質問主意書

第169回国会(常会)

答弁書


答弁書第五○号

内閣参質一六九第五○号
  平成二十年二月二十九日
内閣総理大臣 福田 康夫   


       参議院議長 江田 五月 殿

参議院議員平野達男君提出輸入農産物にかかる農薬使用等に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員平野達男君提出輸入農産物にかかる農薬使用等に関する質問に対する答弁書

一について

 国内の農産物生産に係る農薬の使用規制は、農薬取締法(昭和二十三年法律第八十二号)に基づき、国内の農業生産の安定と国民の健康の保護に資するとともに、国民の生活環境の保全に寄与することを目的として行われている。

二について

 お尋ねの「国内で使用が認められていない農薬で中国において使用が認められている、あるいは、中国において使用禁止されているにもかかわらず中国において現に使用されている農薬」の実態については、同国の農薬の使用実態等に関し十分な情報を入手することができないことから、お答えすることは困難である。なお、両国間においては、事案に応じ、農薬の使用実態を含めた輸入農産物に係る安全性に関する必要な情報交換を行うこととしているところである。

三について

 中国において設定されている食品中の農薬の残留基準の詳細については、残留基準が設定されている農薬や食品の種類が多岐にわたり、整理の作業が膨大となることから、お答えすることは困難である。

四及び五について

 我が国において流通する食品中の残留農薬については、食品衛生法(昭和二十二年法律第二百三十三号)第十一条第一項及び第三項の規定により、公衆衛生の見地から、食品に残留しても人の健康を損なうおそれのない量(以下「国内の残留農薬基準」という。)が食品ごとに設定されている。当該国内の残留農薬基準を超えて農薬が残留する食品の輸入等については同条第二項及び第三項の規定により禁止されており、同法第二十三条第一項の「食品の輸入について国が行う監視指導の実施に関する計画」(以下「輸入食品監視指導計画」という。)に基づき、監視指導が行われている。
 なお、各国において使用が認められる農薬の種類については、気候条件、病害虫の発生状況等により異なっており、世界的に広く使用されている農薬のうち、我が国で農薬取締法に基づく登録がなされ、使用が認められているものはその一部である。このため、厚生労働省としては、同法の規定による登録がなく使用が認められていないものの海外で広く使用されている農薬についても、科学的知見に基づき、必要に応じ食品ごとに国内の残留農薬基準を設定し、当該基準に違反しない食品の輸入を可能としているところである。

六について

 厚生労働省としては、我が国において流通する食品の国内の残留農薬基準の設定及びそれに基づく監視指導の実施に当たっては、諸外国及び我が国における農薬の使用状況等も考慮の上、科学的知見に基づいて行うことが重要であると考えている。
 また、厚生労働省において、毎年度、輸入食品監視指導計画を定め、重点的、効率的かつ効果的な監視指導を実施しているところである。

七について

 一般的に、我が国から食品を輸出する場合には、当該食品が輸出相手国内に流通する食品と同等の安全性を有することが求められると承知している。個別の食品輸出業者の対応が求められる場合については、政府としては把握していないことから、お尋ねについて具体的、網羅的にお示しすることは困難である。

八について

 お尋ねの食品輸入業者の責務については、食品安全基本法(平成十五年法律第四十八号)第八条に定められている食品関連事業者の責務を踏まえ、食品衛生法第三条第一項において、食品等事業者は、その輸入等を行う食品について、自らの責任においてその安全性を確保するため、販売食品等の安全性の確保に係る知識及び技術の習得、販売食品等の原材料の安全性の確保、販売食品等の自主検査の実施その他の必要な措置を講ずるよう努めなければならないとされており、厚生労働省においては、輸入食品監視指導計画に基づき、食品等事業者が適切かつ必要な措置を講じるよう、監視指導を実施しているところである。

九の1について

 お尋ねの地域及び国に関する情報の収集、整理及び活用に関する取組については、国内及び国外において、内閣府、厚生労働省、農林水産省等の関係府省が連携し、国際機関、当該地域及び国の行政機関、試験研究機関及び報道機関等から情報を収集・整理するとともに、必要に応じ関係府省間で共有し、それぞれの所掌する事務の遂行に活用している。また、収集された情報はそれぞれの関係府省において蓄積され、個人情報、知的財産等に係る情報の保護に十分配慮しながら、必要に応じ公表している。

九の2及び3について

 お尋ねのEU及び中国については、EUにおいては欧州連合規則に基づき、また、中国においては食品衛生法等に基づき、それぞれの自然的経済的社会的諸条件に応じて、当該地域及び国において適切と判断する食品の安全性の確保に関する取組が行われているものと考えている。

十について

 政府としては、今般明らかになった冷凍食品による薬物中毒事案を踏まえ、本年二月四日から七日にかけて、調査団を中国に派遣し、当該食品を製造した工場の調査を行ったところである。
 当該調査の際、当該工場は中国の国家機関がHACCPの導入を認証しているとの説明を受けたが、その時点で、当該工場の操業は停止されており、実際の稼働状況の確認ができなかったことから、当該工場のHACCP手法に基づく衛生管理が適切であったか否かについてお答えすることは困難である。

十一について

 高病原性鳥インフルエンザの発生国又は地域(以下「発生国等」という。)から発送され、又は発生国等を経由した鶏肉及び鶏肉加工品(以下「鶏肉等」という。)の我が国への輸入については、家畜衛生の観点から、家畜伝染病予防法(昭和二十六年法律第百六十六号)に基づき、一定の条件の下で加熱処理された鶏肉等を除き、その輸入を停止することとしている。
 また、EU及び米国においても、家畜衛生の観点から、発生国等から発送され、又は発生国等を経由した鶏肉等の輸入について、一定の条件の下で加熱処理された鶏肉等を除き、その輸入を停止することとしていると承知している。

十二について

 米国からの輸入牛肉に対するEUの規制について、詳細は把握していないが、EUにおいては米国の生産段階における飼料管理等を踏まえた条件を設けるとともに、飼料添加物及び動物用の医薬品に関しては、米国の生産段階における使用方法に係る条件と牛肉における残留基準値を設定し、これに適合しないものの輸入の禁止等が行われていると承知している。
 米国からの輸入牛肉に対する我が国の規制については、米国の生産段階における飼料管理等を踏まえた食品安全委員会の食品健康影響評価に基づき輸入条件を定めているところである。また、飼料添加物及び動物用の医薬品に関しては、食品衛生法第十一条第一項及び第三項の規定により、牛肉に残留する飼料添加物及び動物用の医薬品について、残留基準値を設定し、これに適合しないものの輸入等を禁止しているところである。