質問主意書

第169回国会(常会)

答弁書


答弁書第五三号

内閣参質一六九第五三号
  平成二十年三月四日
内閣総理大臣 福田 康夫   


       参議院議長 江田 五月 殿

参議院議員平野達男君提出北上川上流改修一関遊水地事業に関連した遊水地内営農被害の増大に関する再質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員平野達男君提出北上川上流改修一関遊水地事業に関連した遊水地内営農被害の増大に関する再質問に対する答弁書

一の1について

 遊水地内の最大水位及び最大貯留量は、河川の水位及び流量によって変化するものであり、河川の水位及び流量は、堤防整備、河道掘削、上流の洪水調節施設の整備等の河川整備のほか、流域の土地利用の状況により変化するものであるため、先の答弁書(平成二十年二月二十二日内閣参質一六九第二七号。以下「先の答弁書」という。)三についてにおいて「一関遊水地内の最大水位及び最大貯留量は、河川整備等の影響により変化する」とお答えしたものである。

一の2について

 先の答弁書三についてで述べた「一関遊水地内の最大水位及び最大貯留量は、河川整備等の影響により変化する」ことについては、直接一関遊水地内の地権者に対して説明していないが、平成二年三月に建設省東北地方建設局岩手工事事務所(当時)が作成した「一関遊水地計画概要」の「一関遊水地計画」の項目において、計画洪水時の遊水地内の水位、遊水地の面積等を表示しているほか、遊水地内の土地の使用に対する補償等について説明している。

二について

 一関遊水地においては、現在の河川や流域の状況を考慮して、今後の河川整備について検討することが必要であり、連続堤が未整備である過去の状況にさかのぼって連続堤の整備の影響を比較検討することが必要とは考えていないため、お尋ねのような計算は行っておらず、また、今後も行う予定はない。また、他の遊水地についても同様に考えており、お尋ねのような計算は行っていない。

三の1について

 お尋ねの「被害が著しく増大」とは、事業の施行により損害が発生し、又は損害の発生が確実に予見される場合において、その損害が社会生活上受忍すべき範囲を超えることを指しており、これについては、「公共用地の取得に伴う損失補償基準要綱の施行について」(昭和三十七年六月二十九日閣議了解)第三において、事業の施行に伴う損害に対する賠償をあらかじめ行い得る要件とされている。

三の2及び3について

 一関遊水地より上流の連続堤の整備が遊水地内の営農に与える影響については、一関遊水地内は従来より洪水時に頻繁に冠水する地域であり、また、北上川上流においては、連続堤の整備を進める一方、ダムの建設による洪水流量の低減を行っていることから、洪水時に被害が著しく増大することはないと考えている。
 北上川上流においては、ダムの建設による洪水流量の低減を行っていることから、一関遊水地内の営農に与える影響については、堤防整備だけでなくダムの建設による影響も含めて考える必要がある。