質問主意書

第169回国会(常会)

質問主意書


質問第九七号

後期高齢者医療制度の保険料徴収に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十年四月十日

浅尾 慶一郎   


       参議院議長 江田 五月 殿



   後期高齢者医療制度の保険料徴収に関する質問主意書

 本年四月一日から制度が創設されたいわゆる後期高齢者医療制度については、四月十五日に支給される年金から保険料が天引き(特別徴収)されると聞くが、この天引きの法的根拠に疑義がある。
 そこで、以下質問する。

一 後期高齢者医療制度の保険料の特別徴収については、高齢者の医療の確保に関する法律においては、介護保険法の準用により本年十月一日以降に支給される年金から開始されることとされている。ところが、同法施行令附則により、本年四月一日以降に支給される年金から開始されるものである。
 このように、税金、保険料等の国民に賦課徴収される金銭について、法律で徴収の期日が明示されているものを政令で前倒しした例は過去にあるか。

二 高齢者の医療の確保に関する法律施行令において後期高齢者医療制度保険料を四月一日以降支払われる年金から特別徴収すべきことを規定することは、同法附則百三十三条の「法律の施行に伴い必要な経過措置」であると聞く。しかし、後期高齢者医療制度は、今回創設された制度であり、かつ高齢者の医療の確保に関する法律第百九条では、普通徴収については市町村が条例で納期を定めることとされており、四月一日から普通徴収による保険料徴収が始まるか否かは市町村の判断に委ねられているのだから、経過措置として保険料を前倒して特別徴収する理由がないのではないか。経過措置とされる理由(今あるどのような制度と新制度をつなぐ措置か)はどう考えればよいか。

三 高齢者の医療の確保に関する法律施行令は、法律の授権範囲を超えて国民に義務を課すものではないか。憲法七十三条一項六号との関係はどう考えれば良いか。

四 本年四月から九月に後期高齢者医療制度の保険料を特別徴収することは、憲法八十四条の「あらたに租税を課し、又は現行の租税を変更する」場合にあたるか。あたるとすれば同条との関係をどう整理しているか。

  右質問する。