質問主意書

第169回国会(常会)

答弁書


答弁書第七号

内閣参質一六九第七号
  平成二十年一月二十九日
内閣総理大臣 福田 康夫   


       参議院議長 江田 五月 殿

参議院議員大久保勉君提出株式公開会社の株式を会社法第四百六十九条等に基づいて売却する際の課税方法に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員大久保勉君提出株式公開会社の株式を会社法第四百六十九条等に基づいて売却する際の課税方法に関する質問に対する答弁書

 個人株主が、その保有する株式を、当該株式の発行法人以外の者が行う株式公開買付けに応じて譲渡をした場合には、当該譲渡による所得は、所得税法(昭和四十年法律第三十三号)第三十三条及び租税特別措置法(昭和三十二年法律第二十六号)第三十七条の十の規定により、株式等に係る譲渡所得等として課税される。
 他方、個人株主が、その保有する株式について、当該株式の発行法人が行う株式公開買付けに応じ、又は当該発行法人に対し株式買取請求権を行使することなどにより、当該発行法人の自己株式の取得の対価として金銭等の交付を受けた場合には、その金銭等の額のうち当該発行法人の資本金等の額を超える部分の金額に係る金銭等は、所得税法第二十五条の規定により、原則として、剰余金の配当とみなして課税される。なお、上場会社等による自己株式の取得・消却の促進を図る政策的な観点から、平成七年十一月十七日から平成二十一年三月三十一日までの間に上場会社等が行う自己株式の公開買付けに応じた個人株主が交付を受ける金銭の額のうち、当該上場会社等の資本金等の額を超える部分の金額については、特例として、租税特別措置法第九条の六の規定により、株式等に係る譲渡所得等として課税される。
 個人株主が株式買取請求権の行使をした場合に、発行法人の自己株式の取得の対価として交付を受けた金銭等の額のうち、当該発行法人の資本金等の額を超える部分の金額に係る金銭等については、実質的に当該発行法人から株主に剰余金が配当されたとみるべきものであることから、みなし配当として扱うことが適切であると考えている。
 なお、今国会に提出した所得税法等の一部を改正する法律案においては、平成二十一年から、上場株式等の譲渡損失と上場株式等の配当所得との間の損益通算の特例措置を創設することとしているところであり、個人株主が、その保有する上場株式について、当該上場株式の発行法人に対し株式買取請求権を行使した場合には、その行使により生じる譲渡損失と配当所得は、一定の要件の下、この特例措置の適用対象となることとなる。