質問主意書

第169回国会(常会)

答弁書


答弁書第一号

内閣参質一六九第一号
  平成二十年一月二十九日
内閣総理大臣 福田 康夫   


       参議院議長 江田 五月 殿

参議院議員前川清成君提出平城京跡の管理に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員前川清成君提出平城京跡の管理に関する質問に対する答弁書

一について

 平城宮跡の大部分は国有財産であり、その管理は文化庁及び奈良県が行っている。また、国有財産以外の史跡部分については、当該史跡の所有者が管理しているものと承知している。

二について

 国有財産である平城宮跡については、文化庁において、平城宮跡管理事務所を設置するとともに、巡回警備等を警備会社に委託するなどの方法により、日常的な管理が行われている。これらの管理に係る平成十九年度の予算額は、二千五百八十七万六千円である。

三について

 国有財産である平城宮跡については、平成十三年三月までは、文化庁に置かれた研究施設である奈良国立文化財研究所が管理していたが、同年四月に同研究所が独立行政法人とされた後は、文化庁が管理している。現在、文化庁では、平城宮跡内の国有地に「文化庁」の名前を表示した看板を設置しているが、国有地内には、独立行政法人となる前の奈良国立文化財研究所が当該国有地を管理していた同年三月以前に設置された「奈文研」の名前を表示した看板が一部に残っているところである。この「奈文研」の名前を表示した看板については、管理責任の所在を明確にするためにも、早急に改善を図ることとしている。
 また、平城宮跡内の国有地において、国の造営物の設置又は管理に瑕疵があったために他人に損害を生じたときは、国がこれを賠償する責めに任ずることとされている。

四から六までについて

 文化庁としては、平城宮跡内の国有地の近隣住民等から、当該国有地でゴルフの練習を行っている者がおり、危害を受けるおそれがあるとの苦情を受け、当該国有地ではゴルフの練習等が禁止されていることを明示すること等を目的として、御指摘の看板を十四か所に設置したところである。また、二についてでお答えした警備会社等においても、年に数十回程度、巡回警備中等に当該国有地でゴルフの練習等を行っている者を発見し、その都度ゴルフの練習等をやめるよう注意しているとのことである。文化庁としては、平城宮跡管理事務所から、これらの対策により、ゴルフの練習等を行っている者を見かけることが以前より少なくなったとの報告を受けている。

七から九までについて

 御指摘の看板における犬の訓練とは、例えば、目標物を置き号令とともに犬に当該目標物を攻撃させること等を想定している。文化庁としては、平城宮跡の来訪者から、平城宮跡内の国有地で犬の訓練を行っている者がいるとの苦情を受け、犬の訓練は、広い敷地を占有し、周囲の方々に脅威を与える場合もあるなど、他の来訪者に迷惑をかけることになると考え、当該国有地では犬の訓練が禁止されていることを明示すること等を目的として、御指摘の看板を五か所に設置したところである。文化庁としては、平城宮跡管理事務所から、当該看板を設置したことにより、犬の訓練を行っている者を見かけることが以前より少なくなったとの報告を受けている。
 なお、犬の放し飼いについても、来訪者等から苦情を受けていることから、これを禁止する旨の看板の設置について検討してまいりたい。

十及び十一について

 御指摘の看板によって禁止されている行為は、十四種類あり、いずれの行為についても、平城宮跡への来訪者、周辺住民等に迷惑を及ぼすことなく、安全で快適に過ごしていただくこと等を目的として禁止している。御指摘の看板の内容は、①ゴルフの禁止、②犬の訓練の禁止、③植物や魚鳥類の採取の禁止、④工作物の汚損の禁止、⑤火災の原因となる行為の禁止、⑥指定以外の場所への車の乗入れや駐車の禁止、⑦物品等の販売又は頒布の禁止、⑧史跡の保存活動にふさわしくない集会等の禁止、⑨風紀を乱す行為又は他人に迷惑をかける行為の禁止、⑩ゴミの不法投棄の禁止、⑪線路横断禁止、⑫ラジコン飛行機禁止、⑬駐車時の不必要なエンジンの稼働禁止、⑭係官が宮跡内では不適当と認める行為の禁止である。文化庁としては、御指摘の看板を設置し、巡回警備を行うことで、来訪者が禁止行為を行うことを防止する効果があるものと考えている。

十二及び十三について

 文化庁としては、平城宮跡管理事務所を設置するとともに、巡回警備等を警備会社に委託するなどの方法により、国有財産である平城宮跡の日常的な管理を行っているほか、必要に応じて文化庁から職員を現地に派遣したり、奈良県教育委員会、奈良市又は独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所(以下「奈良文化財研究所」という。)に協力を求めるなどの方法により、国有財産である平城宮跡の適正な管理に努めている。

十四について

 平城宮跡内における日常の植生管理等については、文化庁が奈良文化財研究所に対し、平城宮跡内の国有地における雑草等の除草作業、中低木のせん定作業等の美化管理を委託しており、当該植生管理等に係る平成十九年度予算額は、千九百十四万円である。

十五について

 文化庁としては、農耕作に使用される除草剤を石組み・玉石敷き部分、変電設備の管理区域地域等の草刈り作業が困難な場所に限定して使用することとしており、樹木の根元への散布は行っていないが、御指摘のとおり平城宮跡内の一部の樹木に枯死が発生していることは承知しており、今後一層適切な植生管理を図ってまいりたい。

十六について

 国土交通省としては、平城宮跡について、平成二十年度より、国営飛鳥・平城宮跡歴史公園平城宮跡区域(仮称)としてその整備に着手し、我が国の貴重な歴史的かつ文化的資産を将来に継承する公園づくりを進める予定である。
 国営公園として供用することとなる平城宮跡の区域については、文化庁による文化財保護法(昭和二十五年法律第二百十四号)に基づく特別史跡としての管理に加え、国土交通省による都市公園法(昭和三十一年法律第七十九号)に基づく都市公園としての管理が行われることとなり、国土交通省としては、同法に基づき、国営公園が安全で快適に利用できるよう適正な管理に努めてまいる所存である。