質問主意書

第169回国会(常会)

質問主意書


質問第一一六号

「奈良盆地東縁断層帯」及び「生駒断層帯」の位置の特定に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十年五月一日

前川 清成   


       参議院議長 江田 五月 殿



   「奈良盆地東縁断層帯」及び「生駒断層帯」の位置の特定に関する質問主意書

 小職が平成二十年一月二十五日に提出した「中部圏・近畿圏の内陸地震に係る被害想定結果について(基本被害)の公表に関する質問主意書」(以下、前回質問主意書という。)に対する政府答弁書によると、政府も断層帯について国民が正確な認識を持つことの重要性を認識している(前回質問主意書に対する政府答弁書四)。
 それにもかかわらず、一方で、政府は「奈良盆地東縁断層帯」については「城陽市南部から桜井市までほぼ南北に延びる全長約三十五キロメートル」、「生駒断層帯」については「枚方市から羽曳野市までほぼ南北に延びる全長約三十八キロメートル」としか特定しておらず、これ以上に地名、地番等を特定していないと回答している(前回質問主意書に対する政府答弁書五及び六)。
 これに対して、他方では、日本原子力発電は、今般、敦賀原発二号機の放水路に関して、現在の放水路は浦底断層を横切っていることを理由に約百メートル南西にずらして、付け替えることを発表した。同社がかかる決定に至ったのは、同社においては浦底断層の位置を百メートル未満の精度で、正確に特定できているからにほかならない。
 そこで、以下の通り質問する。

一 日本原子力発電においては浦底断層の位置を百メートル未満の精度で正確に特定しているにもかかわらず、何故政府においては「奈良盆地東縁断層帯」及び「生駒断層帯」の位置を正確に特定していないのか。

二 前回質問主意書に対する政府答弁書五及び六において「表記以上の精度での特定はしておらず」とか、「地名、地番等の特定は行っていない」と回答しているが、右に言う「特定していない」とは、「特定することは可能であるが、何か理由があって詳細は特定していない」との趣旨か、あるいは政府の能力においては、能力的な限界等で「これ以上の特定は不可能である」との趣旨か。
 政府答弁書に言う「特定していない」の意味を明確にされたい。

三 前問に対する答弁が前者、すなわち「特定していない」の意味が「特定することは可能であるが、何か理由があって詳細は特定していない」である場合、何故可能であるにもかかわらず、より詳細な特定と、その公表を怠っているのか、その理由を答弁されたい。

四 前問に関連して質問する。
 前回質問主意書第三項の質問、すなわち「一読しただけで断層帯が判読できるような明瞭な資料を隠匿するのか」に対する答弁が不正確であった。
 ついては、「奈良盆地東縁断層帯」及び「生駒断層帯」の位置に関して、政府は、現時点においては、内閣府ホームページに掲載している「26.奈良盆地東縁断層帯の地震(M7・4)図1.1.17断層モデル(15)」と題する図面、「29.生駒断層帯の地震(M7・5)図1.1.19断層モデル(17)」と題する図面以上に詳細な図面を所持していないのか。あるいは所持しているが、公表を拒んでいるのか、明らかにされたい。
 後者の場合、公表を拒む理由も明らかにされたい。

五 第二問に対する答弁が後者の場合、すなわち「特定していない」の意味が「これ以上の特定は不可能である」の場合、何故不可能か、その理由を答弁されたい。
 併せて、その場合には、これまでに費やした八億六千九百万円は「無駄使い」ではなかったのか、一体何に八億六千九百万円を要したのか、明らかにされたい。

  右質問する。