質問主意書

第169回国会(常会)

答弁書


答弁書第四一号

内閣参質一六九第四一号
  平成二十年二月二十九日
内閣総理大臣 福田 康夫   


       参議院議長 江田 五月 殿

参議院議員谷博之君提出アウトソーシング業界における社会保険に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員谷博之君提出アウトソーシング業界における社会保険に関する質問に対する答弁書

一について

 厚生労働省が平成十七年に実施した「労働力需給制度についてのアンケート調査」によると、派遣労働者が労働・社会保険に加入している割合は、雇用保険が八十八・七パーセント、健康保険が八十五・一パーセント、厚生年金保険が八十二・四パーセントとなっており、また、請負労働者が労働・社会保険に加入している割合は、雇用保険が九十一・二パーセント、健康保険が八十二・五パーセント、厚生年金保険が七十六・〇パーセントとなっているが、当該アンケート調査は、派遣労働者及び請負労働者から得た回答を単純に集計したものである。お尋ねの加入状況をお示しするためには、派遣労働者及び請負労働者の雇用保険、健康保険及び厚生年金保険への加入義務の要否について、雇用保険法(昭和四十九年法律第百十六号)その他の関係法令に基づき、当該労働者の雇用契約及び就労実態に応じて判断した上で改めて算出しなければならないものであることから、お尋ねの加入状況について、当該アンケート調査の結果をもって一概にお答えすることは困難であり、また、新たに調査することは作業が膨大なものとなることから、お答えすることは困難である。

二及び三について

 健康保険法(大正十一年法律第七十号)第三条第三項に規定する健康保険の適用事業所の事業主は、同条第八項に規定する日雇労働者を使用する場合には、同条第二項に規定する日雇特例被保険者であるか否かにかかわらず、健康保険法施行規則(大正十五年内務省令第三十六号)第百四十五条第一項の規定に基づき、健康保険印紙購入通帳の交付を受けなければならないこととなっている。

四について

 労働保険の保険料の徴収等に関する法律施行規則(昭和四十七年労働省令第八号)第四十二条第一項に規定する雇用保険印紙購入通帳や健康保険法施行規則第百四十五条第一項に規定する健康保険印紙購入通帳の交付申請については、それぞれの関係法令に基づき、本来、事業主が適正な手続を行わなければならないものであり、事業主が雇用保険印紙購入通帳の交付申請を行ったことをもって、直ちに社会保険庁が健康保険印紙購入通帳の交付申請を指導する仕組みとはなっていない。しかしながら、厚生労働省としては、事業主に対し、関係法令に関する周知を図っていくことが重要であると認識しており、本年二月二十八日に新たに定めた日雇派遣労働者の雇用の安定等を図るために派遣元事業主及び派遣先が講ずべき措置に関する指針(平成二十年厚生労働省告示第三十六号。以下「日雇派遣指針」という。)において、派遣元事業主及び派遣先が講ずべき措置として、労働保険と社会保険の適用の促進についても明記していることを踏まえ、今後、この指針の周知徹底を図るとともに、雇用保険と社会保険の連携について検討することとしている。

五について

 お尋ねについては把握していない。

六について

 御指摘の健康保険法第三条第二項に規定する日雇特例被保険者の適用除外申請については、当該申請を行う事業所は健康保険の適用事業所を対象としているが、労働者派遣事業の許可を受けている事業所か否か申告することまでは求めておらず、お尋ねの件数については把握していない。

七について

 日雇派遣指針は、派遣労働者の雇用期間にかかわらずすべての派遣元事業主及び派遣先にそれぞれ適用される派遣元事業主が講ずべき措置に関する指針(平成十一年労働省告示第百三十七号。以下「派遣元指針」という。)及び派遣先が講ずべき措置に関する指針(平成十一年労働省告示第百三十八号。以下「派遣先指針」という。)に加えて、特に雇用期間が短期で雇用が不安定であると考えられる日々又は三十日以内の期間を定めて雇用される派遣労働者について、十分な保護を図るために作成したものである。このため、健康保険法第三条第八項ロにおいて、二月以内の期間を定めて使用される者であるかどうかを一つの基準としている日雇特例被保険者制度とは、対象範囲が異なるものである。

八について

 日雇派遣指針の対象ではない三十日を超え二月以内の期間を定めて雇用される派遣労働者については、派遣元指針及び派遣先指針の対象となっており、保護が図られていると考えている。

九について

 健康保険法第百二十六条第一項に規定する日雇特例被保険者手帳及び雇用保険法第四十四条に規定する日雇労働被保険者手帳については、それぞれの法律に基づき交付要件が異なることから、御指摘のような「手帳の一本化」は困難と考えている。