質問主意書

第169回国会(常会)

質問主意書


質問第一六二号

「調査捕鯨」についての諸問題に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十年六月十二日

川田 龍平   


       参議院議長 江田 五月 殿



   「調査捕鯨」についての諸問題に関する質問主意書

 二〇〇八年五月十五日付の朝日新聞朝刊記事によれば、国際環境NGОグリーンピース・ジャパンは日本政府の調査捕鯨母船・日新丸の船員が調査捕鯨鯨肉を業務上横領したとして東京地検に船員を告発し、同二十日には同地検がこの告発状を正式受理したうえ、翌二十一日には証拠品の鯨肉も引き取って本格的な捜査に乗り出した。
 そこで、同十五日に同団体が発表した告発レポートに記載された内容について、以下のとおり質問する。

一 このレポートの中で、調査捕鯨母船・日新丸関係者の話によれば、二〇〇五年から二〇〇六年の調査捕鯨期間中、日新丸の船上から南極海において最大一日七トンもの鯨肉が海洋投棄されていたというが、これは事実か。

二 もし、そのような大量の鯨肉の海洋投棄があったとすれば、これは「南極地域の環境の保護に関する法律」に違反することにならないか。

三 また同じ証言の中で、調査捕鯨で捕獲したクジラを解体する際、それらのクジラにガンや潰瘍が頻繁に見られたという証言があるが、南極で捕獲されるクジラのガン所見はどれぐらいの頻度なのか。また、それらの病変については財団法人日本鯨類研究所が写真で記録しているというが、それは事実か。事実であれば、それらの所見はすべて公表されているのか。公表されていないのであれば、国際捕鯨取締条約第八条に基づく鯨類捕獲調査の実施主体の責任において公表されたい。

四 同レポートで、水産庁の成子遠洋課長によると、鯨肉の価格が決定されるのは毎年六月であり、それ以前は価格が決まっていないので販売のしようがないという。しかし二〇〇八年五月十五日、鯨肉が船員の個人宅宛てに日新丸船上から送られた日、記者会見で白須農林水産事務次官は、船員へ配られる「お土産」としての鯨肉を、共同船舶株式会社が事前に買い付けているものだと発表した。水産庁による鯨肉の価格が決定されていない中、鯨肉の価格はどのように決められたのか。価格決定から販売までの経過及び根拠を明らかにされたい。

五 環境省所轄の南極条約が該当する南緯六十度以南で活動する調査捕鯨船団には、どのような環境配慮がなされているか。また、この海域で活動するには、その活動が南極の生態系に与える影響を包括的に示した環境影響評価を行なうことが必要とされているが、調査捕鯨船団においてはこのような環境影響調査を行なっているのか。

六 この「調査捕鯨」は、国際捕鯨取締条約第八条に則って行なっている。この第八条の第二項には、「前記の特別許可書に基いて捕獲した鯨は、実行可能な限り加工し、また、取得金は、許可を与えた政府の発給した指令書に従って処分しなければならない」とあるがこの「指令書」とは何か。また過去に日本政府が発給した指令書をすべて示されたい。

  右質問する。