質問主意書

第169回国会(常会)

答弁書


答弁書第三三号

内閣参質一六九第三三号
  平成二十年二月二十二日
内閣総理大臣 福田 康夫   


       参議院議長 江田 五月 殿

参議院議員水戸将史君提出多文化共生の推進等に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員水戸将史君提出多文化共生の推進等に関する質問に対する答弁書

一について

 政府としては、平成十八年十二月二十五日に外国人労働者問題関係省庁連絡会議において取りまとめた「「生活者としての外国人」に関する総合的対応策」(以下「総合的対応策」という。)に基づき、外国人に対する日本語教育の充実を図るため、日本語教室の設置運営等に関するボランティア団体等の先進的・モデル的な取組を推進する等の施策を進めているところである。
 また、総合的対応策において、外国人自身の日本語を学ぼうとする意欲が不足していることも日本語能力の向上の阻害要因の一つとなっていることから、入国時並びに在留期間の更新及び在留資格の変更許可の際に日本語能力を考慮すること等について検討することとされており、これらの検討と併せて永住許可の際に日本語能力を考慮することについても検討していくこととしている。

二について

 政府としては、お尋ねの「医療通訳者や医療通訳ボランティアの養成」については、具体的な施策を講じていないが、平成十八年の医療法(昭和二十三年法律第二百五号)の改正により、平成十九年四月一日から都道府県は医療機関からの報告に基づき、当該医療機関において対応することができる外国語の種類などの医療機関に関する情報を公表することとされたところであり、当該公表制度の着実な実施を図り、外国人が意思疎通の可能な言語により受診できる医療機関を選択できるように努めてまいりたい。

三について

 出入国管理及び難民認定法(昭和二十六年政令第三百十九号)上、「定住者」等の身分又は地位に基づく在留資格で我が国に在留する外国人については、在留中の活動に制限がなく、これらの者は不安定な雇用形態で比較的単純な労働に従事している場合が多いという実態があることは認識しており、その就業環境等の改善に向けた対策を講じているところである。なお、いわゆる単純労働者として外国人を受け入れることについては、労働市場や地域社会への影響を始め、我が国の経済社会や国民生活に多大な影響を及ぼすことなどが予想されることから、慎重に対応することが必要であると考える。

四について

 お尋ねについては、労働者の国籍にかかわらず、日本国内において事業に使用される労働者に対しては、労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)上の中間搾取の禁止及び賃金の全額払いの原則等の規定が適用されるものであり、労働基準監督機関において、これらの規定が遵守されるよう監督指導等を行っているところである。また、外国人労働者の健康保険等への加入や医療機関の受診が適切に行われるよう、関係法令の遵守の徹底を図ってまいりたい。

五について

 政府としては、介護等の労働力を含め、少子・高齢化の進展の中で必要な労働力を確保していくためには、まず、若者、女性、高齢者等すべての人の意欲と能力が最大限発揮できるような環境整備を図り、より多くの国民の就業参加の実現を図っていくことが重要であると考える。その上で、お尋ねの外国人労働者を受け入れる分野を拡大することについては、三についてで述べたとおり、我が国の経済社会や国民生活に多大な影響を及ぼすことなどが予想されることから、慎重に対応することが必要であると考える。