてまいりたい。
 また、御指摘の「家電製品にICタグを付けること」については、特定家庭用機器の所有者の個人情報の保護等の制度的な課題や、ICタグの耐久性、コストの低減等の技術的な課題の解決に向けて、技術開発や実証実験等の取組に対する支援を行ってまいりたい。

六について

 「二グループにした理由は何か」及び「各グループ内の指定はどのように決められたのか」とのお尋ねについては、製造業者等が法第十七条に基づき自主的に指定引取場所を配置した結果であり、政府としては承知していない。
 また、「グループ内の指定を増やすことは可能なのか」とのお尋ねについては、製造業者等がその自主的な判断に基づき指定引取場所を増やすことは可能である。
 製造業者等の間で指定引取場所の共有化が行われ、収集運搬の効率性の向上及び費用負担の低減が図られることは望ましいことであると考えている。

七について

 義務外品が廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和四十五年法律第百三十七号。以下「廃棄物処理法」という。)に基づき適正に処理されていれば問題ないものと考えるが、特定家庭用機器廃棄物については、製造業者等による質の高い再商品化等が促進されることが望ましいと考えている。
 また、「大阪方式を廃家電リサイクルに統合すべき」の意味するところが明らかでなく、これに対する見解についてお答えすることは困難である。

八について

 御指摘の「既存の二グループに組み入れる、あるいは新たに第三のグループを設定する」の趣旨が必ずしも明らかでないが、製造業者等が、あくまで自主的な経営判断として、第三者に依頼して再商品化等業務を実施することは、法第十八条に規定する再商品化等実施義務を適切に履行する限り可能である。
 なお、一般論として申し上げれば、製造業者等が自主的に障害者の雇用促進に取り組むことは、望ましいものであると考える。

九について

 御指摘の「制度・法体系を一体化」の意味するところが必ずしも明らかでないが、法は、特定家庭用機器廃棄物について、廃棄物処理法による一般的な規制に加えて、小売業者の引取義務及び引渡義務や製造業者等の再商品化等実施義務等を規定することにより、特定家庭用機器廃棄物の適正な処理及び資源の有効な利用の確保を図っているものである。