質問主意書

第169回国会(常会)

答弁書


答弁書第一九号

内閣参質一六九第一九号
  平成二十年二月十二日
内閣総理大臣 福田 康夫   


       参議院議長 江田 五月 殿

参議院議員松野信夫君提出諫早湾干拓調整池等に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員松野信夫君提出諫早湾干拓調整池等に関する質問に対する答弁書

一について

 調整池の水を干拓地のかんがい用水として利用することについて特段の問題はないとする理由は、参議院議員松野信夫君提出諫早湾干拓調整池等に関する質問に対する答弁書(平成二十年一月十八日内閣参質一六八第一一二号。以下「前回答弁書」という。)一についてで答弁したとおりであり、調整池の水については、事業計画上、干拓地のかんがい用水として利用することとされており、この観点からは、農作物の栽培で所期の収量が確保されているのであれば特段の問題はないと考えている。
 また、御指摘の世界保健機関が定めた水道水質ガイドラインは、飲料水として利用する場合における基準値であり、かんがい用水として利用する観点から定めたものではないものと承知しており、アオコの発生した湖沼の水を農業用水として利用することで農作物への被害が発生したとする事例も見当たらない。

二について

 諫早湾干拓地の営農に使う農業用水については、調整池の水を利用することとしており、金子原二郎長崎県知事も、平成二十年一月二十九日に行った定例記者会見で、「本明川の河口に近い調整池の水を利水しているということです。実際は、それは全て調整池の水です。」と発言していると承知している。

三について

 国営諫早湾土地改良事業における受益者負担については、前回答弁書四についてで答弁したとおり、土地改良法(昭和二十四年法律第百九十五号)第九十条第三項の規定に基づき、長崎県が国営干拓事業負担金徴収条例に基づいて徴収することとなっているため、国庫による負担分を除く県及び受益者の負担に係る割合については国が決定するものではない。
 なお、御指摘の潮受堤防については、高潮被害等の防止に係る防災上の効果が大きいことから、国庫による負担分を除く部分についてはすべて長崎県が負担することと決定した旨承知しているところである。

四について

 潮受堤防の防災の対象として想定している土地の範囲については、昭和六十一年の着工時においては、長崎県諫早市のうち、仲沖町、上町、栄町、八坂町、本町、東本町、旭町、厚生町、幸町、八天町、船越町、立石町、西郷町、新道町、福田町、泉町、小川町、鷲崎町、川床町、赤崎町、黒崎町、小野町、小野島町、川内町、長野町、宗方町、小豆崎町、西里町、長田町、正久寺町、高天町、白浜町、猿崎町、森山町慶師野、森山町本村、森山町田尻、森山町杉谷、森山町唐比北、森山町唐比東、森山町下井牟田、高来町三部壱、高来町里、高来町町名、高来町黒崎、高来町小峰、高来町泉、高来町金崎、高来町下与、高来町峰、高来町小船津、高来町船津、高来町大戸及び高来町冨地戸並びに同県雲仙市のうち、吾妻町阿母名、吾妻町牛口名、吾妻町永中名、吾妻町田之平名、吾妻町古城名、愛野町甲及び愛野町乙である。平成十一年の事業計画変更時においては、同県諫早市のうち、仲沖町、旭町、幸町、八天町、船越町、立石町、西郷町、福田町、泉町、鷲崎町、川床町、赤崎町、黒崎町、小野町、小野島町、川内町、長野町、宗方町、小豆崎町、西里町、長田町、正久寺町、高天町、白浜町、猿崎町、森山町慶師野、森山町本村、森山町田尻、森山町杉谷、森山町唐比北、森山町下井牟田、高来町三部壱、高来町里、高来町町名、高来町法川、高来町黒崎、高来町泉、高来町金崎、高来町下与、高来町峰、高来町小船津、高来町船津、高来町大戸及び高来町冨地戸並びに同県雲仙市のうち、吾妻町阿母名、吾妻町牛口名、吾妻町永中名、吾妻町大木場名、吾妻町田之平名、吾妻町平江名、吾妻町古城名、愛野町甲及び愛野町乙である。
 また、国営諫早湾土地改良事業は、複式干拓方式により潮受堤防を設置して、調整池及びそこを水源とするかんがい用水が確保された大規模で平坦な優良農地を造成し、生産性の高い農業を実現するとともに、背後低平地において、高潮、洪水、常時排水不良等に対する防災機能を強化する土地改良事業であり、土地改良法の趣旨目的に沿った事業として実施したものである。