質問主意書

第169回国会(常会)

答弁書


答弁書第六〇号

内閣参質一六九第六〇号
  平成二十年三月十一日
内閣総理大臣 福田 康夫   


       参議院議長 江田 五月 殿

参議院議員牧山ひろえ君提出特例子会社等による障害者雇用に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員牧山ひろえ君提出特例子会社等による障害者雇用に関する質問に対する答弁書

一について

 厚生労働省が平成十八年に実施した身体障害者、知的障害者及び精神障害者就業実態調査によると、十五歳以上六十四歳以下の身体障害者のうち就業している者の割合は四十三・〇パーセント、十五歳以上六十四歳以下の知的障害者のうち就業している者の割合は五十二・六パーセント、十五歳以上六十四歳以下の精神障害者のうち就業している者の割合は十七・三パーセントとなっている。
 障害者の雇用促進に関しては、障害の種別にかかわらず、法定雇用率を達成していない事業主に対する指導、公共職業安定所における職業相談及び職業紹介、障害者職業センターにおける職業リハビリテーションの実施等の各種施策を総合的に推進しているところであり、今後とも、障害者雇用施策の充実強化を図ってまいりたい。

二について

 障害者の雇用の促進等に関する法律(昭和三十五年法律第百二十三号)第四十三条第五項及び障害者の雇用の促進等に関する法律施行規則(昭和五十一年労働省令第三十八号)第八条の規定に基づき、事業主が、公共職業安定所長に対して行わなければならないこととされている毎年六月一日現在の障害者である労働者の雇用に関する状況の報告(以下「障害者雇用状況報告」という。)によれば、民間企業における障害者の雇用状況は、近年、着実に進展しているところであるが、御指摘のとおり、平成十九年六月一日現在で実雇用率が一・五五パーセントにとどまっていることなどから、さらに障害者雇用施策の充実強化を図っていくべき状況にあると考えている。
 なお、主要先進国の中にはドイツやフランスのように障害者雇用率制度を設けている国もある一方で、米国や英国のように障害者雇用率制度を設けていない国もあるなど、障害者雇用施策については国により異なっており、単純には比較することはできないと考えている。

三について

 今国会に提出した障害者の雇用の促進等に関する法律の一部を改正する法律案(以下「改正法案」という。)において、中小企業が事業協同組合等を活用して共同して事業を行い、当該事業協同組合等において障害者を雇用する場合の雇用率の算定の特例(以下「事業協同組合等特例」という。)を創設することが盛り込まれているところであるが、公共職業安定所を通じた障害者の就職先として一般的に生産工程・労務の割合が高くなっていることから、事業協同組合等特例についてもこれらの職種において活用されることが考えられる。
 また、お尋ねの「新制度」は事業協同組合等特例を指すと考えられるが、改正法案が成立した場合には、事業協同組合等特例の活用と併せて、中小企業における障害者雇用を促進するための各種施策を強化することとしているほか、障害者雇用納付金の徴収等の対象範囲の拡大による効果も期待されるところであり、また、中小企業を取り巻く雇用情勢の変化があり得ること等から、事業協同組合等特例による雇用創出効果を現時点で予測することは困難である。

四について

 地方公共団体においては、その実情に応じて、障害者の新規雇用や雇用継続に対する奨励金の支給、障害者を雇用する事業所の設立の支援等の支援策を講じているものがあると承知しており、仮に事業協同組合等特例に資するような支援策が設けられれば、それらを活用することにより、障害者雇用が促進されるものと考えている。

五について

 改正法案において、障害者雇用納付金の徴収等の対象範囲を、平成二十二年七月一日からその雇用する労働者の数が二百一人以上の事業主に、平成二十七年四月一日からその雇用する労働者の数が百一人以上の事業主にそれぞれ拡大することとされているところである。
 厚生労働省としては、平成十八年六月一日現在の障害者雇用状況報告等に基づいた試算では、その雇用する労働者の数が百一人以上の事業主から障害者雇用納付金の徴収等を行う場合には、単年度において、障害者雇用納付金として約百八十四億円を追加的に徴収することとなる一方で、調整金として約六十一億円を追加的に支給することとなるなどの影響があると見込んでいるところであるが、いずれにせよ、障害者雇用納付金制度の財政状況については、今後の障害者雇用の進展の状況によって変わり得るものと考えられる。
 なお、運営費交付金については、独立行政法人高齢・障害者雇用支援機構の実施する職業リハビリテーションに係る費用等に充てているものであり、調整金の支給等については、原則として、障害者雇用納付金の収入の範囲内で行われるものである。