質問主意書

第169回国会(常会)

質問主意書


質問第一〇七号

武蔵小金井駅南口第1地区第一種市街地再開発事業についての都市再開発法上の問題点に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十年四月十七日

川田 龍平   


       参議院議長 江田 五月 殿



   武蔵小金井駅南口第1地区第一種市街地再開発事業についての都市再開発法上の問題点に関する質問主意書

 国土交通大臣が事業認可・権利変換計画認可し、独立行政法人都市再生機構(以下「機構」という。)が施行している武蔵小金井駅南口第1地区第一種市街地再開発事業に関する都市再開発法上の問題点について、以下質問する。

一 「1のⅢ街区」の設計変更について

1 「屋外機械置場」及び「屋外機械置場2」の増設について
 国土交通大臣が認可した事業計画(断面図)では、(仮称)市民交流センターに、屋根と外壁を備えた「屋外機械置場」及び「屋外機械置場2」は存在しない。しかし、機構が、東京都多摩建築指導事務所に提出した計画通知(断面図)では、(仮称)市民交流センターの最上部及び三階部分に、事業計画(断面図)にはない屋根・外壁を付け加えている。そして、平成一九年五月二九日に、(仮称)市民交流センターは着工に及んでいる。
(一) 都市再開発法及び同法施行令によれば、事業計画を変更する場合には、国土交通大臣の認可が必要とされているが、屋根と外壁を備えた「屋外機械置場」及び「屋外機械置場2」の設置が国土交通大臣の認可を経ずして行われているのは明確な法令違反であると考えられる。政府の見解を明らかにされたい。
(二) 工事がすでに始まっているが、違法であるならば、都市再開発法の規定により、工事を中止させ是正を求める必要があると考えられる。政府の見解を明らかにされたい。
(三) 「屋外機械置場」及び「屋外機械置場2」は、国土交通大臣が認可した権利変換計画上、1のⅢ街区に権利を有する誰にも権利変換されておらず、「全体共用」や「部分共用」にも設定されていない。「屋外機械置場」及び「屋外機械置場2」を使用するには、小金井市に権利変換された(仮称)市民交流センターの専有床からアクセスするしかないのであるから、本来であれば小金井市に権利変換するか、または、小金井市の「部分共用」に設定する必要があったものと思われる。政府の見解を明らかにされたい。
2 西側外壁の変更について
 国土交通大臣が認可した事業計画(平面図)では、(仮称)市民交流センターの西側外壁はホール舞台南北線に対して斜めに建造されることとなっていた。しかし、機構が、東京都多摩建築指導事務所に提出した計画通知(平面図)では、(仮称)市民交流センター西側外壁が、事業計画(平面図)とは異なり、ホール舞台南北線に対して平行になるよう設計変更されている。そして、平成一九年五月二九日に、(仮称)市民交流センターは着工に及んでいる。
(一) 都市再開発法及び同法施行令によれば、事業計画を変更する場合には、国土交通大臣の認可が必要とされているが、西側外壁の大幅な設計変更が国土交通大臣の認可を経ずして行われているのは明確な法令違反であると考えられる。政府の見解を明らかにされたい。
(二) 工事がすでに始まっているが、違法であるならば、都市再開発法の規定により、工事を中止させ是正を求める必要があると考えられる。政府の見解を明らかにされたい。
(三) 西側外壁の変更に伴い、(仮称)市民交流センターの床面積が、国土交通大臣が認可した権利変換計画に比べて変動しているが、仮に他の部分で面積を調整していないなら、権利変換計画の変更認可が必要だと思われる。床面積の調整を行っているなら、その箇所を明示されたい。また、調整していないなら、国土交通大臣の認可無き面積変更であり、違法だと思われるが、政府の見解を明らかにされたい。
(四) 違法であるならば、都市再開発法の規定により、工事を中止させ是正を求める必要があると考えられるが、政府の見解を明らかにされたい。
3 北側デッキの階段の増設について
 国土交通大臣が認可した事業計画(平面図)及び権利変換計画(平面図)では、(仮称)市民交流センターの北側デッキのJR東日本ビルとの接続部分に階段は存在しない。しかし、機構が、東京都多摩建築指導事務所に提出した計画通知(平面図)では、(仮称)市民交流センター北側デッキの当該部分に階段が設置される設計となっている。そして、平成一九年五月二九日に、(仮称)市民交流センターは着工に及んでいる。
(一) 都市再開発法及び同法施行令によれば、事業計画を変更する場合には、国土交通大臣の認可が必要とされているが、北側デッキへの階段増設が国土交通大臣の認可を経ずして行われているのは明確な法令違反であると考えられる。政府の見解を明らかにされたい。
(二) 工事がすでに始まっているが、違法であるならば、都市再開発法の規定により、工事を中止させ是正を求める必要があると考えられる。政府の見解を明らかにされたい。
(三) バリアフリーの理念に照らせば、スロープではなく階段でビルを結ぶのは不適切であると考えるが、併せて政府の所見を明らかにされたい。
4 交流ホールの形状等の変更について
 国土交通大臣が認可した事業計画(平面図)では、(仮称)市民交流センターの一階「交流ホール」は、厚い壁で囲まれ、西側部分の構造はマルチパーパススペースと一体利用するため「開放型」の設計となっていた。しかし、機構が、東京都多摩建築指導事務所に提出した計画通知(平面図)では、(仮称)市民交流センターの一階「交流ホール」が、事業計画(平面図)とは異なり、壁の厚みが極端に薄くなり、西側部分は「開放型」ではなく、控室や備品倉庫や分厚いドアが加えられ「閉鎖型」に設計変更されている。そして、平成一九年五月二九日に、(仮称)市民交流センターは着工に及んでいる。
(一) 都市再開発法及び同法施行令によれば、事業計画を変更する場合には、国土交通大臣の認可が必要とされているが、一階「交流ホール」の大幅な設計変更が国土交通大臣の認可を経ずして行われているのは明確な法令違反であると考えられる。政府の見解を明らかにされたい。
(二) 工事がすでに始まっているが、違法であるならば、都市再開発法の規定により、工事を中止させ是正を求める必要があると考えられる。政府の見解を明らかにされたい。
5 階高の変更について
 国土交通大臣が認可した事業計画(断面図)には、JR東日本ビル棟及び一般地権者ビル棟のフロアごとの階高が明示されている。しかし、機構が、東京都多摩建築指導事務所に提出した計画通知(断面図)では、JR東日本ビル棟及び一般地権者ビル棟のフロアごとの階高が大幅に変更されている。具体的には、地階が五メートルから五・一メートルに、三階から五階がいずれも四・一メートルから四・五メートルに設計変更されている。ビル全体の高さも高くなっている。そして、平成一九年五月二九日に、JR東日本ビル棟及び一般地権者ビル棟は着工に及び、すでに躯体はほぼ完成している。
(一) 都市再開発法及び同法施行令によれば、事業計画を変更する場合には、国土交通大臣の認可が必要とされているが、JR東日本ビル棟及び一般地権者ビル棟のフロアごとの階高の大幅な設計変更が国土交通大臣の認可を経ずして行われているのは明確な法令違反であると考えられる。政府の見解を明らかにされたい。
(二) 工事がすでに始まっているが、違法であるならば、都市再開発法の規定により、工事を中止させ是正を求める必要があると考えられる。政府の見解を明らかにされたい。
(三) この階高の変更は、権利変換を受けた権利者に何一つ説明されないまま行われたものである。適正手続の面で重大な瑕疵があると考えるが、政府の見解を明らかにされたい。
6 給水施設・電気施設・ガス施設の変更について
 国土交通大臣が認可した事業計画(平面図)には、「1のⅢ街区」の給水施設・電気施設・ガス施設の引き込み位置が明示されている。それによれば、(仮称)市民交流センターの地下に引き込むことになっていた。しかし、機構が実際に行っている工事図面によれば、給水施設・電気施設・ガス施設の引き込み先が変更され、別々に引き込むこととなっている。そして、平成一九年五月二九日に、JR東日本ビル棟及び一般地権者ビル棟は着工に及び、すでに躯体はほぼ完成している。
(一) 都市再開発法及び同法施行令によれば、事業計画を変更する場合には、国土交通大臣の認可が必要とされているが、JR東日本ビル棟及び一般地権者ビル棟の給水施設・電気施設・ガス施設の大幅な変更が、国土交通大臣の認可を経ずして行われているのは明確な法令違反であると考えられる。政府の見解を明らかにされたい。
(二) 工事がすでに始まっているが、違法であるならば、都市再開発法の規定により、工事を中止させ是正を求める必要があると考えられる。政府の見解を明らかにされたい。
7 連絡デッキの増設について
 国土交通大臣が認可した事業計画(平面図)では、JR東日本棟と一般地権者棟の四階五階の間には「隙間」があるのみで連絡デッキは存在しなかった。しかし、機構が、東京都多摩建築指導事務所に提出した計画通知(平面図)では、当該部分に突然、連絡デッキを増設する設計変更をしている。そして、平成一九年五月二九日に、JR東日本棟と一般地権者棟は着工に及び、躯体はほぼ完成している。
(一) 都市再開発法及び同法施行令によれば、事業計画を変更する場合には、国土交通大臣の認可が必要とされているが、連絡デッキの増設という設計変更が国土交通大臣の認可を経ずして行われているのは明確な法令違反であると考えられる。政府の見解を明らかにされたい。
(二) 工事がすでに始まっているが、違法であるならば、都市再開発法の規定により、工事を中止させ是正を求める必要があると考えられる。政府の見解を明らかにされたい。
(三) 連絡デッキの増設に伴い、「1のⅢ街区」の床面積が、国土交通大臣が認可した権利変換計画に比べて増大しているが、仮に他の部分で面積を調整していないなら、権利変換計画の変更認可が必要だと思われる。床面積の調整を行っているなら、その箇所を明示されたい。また、調整していないなら、国土交通大臣の認可無き面積変更であり、違法だと思われるが、政府の見解を明らかにされたい。
(四) 違法であるならば、都市再開発法の規定により、工事を中止させ是正を求める必要があると考えられるが、政府の見解を明らかにされたい。
(五) この権利変換計画に記載のない連絡デッキは、権利床なのか(権利床だとすれば誰の床なのか)、保留床なのか(保留床だとすれば誰に売却するのか)、全体共有床なのか、部分共有床なのか(共有床だとしたら誰に帰属するのか)、政府において十分に調査し、結果を明らかにされたい。
 なお、平成一九年一〇月二九日に開催された東京都建築審査会で、地権者側は、機構に対し、「この床は権利床なのか、保留床なのか、共有床なのか」と質問したところ、機構側は回答できなかった。東京都建築審査会会長(機構OB)が回答を促すと、機構の久保芳弘所長は「権利変換計画時点では色を塗っていなかった」との趣旨の意味不明の回答をした。国土交通大臣が認可した事業計画や権利変換計画に存在していない床を事後に増設し、また、権利変換計画で「部分共用」として色塗りしていなかった床を事後に特定の権利者に割り振ることができるとすれば、国土交通大臣の認可権への著しい侵害となると考える。政府の見解を明らかにされたい。

二 「壁面の位置の制限」について

1 同再開発事業では、「1のⅠ街区」に、都市計画法に基づいて壁面の位置の制限を掛けている。都市計画法の規定では、位置を制限できる壁面は「道路に面する壁面の位置に限る」旨を明定している。「1のⅠ街区」は区画道路三号線を起点として間口三四メートル、奥行三五メートルから四〇メートルの制限を掛けている。つまり道路に面する南側壁面よりも、道路に面さない東側壁面への制限が大となっており、都市計画法が「道路に面する壁面の位置に限る」としている規定を没却している違法な制限と解される。この点に関して政府の見解を明らかにされたい。
 なお、この壁面の位置の制限は、他の壁面の位置の制限(「1のⅡ街区」南側の二メートルの制限)にまで到達しているので、「壁面の位置の制限」ではなく「壁面の設置の禁止」になっている。これが法的に許容されるのか政府の見解を明らかにされたい。
2 同再開発事業では、「1のⅡ街区」北側に、都市計画法に基づいて壁面の位置の制限を掛けている。都市計画法の規定では、位置を制限できる壁面は「道路に面する壁面の位置に限る」旨を明定している。「1のⅡ街区」北側は駅前交通広場を起点として間口六メートル、奥行七一メートルから七二メートルの制限を掛けている。つまり道路に面する東側壁面よりも、道路に面さない北側壁面への制限が約一二倍も大となっており、都市計画法が「道路に面する壁面の位置に限る」としている規定を没却している違法な制限と解される。この点に関して政府の見解を明らかにされたい。
 なお、この壁面の位置の制限は、他の壁面の位置の制限(「1のⅡ街区」西側に位置する道路からの二メートルの制限)にまで到達しているので、「壁面の位置の制限」ではなく「壁面の設置の禁止」になっている。このことが法的に許容されるのか政府の見解を明らかにされたい。
3 同再開発事業では、「1のⅡ街区」南側に、都市計画法に基づいて壁面の位置の制限を掛けている。都市計画法の規定では、位置を制限できる壁面に関しては「道路に面する壁面の位置に限る」旨を明定している。「1のⅡ街区」南側は駅前交通広場を起点として間口二メートル、奥行六四メートルの制限を掛けている。つまり道路に面する東側壁面よりも、道路に面さない南側壁面への制限が三二倍も大となっており、都市計画法が「道路に面する壁面の位置に限る」としている規定を没却している違法な制限と解される。この点に関して政府の見解を明らかにされたい。
 なお、この壁面の位置の制限は、「1のⅠ街区」との敷地境界線にまで到達しているので、「壁面の位置の制限」ではなく「壁面の設置の禁止」になっている。このことが法的に許容されるのか政府の見解を明らかにされたい。
4 同再開発事業では、「1のⅢ街区」南側壁面に、都市計画法に基づいて壁面の位置の制限を掛けている。都市計画法の規定では、位置を制限できる壁面は「道路に面する壁面の位置に限る」旨を明定している。「1のⅢ街区」南側壁面は区画道路三号線を起点として間口六メートル、奥行四〇メートルの制限を掛けている。つまり道路に面する南側壁面よりも、道路に面さない西側壁面への制限が約六・六倍も大となっており、都市計画法が「道路に面する壁面の位置に限る」としている規定を没却している違法な制限と解される。この点に関して政府の見解を明らかにされたい。
5 同再開発事業では、「1のⅢ街区」北側壁面に、都市計画法に基づいて壁面の位置の制限を掛けている。都市計画法の規定では、位置を制限できる壁面は「道路に面する壁面の位置に限る」旨を明定している。「1のⅢ街区」北側壁面は駅前交通広場を起点として間口四メートル、奥行二四メートルから三五メートルの制限を掛けている。「1のⅡ街区」と「1のⅢ街区」は敷地境を接しており、元々の壁面線はこの敷地境上に存するのだから、その壁面は「道路に面する壁面」とは言えない。にもかかわらず、起点から極端に斜めの制限を掛けて「道路に面さない壁面」を制限しているのは、都市計画法が「道路に面する壁面の位置に限る」としている規定を没却している違法な制限と解される。この点に関して政府の見解を明らかにされたい。
 なお、この壁面の位置の制限は、他の壁面の位置の制限(質問「二の4」で指摘の制限)にまで到達しているので、「壁面の位置の制限」ではなく「壁面の設置の禁止」になっている。そのことが法的に許容されるのか政府の見解を明らかにされたい。
6 質問「二の1」から「二の5」のような壁面の位置の制限は、都市計画法に照らして違法であると考えるところであるが、同様な壁面の位置の制限の事例が、同再開発事業の都市計画決定前に全国的に見てあったのか、政府の承知している事例(事業名及び都市計画決定の年月日)を明らかにされたい。
 なお、政府において違法であるとの見解に立つ場合、このような壁面の位置の制限の横行を防止するため、都道府県等に適正な運用を求める措置をただちに講じるべきだと考えるが、今後の対応についての政府の考えを明らかにされたい。

三 土地単価の逆転現象等について

1 同再開発事業では、武蔵小金井駅(高架化工事に伴う新駅舎)南口に近く、容積率六〇〇パーセントの「1のⅡ街区」の土地単価は八七万七〇〇〇円に設定されている。これに対して、「1のⅡ街区」よりも改札から遠く、容積率五〇〇パーセントの「1のⅢ街区」の土地単価は一〇四万八〇〇〇円に設定されている。つまり相対的に悪条件の街区の方が約二〇パーセントも割高な土地単価に設定されている。なお、取得単価が安価に設定された「1のⅡ街区」はその大部分を施行者である機構が取得し、野村不動産に売却した。機構は、地元住民を対象に開催した工事説明会で、小金井市議会議員から価格逆転問題を質問され、「上に住宅が乗るので1のⅡ街区は安くなる」との趣旨の答弁をしたが、その議事録から当該質疑を一方的に削除するという挙に及んでいる。「従後」の土地の評価に関しては、その土地を「最有効使用(容積率を最大限使用した場合)」した場合を想定して定められるべきものであって、上に住居が乗るからといって土地単価が安くなることはありえないと考えるが、政府の見解を明らかにされたい。
2 なぜ質問「三の1」で指摘したような価格逆転現象が起きるのか、権利変換計画を認可した政府の見解を明らかにされたい。
3 機構は、野村不動産に、何平方メートルの土地、何平方メートルの床を、各々どのような単価で売却したのか、明らかにされたい。
4 「1のⅡ街区」の土地の取得原価及び「1のⅡ街区」の建設費と、野村不動産への売却によって得た機構の利益との差額はいくらになるのか、計算方式もわかりやすく示し、明らかにされたい。
5 「1のⅡ街区」の土地の取得原価及び「1のⅡ街区」の建設費と、野村不動産への売却によって得た利益との差額は、都市再開発法上、「清算」によって権利者に還付されるべきものと考えるが、政府の見解を明らかにされたい。
6 同再開発事業の「1のⅢ街区」には、小金井市に権利変換された(仮称)市民交流センターと、JR東日本ビル棟と、一般地権者棟の三棟が建てられることになっている。このうち、駅前交通広場に面する経済的価値の高い立地には、市民交流センターとJR東日本ビルが面することになるが、一般地権者ビルは駅前交通広場には面さず裏通り(区画道路三号線)に面している。また、JR東日本ビル棟はストレートに都道に面するが、一般地権者ビル棟は都道面に階段が設置され店舗は面さない配置を強制されている。このような状況下で、一般地権者に対して、小金井市やJR東日本と同額の土地単価で費用負担を求めるのは受忍限度を超えた著しい不利益をもたらすものと考えられる。都市再開発法は「権利者間の均衡の確保」を要請しているが、なぜこのような権利変換計画を認可したのか、政府の見解を明らかにされたい。
7 国土交通省が認可した他の再開発事業において、質問「三の1」で指摘したような価格の逆転現象を生じている事例(事業名・双方のビルの諸条件・金額)を具体的に示されたい。
8 同再開発事業の「1のⅢ街区」には、小金井市に権利変換された(仮称)市民交流センターが建てられることになっている。その取得費には道路特定財源を含むまちづくり交付金が充当される計画となっている。したがって、質問「三の1」で指摘した価格の逆転現象が不当なものであれば、道路特定財源が不当に余分につぎ込まれる結果を招くものである。この点に関して、政府の見解を明らかにされたい。

四 是正にあたっての適切手続の確保について

1 質問一から三までで指摘した件について、機構は、これらの問題点を是正するために、事業計画変更認可申請を行い、また、権利変換計画変更認可申請も行う予定である。言うまでもなく市街地再開発事業は、権利者を中心とした事業であるから、事業計画変更や権利変換計画変更を行うにあたっては、すべての権利者に図面なども提出しながら懇切丁寧に変更点の説明を行い、同意を得ていく努力を行うのは当然のことであると考える。政府としても、それを機構に強く指導する立場にあると考える。政府として、機構から変更認可申請が提出された場合には、そのような当然の指導をしていくと考えて差し支えないか、見解を明らかにされたい。
 同再開発事業は、地権者との間で訴訟騒ぎが起きるなど混迷の度合いを深めている。機構の現地所長である久保芳弘氏は、その原因について「最初の、とっかかりのとこの考え方が、まあそもそもの全員同意型っていうんでね、そのいくら手法は、あの、縦覧型だったとしてもですね、全員同意型でやるっていう、そういう精神を持ち続ければ、こういうことにはなってない。」と深甚なる反省の弁を述べている。権利者に説明もせず、また、その承諾を得ないで変更認可申請が行われ、それを政府が安易に認可すれば、権利者不在の事業となり、混迷はいよいよ深まるものと懸念される。政府としては、機構が事業計画変更認可申請や権利変換計画変更認可申請を行った場合、権利者への説明をどのように行ったのか、また、権利者の同意を得ているのかを十分に確認すべきであり、説明を怠り、同意も得ていない変更であれば、そのようなものは認可すべきでないと考える。政府としてどのように対応するか明らかにされたい。
2 工事を始めた後で、このような是正が必要になった原因は、事業計画添付図面・権利変換計画・権利変換計画添付図面・計画通知図面等を、関係権利者に手渡さないという機構の姿勢に問題があったものと判断される。多くの人間の目で点検をしていれば、このような初歩的なミスや、変更手続を飛ばしての着工などは防止できたものと考えられる。したがって、今後、機構が事業計画変更認可申請や権利変換計画変更認可申請を行うのであれば、申請を行う前に権利者に関係書類・関係図面を全部手渡してチェックを受けるべきである。同再開発事業には、国費・都費・市費が投入されるのであるから、国民に対して計画書や図面の開示・提出を行うのは当然のことである。この点について、政府として適切に対処・指導するのか、見解を明らかにされたい。

  右質問する。