質問主意書

第169回国会(常会)

質問主意書


質問第一五四号

日米地位協定の運用に関する再質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十年六月十一日

松野 信夫   


       参議院議長 江田 五月 殿



   日米地位協定の運用に関する再質問主意書

 私は、本年四月十三日に沖縄県北谷町で発生した米軍人の家族による窃盗被疑事件について質問主意書を提出した(質問第一三三号)ところ、去る六月六日に答弁書を受領した(内閣参質一六九第一三三号。以下、「答弁書」という。)。その結果、一定の事実を確認することができたが、十分に解明されたとはとうてい言い難い。
 そこで事実関係をさらに明確にするため、以下のとおり質問する。

一 答弁書「一について」

 本事件は、日米地位協定によれば、基地外における犯罪でまた公務中の米兵の犯罪でもないから、第一次裁判権及び捜査の優先権は我が国にあると思われるところ、答弁書において、「我が国が裁判権を行使する第一次の権利を有している」と裁判権については明確になったが、他方、捜査の優先権については、その意味するところが明確ではないとしている。
 捜査の優先権とは、本件のような米軍の家族の犯した基地外での犯罪について、第一次的な捜査権をどちらが有するかということである。例えば逮捕というような強制捜査がなされる場合、第一次的な捜査権を我が国が有するのであれば、米軍当局が身柄を押さえようとしてもこれを排斥して我が国の警察が逮捕できることになる。第一次裁判権が我が国にある場合には、それに必要な捜査についても、まずは第一次的に我が国が優先するということになるはずである。
1 そうすると本件事件の場合、日米地位協定の運用上、沖縄県警察は、本件被疑者を米軍憲兵より先に逮捕することができるものと考えるが、その通りか。それともこの場合も答弁書に記載があるとおり、「必要な捜査の実施について、相互に援助しなければならない」ので、沖縄県警察には、本件被疑者を米軍憲兵より先に逮捕するという優先権が与えられているわけではないということか。
2 答弁書にあるように「相互に援助」ということであれば、本件被疑者を沖縄県警察あるいは米軍憲兵隊の、どちらが先に逮捕することもそれぞれ自由、可能であり、相手方は単にその後の援助を求められたときに援助の実施をすればよいという趣旨なのか、政府の見解を示されたい。

二 答弁書「二について」

 日米地位協定によれば、基地外での憲兵の警察権は米軍構成員の間の「秩序及び規律の維持に当たることができる」との答弁であるが、それは本件のように米軍の家族が日本人被害者に対して犯した犯罪にまで及ぶという趣旨か。あるいはそうではなく、被害者及び加害者がともに米軍ないし米軍の家族内であり、その中における紛争や窃盗、傷害などの犯罪に限定されるという趣旨か、政府の見解を示されたい。

三 答弁書「三について」

 政府は、「遺憾であると認識しており…遺憾であり…沖縄県警察に協力するよう申入れを行っている。」としているが、右申入れは、いつ、誰の名義で、誰宛に行ったのか。その結果、アメリカ合衆国側からはどのような対応がなされたか、それぞれ明らかにされたい。また、具体的な改善がみられるようになったかも併せて明らかにされたい。

  右質問する。