質問主意書

第169回国会(常会)

答弁書


答弁書第四九号

内閣参質一六九第四九号
  平成二十年二月二十九日
内閣総理大臣 福田 康夫   


       参議院議長 江田 五月 殿

参議院議員藤末健三君提出教育および福祉分野における民間企業への公的支援の考え方に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員藤末健三君提出教育および福祉分野における民間企業への公的支援の考え方に関する質問に対する答弁書

一について

 憲法第八十九条は、公の支配に属しない教育の事業に対する公金の支出を禁止している。ここにいう「公の支配」に属するとは、私立学校その他の私立の事業については、その会計、人事等につき、国又は地方公共団体の特別の監督関係の下に置かれていることを意味するものと解される。

二及び三について

 文部科学省としては、学校設置会社(構造改革特別区域法(平成十四年法律第百八十九号)第十二条第二項に規定する学校設置会社をいう。以下同じ。)については、株式や社債の発行により市場からの資金調達が比較的容易であること、私立学校法(昭和二十四年法律第二百七十号)の規定による法人の設立運営上の制約がないこと等から、学校設置会社に対する私学助成が行われていないことのみをもって、学校設置会社が学校法人に比べて不利な競争条件や不公正な事業環境の下に置かれているとは一概に言えないものと考えており、憲法第二十六条との関係も含め、御指摘はいずれも当たらないものと考える。

四について

 株式会社については、株主等の保護の観点から、会社法(平成十七年法律第八十六号)等において、必要な財務情報を広く一般に公開することとされているが、学校法人については、株式会社における株式のように投資の対象となる持分がないことから、私立学校法第四十七条第二項の規定により、学生生徒等納付金の納付者たる在学生、保護者等の利害関係人から請求があった場合には、財務情報を閲覧に供することとされているものである。
 しかしながら、文部科学省としては、各学校法人において、法人としての説明責任を積極的に果たす観点から、財務情報の一般公開を行うよう促しているところである。

五について

 文部科学省としては、私学助成を受けている学校法人においても学生のニーズへの対応、運営の効率化等が適切に図られているものと考えており、私学助成が学校法人に対して行われていることが、学生のニーズへの対応、運営の効率化等を妨げる原因となっているとは考えていない。

六について

 文部科学省としては、諸外国における教育バウチャー制度の実施例が少なく、実施形態が様々であることに加えて、制度の導入による教育効果も十分に検証されておらず、評価も分かれていることから、我が国に教育バウチャー制度を導入することについては、慎重な検討が必要であると考える。