質問主意書

第169回国会(常会)

質問主意書


質問第一七四号

厚生労働省の「居酒屋タクシー」に関する調査結果と生活保護受給者の通院移送費に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十年六月十九日

谷 博之   


       参議院議長 江田 五月 殿



   厚生労働省の「居酒屋タクシー」に関する調査結果と生活保護受給者の通院移送費に関する質問主意書

 厚生労働省は本年四月一日、社会・援護局長名で、生活保護受給者に対し従来支給されてきた通院移送費を原則支給しないとする通知(以下、「局長通知」という。)を出した。その後当事者団体と民主党の強い抗議を受け、六月十日には、社会・援護局保護課長名で「医療扶助における移送の給付決定に関する留意点(周知徹底依頼)」(以下、「新課長通知」という。)という文書を全国に発出した。一方、私は本年六月十二日に、厚生労働省大臣官房総務課より、件名が「『居酒屋タクシー』に関する調査結果について」という資料を受け取った。これは民主党の長妻昭衆議院議員の要求に基づき調査を行った結果と承知している。
 一般納税者にとっては同じ税金の使い道の問題なので、併せて以下、質問する。

一 厚生労働省職員に対するタクシー運転手からの金品の提供に係る調査について

1 今回の調査方法はどのように行ったのか。職員に一度聞き取っただけで、関係先からの聞き取りを行ったわけではなく、領収書や請求書を精査したわけでもないと聞いているが、六月五日に公表された財務省調査のように、具体的に明らかにされたい。
2 厚生労働省では職員に対するタクシー券支給の基準はどのように定められているのか。内規や基準など具体的に明らかにされたい。
3 厚生労働省では職員がタクシーを利用する際、その利用ルート(発着地点、経由地)についてきちんと把握した上で、タクシー利用を認めているのか。
4 厚生労働省では個々のタクシー会社から請求された金額と、利用区間の実際の距離や夜間割増料金水準等を照らし合わせ、妥当な金額なのかどうか、確認をしているのか。
5 今後、厚生労働省職員に対するタクシー券の支給等によるタクシー利用を適正化していくためには、必要な移動なのかどうか、適切な交通機関かどうか、適正なルートかどうか、適正な請求金額かどうかなどの確認を行うといった規程や基準を整備するなどして、支給手続きを明確化していくべきであると考えるがいかがか。

二 生活保護受給者の通院移送費について

1 舛添厚生労働大臣は、六月十日の記者会見において、新課長通知について「(局長通知を)事実上撤回するもの」と述べたが、これは厚生労働省の公式見解であり、局長通知は撤回されたと理解してよいか。かりに一部撤回なのだとすれば、局長通知のどの部分を撤回したものなのか、明らかにされたい。
2 新課長通知では「移送に必要な最小限度」というこれまでの基準を変更するものではないとしている。しかし、その(3)では電車・バス等の公共交通機関で通院する場合は高額になる場合でないと支給しないとしている。これまでの基準では、適正なルート、交通機関、主治医の通院意見書等の確認により移送費の高額、低額にかかわらず必要最小限の通院移送費が支給されていた。なぜ今回の改正では高額でないと支給されないとしているのか。高額でないと支給されないとするのならば、「移送に必要な最小限度」というこれまでの基準を変更するものではないのか。
3 「移送に必要最小限度」というこれまでの基準を変更するものでないとすれば、「高額」にならないことを理由として移送費が支給されないことがあってはならない。局長通知及び新課長通知から「高額」は削除すべきと考えるがいかがか。
4 新課長通知は「都市部であっても一律に排除するものではありません」としているが、一律でないというならば、「へき地等」に該当しないことを理由に移送費が支給されないことがありえるのか。
5 「移送に必要最小限度」というこれまでの基準を変更するものでないとすれば、「へき地等」を理由に移送費が支給されないことがあってはならない。局長通知及び新課長通知から「へき地等」は削除すべきと考えるがいかがか。
6 局長通知及び新課長通知において「例外的給付」とは、原則支給しないという意味ではないとしているが、「例外的」と表記されることによって、例外に列記されなければ支給されないといった、制限列挙的な判断をしてしまうおそれがある。「移送に必要な最小限度」というこれまでの基準を変更するものではないとするならば、原則と例外を分ける必要はない。原則と例外に分けている局長通知及び新課長通知そのものを変える必要があると考えるがいかがか。
7 今後、生活保護受給者に対するタクシー等の交通手段による通院移送費の支給を適正化していくためには、一定金額以下については、今までどおり、必要な治療なのかどうか、適切な交通機関かどうか、適正なルートかどうか、適正な請求金額かどうかなどの確認を行った上で、例外なく必要最小限の金額を支給するべきではないか。
8 一定金額以上は新たな規程や基準を整備するなどして、支給手続きを明確化していくべきであると考えるがいかがか。

  右質問する。