質問主意書

第169回国会(常会)

質問主意書


質問第一六三号

遺伝子組み換え作物・食品表示に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十年六月十二日

川田 龍平   


       参議院議長 江田 五月 殿



   遺伝子組み換え作物・食品表示に関する質問主意書

 わが国の食糧安全保障の危機がさらに表面化し、遺伝子組み換え作物を使用するバイオ燃料や遺伝子組み換え食品の存在がより身近になった近年、「食の安全」保障を確立するための方法論は数多く唱えられている。遺伝子組み換え作物の食品や飼料、その他の転用(ガソリンや工業用など)については、遺伝子組み換え作物の輸入認可と食品としての安全性審査制度が義務化された現在においても、遺伝子組み換えに対する消費者からの理解は得られていない。
 そこで、不透明な遺伝子組み換え作物・食品表示をとりまく疑問について、以下質問する。

一 食品衛生法違反の食品に対する処置・対応について

 平成二十年三月十九日、明治製菓株式会社は販売・開発製造を行う甘味料「GF2」を含む十六商品の自主回収を行った。これを受けて、同社からこのGF2を購入していた数社が立て続けに商品の自主回収を通達している。この自主回収は、食品衛生法上、必要であった遺伝子組み換え技術の応用の申請手続き漏れであったため、自主回収に至ったということであった。
1 事業者から発覚した前記事実は、政府側の監視体制の緩慢を感じざるを得ない。どうしてこのような展開になったのか、その全貌を示されたい。
2 事業者の所在地の管轄当局である、中央区保健所は「二次加工品については、食品衛生法上違反とは読めない」と断言し、一方で「食品衛生法違反であった」という厚生労働省の見解と相違している。中央区保健所の見解と厚生労働省の見解の不一致の原因について説明されたい。
3 食品衛生法違反があったとき、食品衛生法の見地から、違反製品が使用されるすべての製品を把握できる制度・監視システムはあるのか。またその情報を消費者が知りたい場合、その情報を知る消費者の権利はどのように保証されているのか。
4 違反のあったGF2を使用しているすべての商品名と製品の在庫、消費された製品(商品名)の実態について、社名を含めて明らかにされたい。

二 遺伝子組み換えナタネによる環境汚染について

 食品の原料や飼料として日本に輸入される遺伝子組み換えナタネが輸入港や搾油工場周辺、またその移動中などにトラックの荷台などからこぼれ落ち、全国で遺伝子組み換えナタネが自生している報告がなされている。
1 遺伝子組み換えナタネの国内自生を「環境汚染」として捉えているか。また、捉えていない場合、その理由を明らかにされたい。
2 遺伝子組み換えナタネの自生は管理可能と考えているか。また、現在、実行されている監視・管理の規制、資料を明らかにされたい。
 さらに、国内ナタネ農家を遺伝子組み換えナタネから守る法律や規則があるのか。ない場合、どのように国内ナタネ農家を保障をしていく考えか、明らかにされたい。

三 遺伝子組み換え食品表示について

 遺伝子組み換え食品表示が二〇〇一年から義務化されたが、現行の遺伝子組み換え食品表示に不満がある市民の声は多い。例えば、「味噌」商品は表示対象だが、味噌をつかった菓子やカップラーメンとなると表示の対象外となり、現在の表示制度には明らかな欠陥があると考える。消費者からも改善を求める多くの声が寄せられている。今年、三月には遺伝子組み換え食品表示の法改正を求める全国の消費者団体が十六万筆強の署名の提出を行うに至っている。
1 二〇〇七年十二月十一日参議院厚生労働委員会において、舛添厚生労働大臣は、挿入された遺伝子が最終製品から検出することが困難であるしょうゆや油などについても消費者のニーズでもあれば、そういうことをきちんと勘案しながら、できるだけ表示をするという努力はやっぱりやっていきたい旨の答弁をしているが、これまでに具体的にどのような「努力」をしてきたのか、また、これからするのか、明らかにされたい。
2 遺伝子組み換え食品表示義務範囲について、厚生労働省が定義する「主な原料」に限る理由を明らかにされたい。
3 政府は「一定の混入」に関するわが国の設定は、「適切な分別生産流通管理が行われたものであっても五パーセント程度混入する可能性があると確認された」としているが、その決断に至った関連資料・調査・レポート・議事録の一部始終を明らかにされたい。
4 遺伝子組み換え作物の「一定の混入」については、トウモロコシとダイズのみはっきりとした記載(平成十二年六月十日付け農林水産省食品流通局長通知)があるが、その他の作物については個別に示されていない。「一定の混入」の概念が現在適用されている作物はいずれか明らかにされたい。
5 現在、内閣府国民生活審議会では食品表示の見直しのなかで「賞味期限」と「消費期限」の検討が報告書案では併記されているが、遺伝子組み換え食品表示法について検討は行われているのか。

  右質問する。