質問主意書

第169回国会(常会)

質問主意書


質問第九五号

米国の「へたり牛(ダウナー・カウ)」の対日輸出に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十年四月十日

近藤 正道   


       参議院議長 江田 五月 殿



   米国の「へたり牛(ダウナー・カウ)」の対日輸出に関する質問主意書

 米国農務省は、本年二月十七日、歩行困難で食用が禁止されている「へたり牛(ダウナー・カウ)」を食肉処理していたカリフォルニア州のウエストランド・ホールマーク食肉加工社に、〇六年一月以降に出荷した牛肉製品約六万五千トンの自主回収を命じた。米国では、〇三年十二月にBSEの発症が確認され、翌一月以降、「へたり牛」のと畜の全面禁止措置が取られてきたが、食肉業界の圧力により、〇七年七月には「獣医の再診により一定の牛の食用と畜を認める」と規則が緩和された。そのため、全米でウエストランド・ホールマーク社と同様の検査を免脱するようなケースが横行しているのではないかと懸念されている。我が国の農林水産省は本年二月十八日、同施設は「対日輸出施設ではないので、安心して結構です」と発表したが、今回の問題は、と畜前検査の不備という輸入条件以前のことであり、全米の他の施設と対日輸出施設で同じと畜前検査体制を採用しているということから、日本国民が特定危険部位を除去した「へたり牛」の輸入牛肉を食べさせられている可能性は否定できない。
 他方、BSE問題の国内対策として、厚生労働省はホームページで「当該経過措置が終了した後に、各地方自治体において、二十ヶ月齢以下の牛に対するBSE検査の扱いについて齟齬が生じることは、却って消費者の不安と生産・流通の現場における混乱が生じるおそれがあることから、全地方自治体において二十ヶ月齢以下の牛に対するBSE検査が平成二十年七月末をもって一斉に終了することが重要であります。」と述べており、二十ヶ月齢以下の牛のBSE全頭検査について、地方自治体が自主的に行う場合の国庫補助を、本年八月以降打ち切る方針を示している。しかし、現在までのところ、全頭検査の打ち切りを表明した自治体はなく、現状では、結果として、単に計約二億円の検査費用を自治体に押し付けただけである。
 この問題は、「国民の目線、安全・安心」を掲げる福田内閣の根幹に関わる問題であると考える。そこで、以下質問する。

一 福田総理が「国民の目線、安全・安心」を基本方針として掲げるならば、事件の根本原因である「と畜前の段階でのルール改悪」を軽視せず、緊急に米国産牛肉の輸入を停止し、輸入条件を見直すべきではないか。

二 「三十ヶ月齢以下」にまで輸入条件を緩和するようなことがあってはならないと考えるが、いかがか。

三 前記の厚生労働省のホームページの記述は、福田総理の基本方針である「国民の目線、安全・安心」にかなうものと考えているか。

四 政府は、自治体による二十ヶ月齢以下の国産牛のBSE全頭検査に対する国庫補助を継続すべきではないか。

  右質問する。