質問主意書

第169回国会(常会)

質問主意書


質問第一四六号

地方公務員共済組合の長期給付に係る基礎年金拠出金に対する地方公共団体負担に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十年六月六日

辻 泰弘   


       参議院議長 江田 五月 殿



   地方公務員共済組合の長期給付に係る基礎年金拠出金に対する地方公共団体負担に関する質問主意書

 地方公務員共済組合の長期給付(以下「地共済年金」という。)に係る基礎年金拠出金の費用負担については、地方公務員等共済組合法第百十三条第三項により、他の公的年金制度とは異なり、国庫負担によることなく、地方公共団体が負担することとなっている。
 このような制度設計は、昭和六十年の基礎年金制度創設に当たり行われたものであるが、基礎年金拠出金の費用負担については、現在進行中の三分の一から本則の二分の一への移行過程においても、また、平成十九年四月に政府が提出し、現在衆議院で継続審査となっている「被用者年金制度の一元化等を図るための厚生年金保険法等の一部を改正する法律案」(第百六十六回国会閣法第九五号)においても、制度の変更はなく、地方公共団体が負担することとなっている。
 さらに、基礎年金については、本年五月十九日、政府の社会保障国民会議が基礎年金の税方式化の場合の負担推計を公表するなど、税方式導入の検討が各方面で行われているが、その場合の地共済年金に係る基礎年金の負担のあり方についての検討が行われているようには見受けられない。
 このように年金制度改革が進められようとする中で、地共済年金だけが他の公的年金制度と異なる負担のスキームの下に置かれ続けることの政策的整合性・妥当性については、疑問を呈さざるを得ない。
 かかる見地から、以下質問する。

一 昭和六十年の基礎年金制度創設に当たり、地共済年金については、他の公的年金制度と異なり、基礎年金拠出金に対する国庫負担が行われず、当該部分を地方公共団体が負担することとなったが、このような制度設計がなされるに至った経緯について政府の見解を示されたい。

二 昭和六十年の基礎年金制度創設以降の地共済年金に係る基礎年金拠出金に対する地方公共団体の負担額の推移について示されたい。

三 地共済年金について、昭和三十七年の制度発足以降、給付に対する国庫負担が行われたことはないか。行われていたならば、当該国庫負担額の推移について示されたい。

四 これまでの政府の国会答弁においては、「社会保険制度の年金給付の費用については、公経済の主体が一定の割合を負担し、残りを事業主と被用者とが折半して負担する」ことが基本であるとの見解が示されているが、公経済負担については、その概念が必ずしも明確にされていない。公経済負担の定義、公経済負担を行う趣旨、公経済の範囲を明示されたい。

五 公経済負担の定義等に照らし、地共済年金に係る基礎年金拠出金に対する地方公共団体負担の位置付けをどのように考えるべきか。地方公共団体負担を公経済負担とした場合、国庫負担によっている他の公的年金制度の公経済負担とは性格を異にするものと解するべきなのか。公経済負担として性格が異ならないとするならば、なぜ地共済年金だけが国庫負担によらず地方公共団体負担に依拠するものとされるのか、政府の見解を示されたい。

六 現在、各方面において、基礎年金の税方式化(国税の投入)が検討されているが、仮に税方式が導入された場合、現在の地方公共団体が負担する仕組みを維持し続けるのか否か。税方式化の議論の高まりの中で、政府は当然に、その場合の地共済年金に係る基礎年金の負担のあり方について検討しているものと考えるが、見解を明らかにされたい。

七 本年五月十九日、政府の社会保障国民会議が公表した基礎年金の税方式化の場合の負担推計においては、地共済年金に係る基礎年金の負担を、いかなる主体が担うとの前提で試算したのか、明らかにされたい。併せて、同推計における二〇五〇年度までの地共済年金に係る基礎年金の負担見込額を示されたい。

  右質問する。